Effect8 望遠 -far scope-
「そろそろ秋雄たちとの合流の時間じゃないか?」
「あ、そうだね。それじゃそろそろ移動しようか」
シュウとカリンが席を立つ。その様を横目で見ていたミアンは、教え子たちに声をかけた。
「秋雄くんたちと合流するの? よろしく言っておいてね」
「あ、はい。……性質の悪い大人2人が絡んでくるんで気をつけるように、って伝えておきます」
「まぁ? 言うのね」
頬をふくらませながら文句を言う。それを見て、シュウは苦笑しながら、ミアンに手をふって去っていった。
「フム。私は少々空気を読めなかったかな」
「あら、何、突然?」
「いやなに。さきほどカリン君に厳しいことを言ってしまったからな。……つい、エンドリック大佐の話を思い出してしまったのだ」
「エンドリック大佐の話? それは例の実験機のこと?」
「そちらではなく、彼女たちの教育者としての適正を見てくれ、というものだ」
本来、『シューティング・スター』所属のパイロットである3人が、この『サスガ』にやってきたのは、彼女たちを教育者として育成できないか、という要請があってのことだった。先ほどカリンに対して厳しいことを言ってしまったのも、彼女を自分と同じ教育者と意識しての行動だった。
「彼女たちは望んでこの場所に来たわけではないのに、こちらの都合を押し付けてしまった。身勝手なものだ」
「落ち込むなんてタクマらしくないわよ?」
「いや、落ち込んでいるわけではない。……ただ、やはり今回のことは、色々思うことがある」
「思うことって?」
「EOMの問題は、やはり早期に解決することはできない。それこそ、天災レベルで人類が永遠に近い時間をかけて、むきあっていく問題だろう。……そういった前提を踏まえて、今の内から教育者を育てないといけないという、エンドリック大佐の考えはわかる」
現状のところ、宇宙連合統括局は、前線にパイロットを配置することに全精力を傾けている。だがアマルガムは開発されたばかりの兵器。そのために圧倒的に、教育者が不足していた。例えば何人かいるシュウたちの教官の中で、実際にアマルガムに乗ったことがあるのはタクマとミアンの2人だけだ。
「今の段階から、次世代を意識した教育者の養成も必要だ、というのは正論だ。だが彼女等は、エンドリック大佐のそういった真意すら、話を聞いていないのだろう?」
「そうらしいわね。3人は実績優秀なデパーチ・チルドレンだから、余計な話をして負担をかけたくないみたい」
「そこが気にくわない。教育者としてよこすなら、せめて自分の意思で教育者になりたいという意思のある人間が来るべきなのだ」
タクマが憤慨しているのは、その一点だった。決してカリンたち3人に怒っているのではなく、彼等をよこした上層部こそが、怒りの矛先だった。
人を教えるということは、その人の人生を左右する大事なことだ。特に軍人ともなれば、相手の生死を左右しかねないのである。教える側は、そういう覚悟を持ってするべきだ。
――それを、自分よりも若い人間を死なせながらのうのうと生きている自分が言うのは、許されないことなのかもしれないが。
そんな憤りを見せる夫を見せて、慈しむような微笑を浮かべながらミアンはたずねた。
「あなたから見て、あの子たちは未熟?」
「ああ……。もちろん、私が人をどうこう言えるほど優れた教育者だと思っているわけではない。だがなんというか……もっとやりようがあるだろう?」
「ふふ、そうね。でも、私は彼女達が不真面目だとは思わないわ。カリンもテオも、リサも。……みんな、精一杯がんばっているわ。時間外でも、私に教えを乞いにきたり。貴方のところにも、何度か来たのでしょう?」
「それは、まあ……」
「もちろん、最初にこの『サスガ』に来たのは本人の意思ではないかもしれない。でも、ここに着ての彼女たちのがんばりは、決して覚悟のない人間のすることではないわ」
「……そう、だな。彼女たちのがんばりに関しては、認める他ない。あるいは、彼女達がこの道に進めば、私以上に立派な教師になるかもしれない」
「ふふ。そんなことはないと思うけど」
「謙遜しているわけではないよ。――私たちの後進に、期待しているんだ」
タクマの言葉に、なるほど、とミアンは微笑む。
「にしても、不思議なのが……秋雄くんの成績よね……?」
「ああ――、遠藤秋雄のことか」
「ええ。だって彼、AMの操縦に関しては、前の学校ではかなりの成績だったんでしょう?」
AMとは、アマルガムの基礎となった2足歩行型のロボットのことだ。
元は日本国の自衛隊で開発され、人間と同じ5本指のマニピューレータを使って、人間の武器をそのまま大型化した武器を使用したり、土木作業にも転用できるという特徴があった。
秋雄は、この学校に来る前はAMパイロットを養成するコースに所属しており、そこで一定の戦績を出していた。訓練時には好んで狙撃兵装を選ぶのも、前の学校では主に狙撃武器を使っていたためだった。
そもそも、秋雄はクラスの中でも特殊な経歴の持ち主だった。これは、本人以外のクラスメイトは誰一人知らないことだが、実はシュウたちより2つ上の21歳なのだ。すでに別の学校でAMの学習をある程度終え、その上で榎原士官学校に転校してきたという経歴なのである。
「AMの操作とアマルガムの操作って、そんなに違うの?」
「違うことは違う。ただ……総合的な難易度であればAMの方が上だ。それほど、アマルガムが持つ《フラクタル・ドライブ》の加速世界と電脳世界の接続は画期的なものなんだ。AMからアマルガムのパイロットになって、あれほど成績が落ちるというのはちょっと考えづらい。――そもそも」
そういうと、彼は卓の中央にあるドリンクのストローに口を伸ばす。――と、嬉しそうにミアンがもう1方のストローに吸い付き、同時に啜った。
「そもそも、秋雄の成績が低い理由は、射撃の命中率が低いという一点に尽きる。秋雄の機体制御技術に関しては、他の生徒と比べても遜色ないレベルだし、狙撃手にはあまり求められない能力だ。そして、狙撃まわりの操作に関しては、AMとアマルガムはまったくと言っていいほど同じだ」
「つまり彼がこちらで成績を落とした理由は、完全に謎ってこと?」
「一つ考えられる」
タクマは重苦しい口調で言った。
「狙撃を正確に当てるために必要なのは、距離感、空間把握能力、そして敵の次の動きを予測する能力だ。これらをつかさどる機能の大本は、全て脳に集約されている。つまり、こちらの学校に転入した前後の時期に、脳に何らかのショックを受け、それらの機能が低下してしまった」
「……なるほど。たしかに考えてみると、それしかないかもしれない。精密検査を受けさせてみましょうか?」
「いや、それは私が既にすすめた。見た目的には異常が見られなかったそうだ。だが、この手の異常は検査で必ず見つかるとも限らないものらしくてね」
「お手上げね……。ってことは」
「うん?」
「彼が学力の面でもクラスの下なのは、その頭に受けたショックのせいかもしれないってこと?」
「いや。学力に関しては前の学校でも残念なものだったようだ」
「クシュン! 誰か俺の噂しているな! リサさんかな!」
「リサに逃げられたお前が何を言っているんだ」
「逃げられたんじゃない! 急用があるってどこかにいったんだ!」
シュウが集合場所についた時、そこにはまだ秋雄の姿しかなかった。秋雄のパートナーだったリサはというと、集合場所に移動する直前で、急用があるからと席を離れたのだ。
「急用っていっても、知り合いから通信がかかってきてその応対に出ているだけらしい。終わったらすぐここに集まるんだってさ」
入り口で端末を預けたものの、ここでは緊急コールサービスがある。預けた端末に連絡が来た場合、入り口で端末と交換で渡されるリストバンドに、連絡してきた相手の名前が表示されるのだ。後は、施設内の所々に設置してあるモニターを使用して、相手と通信をすることができる。
「にしても、普通なら無視するところなのに。よっぽど大事な連絡だったんだろうね」
カリンが感想を漏らした。あるいは、とシュウは考えがもたげる。
「秋雄と一緒にいるのが嫌で、逃げる口実がほしかった、とか」
「そんなことないぜ! けっこううまくやれてたし、あの真面目顔のリサさんが2回も笑ってくれたんだぜ!? 」
「2回って、多いのか?」
「さぁ? 愛想笑いかどうかにもよるな」
シュウとカリンが言うと、秋雄が打ちひしがれる。それから、恨みがましい顔で睨んでくる。
「そっちは、随分とよろしくできたようだな。手なんかつないじゃっているし」
「えっ!? あ、いや、これは人ごみの中ではぐれないようにするためで!」
「そのわりには今までずっと握っていたじゃん……?」
「いや……えーと」
シュウは彼方を見つめ、カリンは頬を赤らめながらそっぽをむく。
「ま、まぁそれはおいといてだ。テオ達はまだなのか?」
「露骨に話を逸らしたなおい。今のところまだだよ。コジロウはともかくテオさんの髪の色は目立つだろうし――ああ、いた」
「おぉーい! シュウー! 秋雄―!」
テオが大きな声で合図をしてくる。2人もシュウらと同様、手をつないでいた。身長のある2人ならこの人ゴミでもそうそうはぐれないだろうから、おそらくコジロウがリードしたのだろう。前を歩くのも、コジロウの方だ。
「お待たせ! リサの奴は?」
「ちょっと知り合いから通信が来たらしくて、モニターのところにいってる。そっちは楽しめたか?」
「え!? あ、ああ、中々だな! 誘ってくれたお前等にはサンキューだな!」
「うんうん。テオも大いに楽しんでくれたみたい。さっきまで僕と一緒の飲み物にストローを差して、」
「わー! わー! わー!」
口を滑らせたコジロウの口を、テオが大声を上げてふさぎにかかる。
「一緒の飲み物にストローを差して? ふーん?」
「くそっ、俺以外のやつらはちゃっかり進展しやがって!」
カリンとシュウが意地の悪い顔を浮かべ、秋雄は地面に怒りをぶちまける。
「だ、だってこいつが恋人ごっこだとか男と付き合う前の予行練習だとか色々言ってくるから仕方なく……!」
「うん、そう。でも、あの時のテオはすごくかわいかったよ?」
「だっ、だから臆面もなくそういうこと言う!」
テオが顔を真っ赤にさせながらコジロウに怒鳴り散らす。ここでシュウと秋雄は初めて、コジロウがプレイボーイの素質を持っていることを知った。
「コジロウ恐るべし……」
「合気道なのか? これも合気道の真髄なのか?」
2人はそれぞれぼやきながら、肩を落としていた。
リサはその後ほどなく戻ってきた。
いつもの調子で秋雄に怒った様子も無く、どうやら本当に、知り合いからコールが来て席を外しただけのようだ。
(よし、誤魔化し通せたようね)
リサは、内心でつぶやく。と、そこで、カリンがある物に気づいた。
「お、なんだあれ。写真?」
カリンが指さす方向に、ぞろぞろと6人で歩いていく。
カリンが見つけたのは、園内の所々にあるカメラが撮影した映像を、閲覧してデータとして持って帰ることができるサービスだった。カメラの視線を気にせず素の表情が撮影できるとして、人気だった。
売り子の女性が、プライスレスな笑顔を振りまきながら説明する。
「興味がおありでしたら、こちらのカメラに顔を映してください。そうすると、プログラムが自動的にお客様の映った画像を検索して、こちらのモニターに表示します」
本人の顔を認識しないと写真が表示されないのは、一応、プライバシーに配慮したのだろう。このサービスを悪用すると他人の写真も持ち帰ることができる。
試しにテオが顔を近づけると、彼女を中心に撮った写真がモニターに表示された。
「わー、すごい。プロが撮ったような写真ばかりだ」
モニターに映った写真は全て、テオが中心に映っているものばかりだ。しかも、表情が映えるものばかり。園内に適当に設置されたカメラが撮ったのだから、面白みのない映像ばかりと思ったのだが、そうではなかった。
「最新のロボットエンジンで、お客様の表情を見て自動的に位置補正し、ベストショットを選んで表示しています。公然良俗に違反するものは自動的にフィルターにかかって表示されませんのでご安心ください」
笑顔は輝いているが、話している本人がわかっているのか不安になるような棒読み口調である。リサらはあっさり聞き逃し、写真に写ったテオを指さし、しばし当人をからかった。
「て、てめぇ! おらリサ! 次はお前の番だ!」
「あ、こら、ちょっと何するのよ!?」
顔を赤くしたテオが後ろから羽交い絞めにし、リサをカメラの前に立たせる。すると今度は、モニターにはリサの写真が何枚もアップされた。
ニヤニヤと笑っているテオが、その1枚を指さす。
「ん? あれ? これさっきの集合場所じゃないか」
「そ、そうね……」
テオが指さした写真は、少し奇妙な構図だった。
さきほどの待ち合わせ場所で、すでにリサ以外の5人が集まっている。それをリサが、遠くの物陰から眺めているという構図だ。
「なにこれ。通信が終わったのにあんたなんで合流しなかったの?」
テオがモニターを指さしながら当人にたずねる。咄嗟にいい理由を思いつかなかったリサは、目線を反らした。男子3人の間では、やはり秋雄を避けてリサが逃げ出した疑惑が再燃した。
ちなみにそれは間違いではなかった。それが次のページに表示された数枚の写真で明らかにされた。
それは、ほぼ連続写真といっていい、短い時間の何枚かを切り取った写真たちだった。
一枚目。園内のマスコットキャラクターに気をとられたリサが、普段はまず見せないだろう笑顔を浮かべて秋雄の腕をつかむ。
2枚目。秋雄の腕を触ったことに気づき、リサが顔を赤らめて手を離す。
3枚目。そばの鏡に映った自分の赤い顔に気づき、さらに狼狽える。
4枚目。秋雄が振り向いたので、赤い顔を見られないように慌てて顔を反らす。
5枚目。不思議に思った秋雄が顔をのぞいて来ようとするので、慌てて逃げ出す。
《フラクタル・ドライブ》もかくや、と思えるほど、数秒の中の絶妙なタイミングを余さず撮影した連続写真だった。すげぇ最新のロボットエンジン。
それらの写真を見たカリンとテオが、にやぁ……と顔をゆがめる。
「いやですわねぇ。最近の箱入り娘は。男の子の手を握ったぐらいで赤くなるなんておほほほ」
「これではペアでまわっている間にどれだけの醜態を晒したやら……今からそれを暴いてさしあげましょうおほほほほほほ」
そう言いながら、画面更新。
次々と表示される写真群。
いやぁああああああ! とリサは絶叫した。咄嗟に気づいたシュウに押さえつけられながら。
「離して! あいつら殺せない!」
「わかった! わかったから落ち着けって! 2人も悪ノリやめろ! 見てる! 周りが見てる!」
仲間をからかうのは、これ最高のスパイスである。
売り子の女性だけが、晴れやかな満点の笑顔を浮かべていた。
シュウらが色んな意味で休日を満喫しているころ。
星暦荘では、寮母をつとめるシュウの叔母のシズクが、最近は貴重になってきた静かな休日をすごしていた。
「ふぅ……」
食器を洗い終わり、一息ついたところで茶葉の入った蕩缶に手を伸ばす。
ついだ茶葉にこぽこぽとお湯を注いでいると、来客を告げるベルが鳴った。
「はーい」
シズクはインターホンに写った画面を見る。
そこに写った人物を見て、シズクは顔を強張らせた。
「エンドリック大佐……」
『その声はシズク君かね。上がってもいいかね』
「少々お待ち下さい」
シズクは入口のロックを解除し、エンドリックを家に招き入れる。
体が不自由な彼を補助し、応接間兼リビングまで案内した。
「すまないね。突然やってきて」
「いえ……。いつから『サスガ』に?」
「ほんの1週間ほど前にね。ところで……リサ君たちは? お出かけかい?」
「ええ……。甥たちと一緒に、プールにいっています」
「プールと来たか。ほほ、それは楽しそうだ」
好々爺といった雰囲気を崩さないエンドリックを、シズクは緊張した面持ちで見ていた。
シズクとエンドリックは過去に面識がある。
と言ってもシズクが直接親しかったわけではない。EOMパンデミックのごたごたで死んだシズクの夫が、エンドリックと同じ軍人だったというだけだ。
ただそれだけの関係――という言葉で済ませることができないほど、シズクは後ろめたいことを、このエンドリックに託したことがあった。
(なんでエンドリック大佐がわざわざこの星歴荘まで……?)
その事実から、嫌な予感がする。
リサと会うのが目的であれば、リサらの不在を確認しなかったのは不自然だ。エールケニッヒはその功績から多忙な人物であることは想像に難くなく、こうして気まぐれで一民間人の元に足を運ぶ時間がとれるだろうか。
どこかを訪れたついでに近くだから寄った、というのも考えづらい。この辺りには軍人であるエンドリックが、わざわざ訪れるような施設はない。
となれば、シズクが思い当たるのは。
「シュウ君と言ったか。君の甥は」
ずばり思い当たることを言われて、シズクの顔から血の気が引いた。
「そ、そうですけど」
「リサ君から話を聞くまで、名前もすっかり忘れていたよ。しかし、予想以上に元気になっている様子で驚いた。学校では班長をやっているようだね。まずまずの腕だと聞いている」
「そう……ですか。あまり学校のことは聞いていなくて」
話題を忌避したい思いが、つい話を遠ざけるように言葉を選んでしまう。
それを感じとったらしいエンドリックが、笑いかけながら声をかけてきた。
「そう警戒する必要はない。別に過去のことを責めようと思ったわけじゃない。ただ彼のその後の病状を聞いてみたいと思ったんだ」
「それを……聞いてどうするんですか?」
「うん?」
「シュウの病状を聞いて………」
「―――悪くなっているのかね?」
身を乗り出しながら聞いてくるエンドリックに、シズクは首を振った。
「いいえ。学校に行ってから、安定しています。薬の量も減りました」
「そうか……。それならいい。私から言うことは何もない」
エンドリックはとりとめのない話をしてから、暇を告げた。
「それではそろそろ失礼しよう。リサ君たちによろしく」
「はい。伝えておきます」
「それでは」
と、別れを切り出したところで、エンドリックはふと振り返った。そして忘れ物の在り処を訪ねるかのような気安さで、たずねてきた。
「そういえばシズク君。実は昔から気になることがあったんだ」
「はい?」
「君は、シュウ君が抱えている重大な秘密を隠して、榎原士官学校に入学できるよう私にお願いした。その時の気持ちが私にはよくわからんのだ。あんたは死んだ夫と同じ軍人にシュウ君をしたかったのかね?」
「違います。私は軍人になってほしかったわけじゃなくて……」
「――彼が生きるために、軍人になるより他なかった。あの時言ったそれは事実だね?」
「はい……」
「なるほど。……彼は今の人類の縮図だね。私たちは生きるために、戦いを挑むしかないんだ」
その言葉は、どちらかと言うと自分に言い聞かせる言葉のように、シズクは感じられた。