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 久しぶりに、堂々と城の廊下をクルトは歩く。

 すれ違う人々はそんな彼ににこやかに挨拶をしたり、見惚れたりとした反応を見せるが、それに応えつつもどこか冷めた心は戻らなかった。


(あぁーー本当に、こんなものか)


 これも呪いの効果の一つなのかもしれない、とクルトは思った。

 彼は今後この疑心を抱きながら生きていくのだろう。






 ジークフリードの執務室にはすでに関係者が集まっていた。


「ーーっクルト…すまなかった…良かった…本当にっ…」


 クルトの姿を見たジークフリードは彼に抱きつき、人目も憚らず涙を流す。

 


「クルト…長い間ご苦労様でしたーーーありがとう。あぁ、髪の長さはそのままなのね。後で整えさせましょう」


 震え声で目元を拭いながらアルトネアが声をかける。


「ねえ、相手はやっぱりルディア?結局どこまでの行為が解呪条件だったの??」


 呪いについて聞くのはハズリーだ。



「……解呪条件は貴方の予想通りですよ」


「あー、やっぱり!え!ってことは彼女あの姿の君とヤっ「ハズリー!!!」


 大声を出したのはアルトネアだ。


「……あぁごめんごめん!で、もう全部消えたの?体のどこにも残ってない?この後完全に解呪されてるか確認させてね!」


「…お願いします。見かけは全て消えていると思うのですが…貴方に見てもらった方が心強い」


「うむ!僕は君のそう言うところが好きだよ!あぁ、後、下世話ですまないが呪いは昨日の夜あたりに解けた計算でいいかい?」


「いえ、3日前の夜です」


「………3」


 思わずハズリーも絶句する。


「えっ…3日前……??あ、あのクルト?今日ルティアは……?」


「あぁ、今はよく寝ています。とても疲れたでしょうから」


「………」


「………」


「……クルト、お前体力が有り余っているとは思っていたが、まさか絶り「ジーーーク!!!」


 アルトネアの叫び声は廊下まで響き渡った。







 季節は巡り、暖かく花々が咲き誇る時期となった。

 華やかなパレードが街中を動く。

 あちらこちらから歓声が聞こえる。

 そう、今日は遂にジークフリードとアルトネアの結婚式なのだ。



「わぁ!見てくださいクルト様!アルトネア様のお綺麗なこと…」


 ほぅ、と本日の主役に見惚れるルティアの横顔にクルトは笑みをこぼす。


 蜂蜜色の髪飾りに、菫色のドレス。

 そんなルティアがクルトの横に居れば彼女が誰のものなのか一目瞭然である。

 ふいにルティアがクルトを見上げて、満足そうに笑った。


 もう侍女ではなくなったルティアの指先は白く、綺麗に整っている。

 その手が自身に伸ばされるのに気づいて、クルトは少し膝を折る。

 そんな彼に、ルティアはさらに嬉しそうに笑いながらクルトの短く整えられた横髪を彼の耳に掛けた。

 その耳に光る若葉色の飾りがよく見えるように。


「ふふっ!よく似合っていて嬉しいです」


(あぁ…本当に。俺はルティアに一生敵わない)


 その瞳があまりにも純粋に独占欲を、これ以上ない程の愛おしさを伝えてくるから。

 クルトはとてもとても、言葉に表せないほどに苦しくなってルティアを力一杯抱き締めた。



 そんな2人を花吹雪が包んで。



 それはまるでルティアの大好きな絵本のようで。



 2人は物語のようだった。



クルトは王子様みたいな爽やかな外見で、声はとても低くて、怪力で、体温高めの愛の重たい男です。

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