愛剣ポチ
その剣はポチという……。
やっぱりタイトルは最初に思いついたのに変更します。
俺の剣は変わっている。
いや、見た目は普通だ。至って普通の鉄の剣。
量産品で数打ちで装飾も無骨。
武器屋に行けば普通に買えるような鉄の剣。
だと言うのに、変わっているとはどういうことか。
それは俺の剣が動くからだ。
「わんわん!」
いや、訂正しよう。
俺の剣は鳴く。というか吠える。
そして俺の足に擦り寄ってくる。
おかげで俺の具足はゴリゴリ削れていく。
手足が生えているわけではない。
宙に浮いているのだ。
ぶっちゃけよう。
これは犬だ。見た目は剣だが中身は犬だ。
意味が分からないだろう。
俺も分からない。
「くぅ~ん」
「ああ、悪い悪い。寂しかったな」
「わんわん!」
剣を撫でまわす(勿論素手ではない)俺を想像したくない。
だが、俺はこの剣、ポチを案外気に入っている。
「よし、ポチ行くか!」
「わんわん!」
俺と俺の愛剣の戦いの日々は続く。
「うわ!ポチやめろ!顔はやめろ!死ぬ!」
愛剣に舐め斬りにされなければ。