12.公園でみずきと
ふたりは公園のベンチで飲み物を飲みながら広告を読んでいる。フリスビーをやっている人々もいる。
「あー、いろんな人がいるんだねー。」
みさきがそう言い放つと、
「ねえねえ、これなんてどう?30後半の夫婦、いろんな人がいるんだねー。」
とみさきと同じ語尾で終わる。そして続ける。
「これなんてどうなの?健全で若いカップル。結婚して2年目だってー。私たちと年齢近いよ?」
「えー健全って自分たちで行ってる時点でもう怪しい気がするけどなー」
なんだかとんがってしまっている私がそこにはいた。
なんでだろ。産んだとしても私は育てられる経済力もないし、加藤と結婚しても、どっちも高校生だし、
やっぱり産まない方がいいのかなと単純に思ってしまう。
「じゃあさ、みさきは具体的にどんな人に赤ちゃんあげたいの?」
「例えば、そうだなー。変な趣味をお互い持ってて、あんまりいちゃいちゃせずにー」
それって夫婦っていうか、どっちかというと友達なんじゃない?とみずきに言い換えられる。
「そうそう、そういう感じの夫婦が理想かなー私は。」
それって・・・・
「ねえこれ!」
広告を強く指さしているみずき。
そこには写真付きの夫婦がフルショットでとられていた。
白黒でもわかるほど健全だった。健全だったのは嫌だったけど、でもなんだか安心した。
勘が、いやお腹の中の生命が「この人だ」と指さした気がした。