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第70話 叙爵祝い&収穫祭

 秋も深まり、あらかた収穫が終わった頃、前回来た侯爵領に拠点を持つ行商人がやってきた。

 収穫祭の始まりだ。この日は工房村の人もやってきている。廃村の方の村には個別に収穫祭ができるよう行商人がここに来るまでに、行ってきたそうだ。

 賑やかな昼間の買い物風景。

 痩せた人々はもういない。服も、ルヴェール染めの工房ができた関係で、藍色の服を着ている人が増えた。藍染めの服は商人が仕入れるほうだと聞いた。ただ、今は王家や侯爵家優先で作っているから一般にはまだまだ普及しないとか。

 作務衣とかいいな。動きやすいし母に頼んで作ってもらおうかな?


 そういえばガラス細工とかってないんだな。普通の瓶やコップなんかも、平民が買える値段じゃないからなんだろうな。鏡はすごいぼったくり価格って聞いたしなあ。

「買いたいもの、あったか?」

「うーん、今は特にないかなあ? 面白い種とかなかったし」

「面白い種とは」

「あ、行商に……今はお店をやってるんだっけ」

 村に商店を構えてくれた商人さんだ。

「坊っちゃんは村に来ても寄ってくれないからなあ」

「なんかね、買い物すると大事になるから年二回にしろって……」

「言ってない。言ってないぞ」

 商人からのジト目を受けて、師匠が慌てた。

「てへ」


「坊っちゃんの喜びそうなものと言えば、こいつかな?」

 商人が種を出す。

「やっぱり家畜に使う飼料なんだが、カブに似ててな。寒い地方でも育つから仕入れたんだがどうかね?」

 師匠がじっと種を見ている。あれかな? 砂糖大根かな? あれって、品種改良必須だったんじゃない?

 師匠が俺を見た。そして視線を種に戻した。ため息を吐いた。

「買わせてもらう。農業師にお願いしたらいい結果が出るかもしれないからな」

「まいどあり~!」

 商人のほくほく顔に対照的な師匠の苦虫を噛み潰した顔。

「ルオ、あの農業師に預けて栽培してみてくれ」

「はい!」

 やっぱり砂糖大根? 夢が広がる!

「見ているうちに鑑定結果が変わるとか。勘弁してくれ」

 そんな師匠の呟きは俺の耳には届かなかった。


 夕方近くなり、広場にテーブルと椅子がセッティングされる。収穫祭の始まりだ。少し高く作ったひな壇に父が昇る。

「皆のおかげでいろんな産業も軌道に乗り、領が豊かになった。それから皆に報告がある。私は再開発した村を譲り受け、領が広がった。そのため、子爵位を拝受し、ルヴェール子爵領となった。領都の建設も来年には本格的になるだろう。新しい村には順次挨拶に向かうことになる。さて、今日は存分に、食べて飲んでくれ!」

 ああ、このことがあるから、待っていろって事だったのか。いつもはこの時間には屋敷に戻ってるからね。

 わああという声とともに、おめでとうございますとの声がたくさんあがった。

 あちこちでエールの杯を打ち合わせて喜ぶ、村の皆。


「ルオもありがとう。お前のおかげで、ずいぶん助かった」

「ほんと? 嬉しい。でも師匠や神業農業師さんや、ハンスたちが居なかったらできないことばかりだった気がするよ」

「ああ、もちろん皆に感謝している」

 父の手が伸びて頭をぐりぐりする。

 それを見て村の皆が微笑ましそうに俺を見た。うう、照れる。

 本格的に酒宴になる前に師匠と一緒に屋敷に戻った。


「師匠はお酒飲まなくていいの? 好きなんでしょ?」

 夕焼けに染まる道を師匠と二人で歩く。

「ああ、あの酒宴は村民のお見合い会場だから、遠慮しておく。俺は一応独身だからな」

 そういう師匠の前髪は前にかかっていて顔が見えない。身だしなみがどうこうって村の女の人から時々言われているのに、村では顔を出さないんだよな。なんでだろう?

「師匠ならモテモテなのに!」

「よせよ。そういうのはあんまりな」

 ちょっと苦い顔になった。なにか女の人関連で痛い目とかあった過去とか。

「そっか~」

 地面に映る影が伸びている。もう、陽が沈む。村の方からはワイワイと楽しげな声が聞こえた。

 この日ばかりはランプや蝋燭が惜しげもなく使われる。

 坂の上から見る村は光が点々と見えて、前世で見た夜景を思い出した。


「ただいまー!」

 開けられる扉から漏れる蝋燭の光。暖かい光が俺たちを迎えた。

次の投稿は明日になります。


異世界の定番甜菜。

甜菜は北海道で作られていてスーパーなどで売られています。

デザートには砂糖が必須。

エリックがいろいろとデザート(美食の神の加護で)を作ってくれるようになるはずなので

のちのがっぽがっぽ案件になります。

栽培や品種改良には神業農業師がいるので問題ありません。


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