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2.お客さまがいらっしゃいました

4月を目前に控えているにもかかわらず、分厚いコートをまだ仕舞えない気温が続いている。「うあ~寒い~」

コンビニでカイロがわりに買ったホットココアのボトルを握りながら家に急いでいると、真っ黒いモノが動いていた。

「なんだ…?わ~ぶー猫~」

黒いモノの正体は、でっかくてふさふさの黒猫。しかも目付きが悪い。声が聞こえたのか、猫が振り向いてじっと見てる。…挨拶しとくか。

「今日引っ越してきました。よろしくねー」

手を振ってみると、答えるように「な~ぉ」と鳴いた。なかなか迫力のある声でいらっしゃる。

挨拶が済んだら、しっぽをぴんと立てて歩きだした。どうやら見回りらしい。寒いのにご苦労なことだ。


「あら、お帰りなさい。」アパートに着くと、トシさんが外で掃除をしていた。ただいまと言って、さっきの猫のことを話した。

「あの黒い猫ね。この町のボスなのよ。あんな顔だけど人には馴れてるみたいでいろんな人からご飯をもらっているのよ。」

なるほど。だから逃げなかったのか。今度会ったらなにかあげようかなーなどと考えながら部屋に戻り、片付け再開。夕方までにはそれなりにしたいな。


「とりあえずこんなもんかな」

一通りの荷物を片付けて、ぐーっと背伸びをする。…背中ぽきっていったな…と、窓を見ると外に黒い丸が見える。丸?気になって窓を開けると、

「なんでアナタがいらっしゃるんです?」

あの猫だった。ここは2階。どうやって登った?と不思議に思って回りを見ると、はしっこの部屋のベランダのそばには大きな銀杏の木。あそこから登ったのね。

「ご苦労さまです。せっかくだからなにか食べます?」

1日に2回も会うとは何かの縁と思い、ご飯に誘ってみた。ツナ缶あるし。「な~ぉ」と返事をして入ってきたので、食べるらしい。

「いらっしゃいませ。ちらかっててごめんね。」

そこらへんに座っててくださいね~と言ってみる。…別に動物と話せるとかって特殊能力があるわけじゃないよ。なんとなく話しかけてるだけで。以前友人には「変なの」と言われたけど、私にとっては普通なの。

「お待たせ。ツナ缶だけど食べれる?」

小皿に盛って置いてやると、ふんふん匂いをかいで食べ始めた。お口にあったみたいね。横にお水も置いてやり、私も夕食にした。猫と夕食…いいかも…


「お、そろそろお帰りですか?」

猫が窓の前で「な~ぉ」と鳴いたので開けてやる。

「お気をつけて。またおいで。」

頭をなでてやると、満足そうにどこかへ歩きだした。また来てくれてるかな?なんとなくいい気分でお見送りした。

動物に話しかけるのは私です。みなさんはしませんか…?

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