オークの小間切れ(給食室)
そういえば男に戻ってから発砲してなかったっけ。
なぜこんなことをボクは思い出したんだろう。ボクの愛銃"マグナム44"が復活してからまだ数日ということもあるけれど。
ジュポジュポジュポレロレロレロチュバチュパチュパ
濡れた音が聞こえる。腰のあたりがとにかく気持ちよかった。懐かしい感覚。こみあげてくる喜びに身を任せる。
ぅっ
情けない。夢の中で発砲してしまった。若いんだから仕方ないよね。
レロ
あれ。なんで。発砲してニューナンブにサイズダウンしたはずのボクの愛銃にまだ刺激が続く。ハッと目を覚まし、下半身に目をやる。
そこにはボクのサーヴァント"ドライアド"がいた。彼女と目があう。ボクの愛銃を口でお掃除しながら彼女が言う。
「ごちそうさまでした。こより様」
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
「この世界に精霊やモンスターが生存するためにはエネルギーが必要です」
「モンスターなら人間や同胞を喰います。精霊の場合はマスターの体液になります」
なんだよ、そのエロゲ設定。
「唾液じゃだめなの」
「それではエネルギー量が少なすぎます」
はぁ。それ先に説明してよ。だいたい、契約精霊に夜這いみたいな形で絞りとられたボクの立場はどうすんのよ。まあ人間じゃないからノーカウントかもしれないけれど。
「こより様なら、下の口も遠慮なく使っていただいて構いませんのに」
「それ完全にR18設定だからダメ!!」
ふと気づく。サーヴァントを維持するには宿主の体液が必要だと。じゃあ女の子の場合はどうなる。ユリユリな展開になってしまうのではないか。
サーヴァントが女性タイプだけでよかった。こんな美形の男サーヴァントがいたら、ダンジョンが発生しなくても世界は滅ぶ。人間の男性が相手にされなくなるからだ。
「きっと今頃、みなさんもお楽しみですよ」
「あー」
「明日の朝、自らのサーヴァントにメロメロにされた百合様たちのお顔を拝見するのが楽しみですわ」
「それはどうかな」
「は」
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
「これは」
ドライアドはポカンとした顔をしていた。
どーん。
イフリート、ウンディーネ、シルフがデれていた。堕ちていた。三人が三人とも宿主にメロメロにされていた。
ピッタリと寄り添って甘えちゃってるぞ。あのクールなシルフまでメス顔晒しちゃって。
「百合様♡」
「短冊ちゃん♡」
「織姫様♡」
ドライアド。キミは知らないだろう。この三人はこと対女性戦においては無敵だということを。ボクも女性化したときに散々いじめられたから実力は知っている。
涼しい顔をして自販機のジュースを飲んでいる三人を見て頼もしく感じるボクがいた。
あとから恋人の百合ちゃんにドライアドのことを聞かれた件についてはいつか話そう。
学園ダンジョン化 二日目 午前
ここまでの学園の状況を説明しよう。
ダンジョン化した学園だけど、電気や水道は使える。自販機も緊急対策時に使えるタイプなので無料で飲める。
電気があるからラジオやテレビも見れる。すでに政府にも連絡済みだ。
水があれば人は一週間生きられる。体も拭けるし、トイレも困らない。水洗いになるけれど洗濯もできる。
あ、外には逃げられなかった。正門までは移動できるけれど、正門から外に出れないのだ。正門から自衛隊が物資を入れることはできたけれど、入れた物資や人を出すことはできない。
いわば「来る者は拒まず。去るものは許さず」となる。
トラップもいまのところ無し。単純にモンスターが学園内で発生しただけみたいだ。
「ボスを倒すしかないか」
「学園からモンスターを一掃しないとね」
「今日はどこを攻略しますの」
「給食室にしよう」
「物資は心配ないけど、うちは調理ができるからね」
学園には給食室があった。だから食材さえあれば食事には困らない。でも給食室はオークに占領されていた。おそらくボスのオークキングもいるだろう。
作戦開始だ。
オーク。豚の顔をした人間タイプのモンスター。体は大きく、力も強い。武器はぶっといこん棒だ。
作戦は簡単。雑魚を蹴散らしボスを倒す。
作戦はあっけなく終了した。シルフ無双だった。だって雑魚どころかオークキングまで風の刃で小間切れなんだもん。
オークの小間切れ。さっそく取り戻した給食室で調理してもらう。昼に皆で美味しくいただきました。
ボスからドロップしたカードはドライアドだった。職員室を守るため、ボクの担任に使役してもらうことにした。
もちろん独身かつ恋人がいない先生を最優先した。妻帯者を選んだらボクが後から奥さんにぶっ転がされてしまう。
それにしてもドライアドと契約したときの先生の顔は面白かったなあ。
もちろん夜のことは伝えなかったよ。だってそのほうが面白いじゃないか。
はい異世界シニアです。
学園ダンジョン化の二日目、午前となります。
次回、二日目 午後(仮)