09.産婦人科に電話
gogleで最寄りの産婦人科を検索し、電話をする。
「あの~、いきなりなんですけど、親に隠れて中絶ってできますか?」
電話相手はえーと考えたあと、小さく「学生さん?」と続けた。
みさきは「はい。そうですよ」と言うと、
「じゃあ、そばにメモとかってあります?書いてほしいことがあるんですけども」
「はい、あります」
みさきは電話相手の言うがままに淡々とメモを取っていく。それから五分ほどいろいろ説明を受けたり、
みさきも現状報告やその経緯にあたったところまで、言える範囲で答えた。
「まあ、性的に活発な学生さんはたくさんいますからね」
と、なだめるように言われたが、正直『性的に活発』とか言われてイラっと来た。
じゃあ逆に聞くけど、あなたも若そうですが性的には活発ではないんですか?と訊きたいところだ。
それともいつか、スイッチが切れるように「あっ私、今から活発じゃなくなった」みたいな時が来るのだろうか。
そんなことを頭の中で何度も連想してしまう。
多分あの時は私が先に「活発スイッチ」が入ってしまっただけであって、
そのあと加藤だってきっと「活発スイッチ」が入ってしまったのだ。
これは、
本能だ!
本能だ!
思考や感情で止められるようなことじゃない!というより止められなかったんだもん!
心の中が汚れるほどそう言い放ち続けた。
明るく部屋を装飾しているのにいつもよりなんだか薄暗く、シーンと冷たかった。