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8.猫とおでかけ

暑い…重い…苦しい…なんだこれ…

朝の目覚めは最悪。重い瞼を開くと目の前は真っ暗。あれ?目開いてるよね?とりあえず苦しいから離れて顔を上げると、眠っているイケメンが見えた。誰だっけ…?あ、猫だ。

寝ぼけた頭を回転させて、状況確認。苦しいのは猫、蒼がいるからだろう。暑いのも。重いのは…腕が巻き付いてる…つまり抱きつかれているから。動けないんだけど…

蒼の腕を外そうともぞもぞしていたら、起きたみたい。

「ん~…菜緒ちゃぁん…あったかぁい…」

いや、私は暑い。てかなんで人間になってるんだ?猫で寝たよね?

「蒼どいて、あつい。」

とりあえず腕をどけようとしたら、さらにきつく抱き締めてした。

「いっちゃだめ~…」

コイツは犬だったっけ?猫ってもっとアッサリしてない?

「だめじゃなくて、起きて。」

声を大きくしたら、目が覚めたみたい。

「んぁ…?あ…菜緒ちゃんおはよ」

自然な流れでほっぺを舐められた。

「ちょっ!?」

そんなことをされて恥ずかしくない訳がない。顔が赤くなってるのが自分で分かる。は、早くどいてくれ…っ!

「蒼!寝ぼけてないで起きてっ!」

恥ずかしさを隠すようにほとんど叫んで起き上がる。

「うわぁっ!何菜緒ちゃん!あれ…なんで人間になってんだ?」

飛び起きた蒼は自分の姿に驚いている。

「自分で変わったんじゃないの?」

「覚えてない…」

寝ぼけて変わったのかな?しきりに首を傾げている。

「あれ?菜緒ちゃん顔赤いよ?もしかして風邪!?」

さっき舐められたことを思い出してまたほっぺが熱くなるのが分かる。

「なっなんでもない!ほら、起きてご飯にしよ!」

一気に捲し立てて部屋を出た。冷たい水で顔洗ってこよ…



甘いものが食べたいからホットケーキに決定。生地を作るときに豆腐をいれるとふっかふかでもっちもちになるんだよね。

3枚目を焼いていたら蒼が来た。

「いい匂い~。早く食べたいな。」

横に来てフライパンを覗きこんでいる。ちらっと見た横顔は子供みたいに笑ってる。

「おまたせ。さ、食べよ。」

バターを乗せてメイプルシロップをかける。私のぶんはシロップちょっと多めにした。

「いただきます。っぅあっちぃっ!」

勢いよく口に入れたはいいけどかなり熱かったみたい。猫舌なんだから気を付ければいいのに…若干涙目でふーふーしてる蒼がちょっとかわいい。


「菜緒ちゃん仕事は?」

はふはふしながら蒼が聞いてくる。

「明日まで店長いないから休み。」

新聞を捲りながら答えたら静かになった。不思議に思って顔をあげたら、目を輝かせている猫。

「じゃぁ、じゃぁ、今日も明日も菜緒ちゃんとずっと一緒ってこと!?」

「そうなるね。」

なんか興奮している蒼は何しようってずっと言ってる。

「今日は蒼のもの買いに行こうよ。服とか小物とかいるでしょ?」

猫から人間になると黒いシャツに黒いパンツを来ている。猫だと毛が服だから、とか言ってた。さすがにそれだけじゃ足りないから服も靴も買わなきゃね。

「買い物!それってデート!?」

猫なのによくデートなんて知ってるな。

「デート…かな?」

蒼のテンションがえらいことになってる。そんなに買い物行きたいのかな?


食器を片付けてお化粧して服を選ぶ。蒼は一応かっこいい部類に入るからちょっと気合いいれないとね。

階段を降りたらトシさんが掃除をしていた。

「おはようございます。あら…二人でおでかけ?」

蒼を見てちょっと驚いてからすごく嬉しそうに笑った。

「おはようございます。蒼の…猫の物を買いに。」

「名前をもらったのね。よかったわね。」

トシさんが蒼を見ると嬉しそうに頷いてた。

「蒼のこといろいろ聞きたいんであとで行っていいですか?」

「もちろん。いつでもいらっしゃい。」

二人で行ってきますを言って車で出発。小回りのきく黒い軽自動車は免許をとってからの相棒だ。

近くにある大型スーパーは開店したばかりで人が少なかった。おかげてゆっくり見て回れる。

まずは服。メンズショップをまわって、いろいろ試着させる。なんでも似合うって羨ましい…店員さんになんか微笑ましい顔をされた。蒼が気に入った物と私がいいと思った物をいくつか購入。

次は靴。サイズや足の形をみてもらって一番履きやすかったやつを買った。ちょっとお高めだけど長く履けるからいいよね。

下着は自分で買いに行かせた。その間私は近くのショップへ。さっき可愛いワンピースがあったんだよね。夢中になって見ているといつの間にか隣に蒼がいた。

「菜緒ちゃん似合いそう。着てみたら?」

「買ったら予算オーバーしちゃうからいいよ。次行こう。」

歩き出したら手を引っ張られた。

「大丈夫!俺が持ってる!」

ポケットから出したのは財布。

「お金持ってるの!?」

「さっきばぁちゃんが持たせてくれた。菜緒ちゃんになにかお礼しなさいって。」

いつの間に…でも嬉しいな。トシさん気にかけてくれたんだ。

蒼に促されるまま試着室へ。着たら見せてね!と言ってカーテンを閉められた。

着替えて鏡を見る。なかなか似合うんじゃ…ないかな?

「蒼いる。着たけど…」

カーテンを開けたら正面で待ってた。

「やっぱり似合う!すごく可愛いよ!」

そんなに言われると恥ずかしい…

もう一度着替えてレジに行く。店員さんが彼女さんにプレゼントですか?って聞かれてて思いっきりはい!って言ってた。彼女じゃないし…


布団を買うか聞いたら

「猫になって菜緒ちゃんと寝るからいい!」

って言われた。

コップやら細々した物を買って終了。思ったより早く終わった。


家に着いて買ったものを仕舞う。ワンピースをハンガーに掛けてしばらく眺める。彼女って言われて恥ずかしかったけど、蒼がはい!って言ってたのがちょっと嬉しかった。

お昼を食べたらトシさんとこに行こうかな。




~おまけ~


買い物をして菜緒ちゃんが待っているお店に行くと、真剣な顔で見ていた。かわいい…と思っていると、男が近付いてるのが見えた。知らないやつだからナンパか?

…菜緒ちゃんに近づくな。怒りにも似た感情が沸き上がる。何か声をかけようとしやがったから割って入って肩を抱く。男は諦めたようだ。二度と来んな。

幸い菜緒ちゃんは気づいてなかったようだ。ちょっと鈍いからな…でもこれは知らなくていいことだ。わざわざ教えたりしたくないし。

可愛いご主人様を持つと苦労するなぁ…



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