モノのコトバ
八月中旬、うだるような暑さを感じながら登校。
何故夏休みに登校しているかというと、今日は夏期講習の最終日だからである。
教室に入り、友達が来てないため、俺は一人で隅の方に座る。
今更ながら自己紹介。俺の名前は田中健二。彼女いない歴16年=年齢。嫌いなモノ、勉強。
講習は親に強制的に……くそっ!!
先生が入って来て、1時間×3の講習が始まる。
「さて、今日もがんばろうな、シャーペン君」
寂しかったのでシャーペンに話しかけ、無駄に返事を想像してると、
「フハハッ、芯のやつ……今日もイジメてやる!」
…………なんか聞こえた。
シャーペンの芯を出しながら、もう一度耳を澄ます。
「いてぇっ!頭押すんじゃねぇ!」
…………………シャーペンが喋った?
周りの生徒は無反応。聞こえるのは俺だけみたいだ。
とりあえず黒板を写す。
「オラオラオラオラァ〜!」
………シャーペンはノリノリだ。何故か。
そういえば、芯がどうとか言ってた気がする。芯に意識を集中すると、
「痛い、やめて!削れてく〜……」
「オラオラオラオラァ〜!」
シャーペンは芯をイジメてるらしい。
黒板を写し続けるが、その間ずっと芯の悲鳴が聞こえる。
…………………何、この罪悪感?
集中出来ずに書き間違える。消しゴムで消すと、
「俺の努力がーーーっ!!」
芯の叫び声。だから何この罪悪感!?
消しゴムに集中してみる。
「ハハハハハッ、ウケる!ウケるーっ!芯ドンマイ、ハハハッ!」
消しゴムどんだけ笑ってんだよ!?性格悪っ!!
キーンコーンン……
俺の文房具の本性がわかったところで一時間目終了。
どうやら今の俺にはモノの声が聞こえるみたいだ。
間もなく二時間目が始まった。
俺の持ち物は気にしないようにする。そして、ふと黒板に集中する。
「見ないで〜!皆して僕を見ないで〜!恥ずかしい〜!」
……黒板はシャイボーイでした。
続いてチョークに集中。
「もっと、もっと黒板に叩きつけて!もっ…………」
精神的に良くないので集中を切らす。
……お、先生が寝ている生徒を発見したぞ。
先生は起こすために黒板を……叩いた。叩く音より大きな絶叫が響く。
「ぐぁぁぁっ!!肋骨がぁぁーっ!!」
こ、黒板ーーーっ!!
それでも起きない生徒に、先生はチョークを……投げた!
「I am flying!!」
何言ってんだコイツ!?しかも何気に発音良い!
キーンコーンン……
二時間目が終了した。床にはチョークの残骸が転がっていた。
教室を移動し、三時間目が始まる。
今回はプリント演習だ。プリントに意識を集中する。
「バイバイ……」
「今まで、ありがとな!」
「僕達は、未来に向かって、羽ばたきます!」
などなど、後ろに回される度に別れの挨拶を交わしている。
プリントを解きはじめて、しばらくすると……
ビリッ
「「「た、田中ーーーっ!?」」」
「はい?」
返事をすると、
「どうした、田中?」
先生に怪訝な顔をされた。
「いや、呼ばれた気が……」
「気のせいだろ」
ビリビリッ
「「「田中ーーーっ」」」
まさか田中って……
「皆、田中が……破られた。」
プリントかよ!?何で名前があるんだよ!?
「うぅ……健一ぃ……」
しかも名前似てるし!
気分が悪いので集中を切らすと、
キーンコーンン……
三時間目が終了。
………いつもより疲れた。
よし、帰ろう!明日は普通であることを願いながら。
どうも、カルタです!
今回は……今回も学園コメディーです。ワンパターンでスミマセン。
つたない文章にお付き合いいただき、ありがとうございました!