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魔術師長ハズリー・ロールデンスの呟くには。

 うん、まず犯人ね。これは、陛下の元婚約者だった。王妃の前に婚約してた女性だ。魔力量が多く、侯爵家の者で生まれたその時から組まれていた縁談だったらしい。

……けどね、精神薄弱で王妃には向かないだろうとされていた女性だった。結局婚約を解消したんだけどーーー彼女が納得する前に全てが終わってしまったようだね。


 陛下は愛やら恋やらと言う感情がするっと抜け落ちてるからね。政治的に見ての判断だったんだけど、女性の感情にはてんで鈍く気づかなかったそうだ。


 王妃様が大層嘆いてたよ。国外から嫁いできたからそんな騒動があったことは全然知らなかったって。

 

 それで、だ!表面上は円満に婚約は解消され、件の女性は修道院へと入った。これは彼女の両親の判断でね、貴族として生きるにはあまりにも繊細だったので俗世では生きづらいだろう、と。そこでの彼女は敬虔な修道女そのもの。近年では副院長を任されているほどだった。




ーージークと、アルトネアの新聞の記事がきっかけなんだって。

ほら、あったでしょ?大々的な結婚式を予想すると言ったものが。


 それを、見てしまったんだな彼女は。陛下の結婚式の時は修道院の中で俗世の情報は入ってこなかったから大丈夫だったんだろう。しかし、今回はある程度の立場もあり、外出もできる状態で。ーーー孤児院のための買い出しの時に見てしまったんだそうだ。


ーーーそうして、思い出してしまった。自分が陛下の婚約者であった事、突然に解消された理不尽に、悲しみーーー怒りを。



 彼女は頭が良かったんだね。多分ジークの為に怒る人がいた事も織り込み済みだったんじゃないかな。じゃなかったら囚人に移してはい終わり〜って出来たからね。

 わざわざ、親しい人にしか移せない制約をかけてまでの恨みだよ。


ーー…そんな、とても古い呪いを彼女はどうやって知ったと思う?


……同じ魔術師として非常に許せないが、そういう知識を彼女に植え付け、実行した人間がいる。彼女はこうなる前はその魔力を修道院に来る難民のために使っていたんだ。そういう人だったはずなんだ。居る。ーーー弱っている人間をさらに落とそうとする悪魔が


 私が、必ず解決する。これは魔術師として違えちゃいけないことなんだ。


 え?その女性は今どうしてるかって?

……呪いはね、強ければ強いほどその反動も大きいんだ。

 見つけた時にはもう、廃人になっていたよ。

 今は繰り返し、幼な子が歌う童謡を一日中歌うだけの、人形になってしまった。



 ーーところでさ、みんな酷くない?

 私はこんなに頑張って色々調べたのに、呪いが解けたからか全然聞いてくれなくてさ。

 流石にジークは真剣に聞いてくれたけど、クルトなんかまーぁ鼻の下伸ばしちゃって!

 ……幸せそうだから、良いけどね。


 おっと、もう行かなくちゃ。

 

 聞いてくれてありがとう。


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