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「取りあえず理解不能」

誤字脱字があったら申し訳ございません。楽しんで頂ければ幸いです。


短くて申し訳ございません。

【未練タラタラで死んだ其処の貴方!死因をカセットの中から選び操作に従ってお望みの死後をお選びください!!】


何を言っているのか理解ができない。そもそもここが何処かすら把握できていない。


死んだと言うのは分かる。漠然と死んだんだと納得出来てしまうのだ。受け入れられるかは別だとして。


「これが奪衣婆と三途の川とかならまだ分かるんだがな」


まず俺に未練らしい未練は無い。有ったとしても、もっと弟と居たかったとか猫を撫でながら本を読みたかったとか、いつ死んでも残るような些細な事だけだ。…解せぬ


次にDSのような機械の理解に苦しむ。何故DSなのか。パソコンとかでは駄目なのか。そもそも意思疎通が出来る生命体では駄目なのか。


もしかしたらDSのように見えるだけで開けば携帯のように何処かに繋がるのではないかと淡い期待を抱いて開いてみたが普通のDSだった。


「畜生が!」


…訂正。普通のDSではない有り得ないほど頑丈なDSだ。ぶん投げて踏みつぶしたのに傷一つ付いていない。


このままうだうだやっていても拉致が明かないので“カセット”と書かれた箱の中から死因と一致するものを探す。


【事故死】

【他殺】

【唯一心を開いていた兄に強姦されその現場を目撃した兄の彼女に色仕掛けをしたと決め付けられて刺殺】

【自殺】

【病死】

【生き別れの弟と再会を果たすも弟はヤクザに追われる身となっており何も分からないまま銃殺】

【不明】

et cetera…


何故こんな細かく指定された死因が混ざっているのだろうか。しかも割とヘビーな。


それはそれとして俺の死因に1番近い物を選んでDSを起動。


【貴方は犯罪者ですか? YES・NO】


起動して早々意図が謎な質問きた。これを正直に答える犯罪者は存在するのだろうか。皆NOを選ぶのではないか?少しYESを押してみたい衝動に駆られたが取り返しの付かないことになると困るのでNOを選択。


【正直者でなによりです。正直者の貴方には次の選択肢が与えられます。】


【天国のお仕置きの実験台となる】

【閻魔の憂さ晴らし用の玩具に就任する】

【異世界転生をする】

【勇者の魂作製のためにすり潰される】


ドン引きだよ!人の魂を何だと思ってるんだ?!特に最後のすり潰されるって酷すぎだろう!!存在無くなるんじゃないか?!というか正直者に与えられる選択肢としては酷すぎません?!



取り乱したな。落ち着こう。よし。 この中だったら異世界転生と言うのが1番ましなように思う。異世界が何なのかよく分からないが。漢字から何となく理解は出来るが正直想像が出来ない。


考えても分からないことは置いておくとして異世界転生を選択。


【ではどんな世界がお望みですか?】


【良くあるテンプレな世界】

【平和ボケした世界】

【死後の世界】

【ゾンビに滅ぼされた世界】

【その他】


もう少し細かい説明は無いのだろうか。テンプレと言われてもさっぱりわからないし滅ぼされた世界なんて断固拒否だ。ゾンビは気持ち悪いイメージしか無いしな。


死後の世界は天国や地獄のことだろうか。でもそうだとすると天国で実験が必要なお仕置きをしてることや閻魔の玩具が必要な所を考えて行こうとは思えない。


初めて出てきたその他と言うのを選択してみる。


【では希望を御入力下さい。一致する世界が、有れば表示されるでしょう】


なるほど。その他は他の選択肢が出るのではなく希望に合う世界を検索する形になるのか。

だがしかし、異世界について知識を持っていない俺はどんな世界があるのかわからないし特に希望もない。でもさっきの選択肢のような世界は嫌だ。さてどうしたものか…


少し考えてみて俺には‘こう言うのがある世界’みたいな希望が一切無いことが分かった。ので、逆に‘こういうことが無い世界’で考えてみた。そうしたら一つだけ思いついた。


【ゴキブリがいない世界】


要求がしょぼいとか自分でも思うが死因が死因だからなぁ…パッと思いつくのはこれしかない。


この条件に一致する世界は結構あるようで沢山出てきたが俺には理解出来ないので角の方に小さくあるおまかせを選んだ。


【おまかせを選ぶと転生する身分等の選択は出来ませんがよろしいですか?】


正直色々選択するのが疲れたのでYESを選択。


『ではではではでは〜?無欲な正直者の面倒くさがりな君には!我々各世界の最高責任者から祝福の歌を送りましょう!!』


急にDSが無くなり周りが白く輝いたかと思えば綺麗な女性の声と共に何かが現れた。DSが無くなると同時に俺は消えかけていて、眩しいからなのか周りがぼやけてしっかり見ることが出来ない。そんな中俺に何かが流れ込んでくる。


そうして俺は現状を理解できないままにその場から意識が落ちるとともに消えた。

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