4.猫との一晩
ソファーで丸まっている猫を見ていると、なんとなくデザインが浮かんできたのでスケッチブックとシャーペン、色鉛筆などをテーブルに用意して描き始める。素材、パターン、レースやフリルなんかを考えながら夢中になっていると、膝に移動してきた黒いふわふわ。
「どうした?ソファーで寝てたらいいのに。」
喉元をくすぐってやると気持ちよさそうに目を細くして丸まった。下りる気はない、と。しょうがないのでそのまま描き続けた。
着色まで済ませて時計を見ると、結構いい時間になっていた。膝を占拠している黒はすっかり寝てしまっている。少し考えてソファーに移動させ、私も寝室に向かう。と、いつ起きたのか猫がついてきた。
「あれ?寝てたんじゃないの?」
ソファーに戻るよう促しても、後ろをついてくる。
「ん~…一緒に寝たい、ということですか?」
もちろん!みたいな顔されたよ。まぁいっか、猫くらいで狭くなるわけじゃないし。
「ではベッドにどうぞ。そのカバー気に入ってるから引っ掻かないでね。」
一応注意して、ベッドにもぐる。猫は足元のあたりでもぞもぞといい所を探しているようだ。フィットするところを見つけたようで、大人しくなった。
「おやすみ。明日は晴れたらいいね。」
挨拶をして、さて、私も寝よう。
ほっぺがくすぐったい…奇妙な感覚で目が覚めると、猫が顔を舐めていた。
「おはよ。よく眠れましたかな?」
なぉん、と鳴いてベッドから降りた。朝ごはん用意しなきゃ。
今朝のメニューは猫はカリカリのキャットフードにミルク。私はベーコンエッグトーストに野菜を少々。二人で食べるとちょっとおいしく感じるから不思議。
「さて、私はそろそろ出るよ。晴れたし、君も出ないかな?」
窓を開けてやると、外に向かった。お出かけするんだね。
「いってらっしゃい。またおいで。」
なぁ~ん、と言ってどこかへ歩きだした。晴れてよかったね。さて、私も行きますか。
この時、夜にまた猫が来るとは思わなかったよ。そしてそのまま同居することになるなんてね。