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マジックキャッスル〜時読みの王女を救うツアー  作者: nekorovin2501


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第1話 異世界と、初めての魔法

「本当に魔法が使えるんですか……?」

佐藤健太、三十一歳、普通のシステムエンジニア。

私は『マジックキャッスルツアーズ』のカウンターで、パンフレットを何度も読み返していた。

向かいの新人社員・星野葵さんが、にこにこしながら答える。

「はい! このツアーの最大の特典です。

異世界に到着した瞬間、参加者の方だけが『ツアー特典魔法』を使えるようになります。

最初は簡単な光や小さな盾くらいですが、使っているうちにどんどん上達しますよ。

王女様を助けるために、ぜひ魔法を活用してください!」

「ゲームみたいだな……」

「まさに異世界体験ツアーですから!」

星野さんは金色のチケットを差し出した。「明日朝9時、電話ボックスでチケットを入れてください。

私はここで待機していますので、現地でのことはすべて佐藤様にお任せします。

3日後に無事帰ってきたら、感想を聞かせてくださいね。頑張って王女様を救ってきてください!」

……社員は異世界には行かないらしい。全部俺一人でやるのか。

翌朝9時。

古い電話ボックスにチケットを挿入すると、眩い光が包み込んだ。

次の瞬間——私は石畳の広場に立っていた。

空には二つの月。 中世のような城下町が広がっている。

「ここがマジックキャッスル……」

呆然としていると、銀髪のメイド服の女性が近づいてきた。

「ようこそ、佐藤健太様。私は城の案内役、リリアです。

今回のツアーは『時読みの王女を救うプラン』。どうぞ城までご案内します。」

城の中へ入ると、豪華なシャンデリアと魔法の灯りが迎えてくれた。

謁見の間で待っていたのは、銀髪の美しい王女——エレノア・ヴァルディア。

十七、八歳くらい。透き通るような白い肌と、疲れ果てた瞳。

「あなたが……現代から来た、助けてくれる人?」

エレノアの声は小さかった。

私は深呼吸して言った。

「はい、佐藤健太です。旅行ツアーで来ました。

王女様を救うのが今回のミッションですね。よろしくお願いします。」

エレノアは静かに頷き、淡々と話し始めた。

「私は時読みの能力を持っています。

未来を何度も見てきました。三日後、この城は反乱軍に攻め落とされ、私は処刑されます。

王国も滅びる……それがいつもと同じ結末でした。

でも今回だけは、違う未来が見えた。現代から来た人が、私を救う分岐が。」

彼女の瞳に、わずかな希望が浮かんだ。

そのとき、リリアが優しく言った。

「佐藤様、ツアー特典の説明をいたします。

右手をかざして『光よ』とイメージしてください。」

私は言われた通りに右手を前に出した。

「光よ……?」

瞬間、手のひらから柔らかい白い光がふわっと浮かび上がった。

「うわっ!? マジで出た!」

光は小さなボール状になって、ふわふわと宙を漂う。

エレノアの目が大きく見開かれた。

「すごい……本当に魔法が使えるのね。」

リリアが微笑む。

「ツアー参加者だけが使える特別な力です。

最初は弱いですが、王女様を助ける過程でどんどん強くなります。

『癒せ』『盾になれ』『風よ』など、イメージしやすい言葉で発動しますよ。」

私は興奮を抑えきれなかった。

普通のサラリーマンが、異世界で魔法が使えるなんて……これが本当の「体験ツアー」だ。

「じゃあ、早速試してみようか。

エレノア様、俺の魔法で何かできることある?」

王女は少し戸惑いながらも、手を差し出した。

「私の時読みは、能力を使うと体力を消耗するの……少し疲れているわ。」

「じゃあ『癒せ』でどう?」

私は右手をエレノアの肩にかざし、イメージした。

「癒せ……!」

手のひらから淡い緑色の光が流れ、王女の体を包んだ。

エレノアが小さく息を吐く。

「……あ、肩の重さが少し軽くなった。

ありがとう……本当に魔法が効いている。」

彼女の頰に、わずかな血色が戻った。

私は胸が熱くなった。

魔法を使って、誰かを助けられた。

これがツアーの醍醐味なんだ。

「よし、じゃあ本格的にプランを立てよう。

第1日目は城内を回って反乱の情報を集める。

俺の魔法で安全を確保しながら、エレノア様の時読みと組み合わせる。

現代の知識もフル活用するよ。

反乱軍の弱点とか、城の防御を強化するアイデアとか。」

エレノアが、初めて小さく微笑んだ。

「あなた……本当に変な人。

でも、なんだか久しぶりに希望が持てたわ。」

リリアが紅茶を運んできた。

私はスマホ(電波は入らないがメモ機能は使える)を取り出し、作戦メモを始めた。

城の外では、遠くで不穏な雷鳴が響いた。

それは三日後に迫った反乱の前兆かもしれない。

でも今は、魔法が使える興奮と、王女の小さな笑顔で胸がいっぱいだった。

普通の俺が、異世界で魔法を使って王女を救う。

こんな体験、絶対に忘れられない。

マジックキャッスル3日間ツアー——

俺の「助ける物語」が、今始まった。


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