20.母と喧嘩
夜の家の駐車場。
家に入り、玄関を締め、カギをかけるといういつもと変わらない動作を無意識に行う。
リビングのテーブルには母が一人座りモクモクと裁縫をしていた。
「どこに行ってたのみさき?」
と冷蔵庫を開けているみさきにかなり疑わしそうに聞いてくる。
「えー。超音波の写真見せに佳奈さんの家に行ってきたんだ」
「あんな遠くに・・・なんで尋ねようとおもったわけ?」
「ああ、育ち具合を教えてって前に言ったときに言われたからさ。だから教えに言っただけ」
と言い終える前に
「なら郵便で送ればよかったでしょ。なんでわざわざ・・・」
そのまま何かを続けて言おうとしたがそこで母の話は止まる。
「ん~、なんとなく。佳奈さんが帰ってくるまで、大樹さんと映画見たり、音楽聞いてたりしてたんだけど、大樹さんクールだったよ~」
「はー、みさき、いきなり家に訪ねていくのはマナー違反よ。」
どういうことかみさきにはさっぱりだった。
「でも別に、問題ないじゃーん。大樹さんも気にしてなかったし。」
「わかってないのね。大樹さんは結婚してるのよ。非常識でしょ?」
非常識とはよく母が使う言葉の第一条だ。
「結婚してるからってなに?友達になったって全然OKじゃん。」
どんどん二人の会話に苛立ちが入ってくる。
「そういうわけにはいかないのよ、あなたは結婚というものを全然わかってない。」
と母がいい、
「そっちこそわかってない!」
とみさきが声をあげ、続けて言い放つ。
「それよりなにそれ?猫の刺繍?そんなの私身に着けたりしないから!つか、なんでネコ?飼ってもないのに」
「それはあなたがネコアレルギーだからでしょ!私だって買いたいわよ!我慢してるの!」
「そりゃーすごく大きな夢だね!頑張ってね!」
と皮肉を込めて言い放つ。
「なに!生意気言わないの!」
みさきは階段を駆け上がり部屋に閉じこもった。




