スライム討伐戦(女子トイレ)
「こよりくん!!」
「百合ちゃん!!」
恋人の百合ちゃんがボクに抱きついてくる。無事でよかった。ここは学園の職員室。地震のあと、校舎内でゴブリンなどのモンスターが発生していた。
心配になってボクの様子を見に来てくれたんだ。まったく無茶しちゃって。
「最強の般若がなにをいいますやら」
「しらじらしいですわ」
非常時にイチャコラしているボクらの横で七夕短冊ちゃんと帝織姫ちゃんのお嬢様ズがぼやく。
ガシッ
二人の顔面にアイアンクローが極まる。
「短冊ちゃん、織姫ちゃん。いま何か言った」
「「何も言ってませんわ!!!」」
「そう。わたしの空耳かしら」
恐ろしい。実はボクの恋人の百合崎百合ちゃんはボクよりも強くて「般若」と密かに呼ばれている。きっと廊下にはモンスターの屍の山が築かれているんだろうな。
「ところでそちらの綺麗な女のひとは誰」
「はじめまして。こより様の肉奴隷ドライアドと申します」
「ちょっ」
なんて挨拶をしやがる。お前、ボクを二話でロコしたいの。実は敵なの。
「こよりくん。ちょっとお話しようか」
「ジョークだって。この人はゴブリン・リーダーを倒したらカードになってでてきたんだよ」
「そのカードならあたしも持ってるわよ」
「「!!!」」
「だって、職員室に行こうとしたら邪魔するんだもの」
足技で転がして一分で絞殺したらしい。ほとんど瞬殺じゃないか。恐ロシアいや恐ろしや。
ほんとだ。なんか燃えるように赤い衣装を着たキレイな女の人の絵が描いてある。これは・・・イフリートですね。ドライアドが教えてくれる。
「これはサーヴァントカード。モンスターを倒すとドロップする味方の精霊です」
「百合ちゃん、イフリートって言って」
「うん、イフリート」
ぴかっ。
百合ちゃんの前に炎をまとったキレイなお姉さんが現れた。
「イフリート。マスターと永久に」
あ。説明する間もなくイフリートが百合ちゃんに口づけをする。国語の佐藤愛先生が「きゃっ」「尊い」「百合最高」とつぶやいていたのは聞かなかったことにしておこう。
「こよりくん。これどういうこと」
ハンカチで口をぬぐいながら百合ちゃんが説明を求める。
「サーヴァントと契約するには体液の交換が必要なんだって」
「本当は精液を体内に注入するのがもっとも効果があるんですよ」
ちょっ、、ドライアド。お前すこし黙ってろよ。
「へぇー」
「なんでしょう。百合ちゃん」
「体液交換したんだ、ドライアドさんと」
「ええ。すごく濃厚なディープキスでしたわ」
「とても嬉しそうでしたわよ」
短冊ちゃん、織姫ちゃんまで!!ボクの意思じゃないのに。
「これはお仕置きが必要ね」
「ごめんなさい!!」
そのとき担任の先生がやってくる。
「職員室でイチャコラはやめてくれんか。あとキスもな」
「はぁい」
「こより。織姫さん。さっきは本当に助かった」
「ありがとう」
「ありがとう」
先生たちからお礼を言われるとくすぐったくなる。
「短冊さんは"それ"緊急時以外には出さないように」
「わかりました」
さすがに護身用とはいえ日本刀を振り回す女子中学生はやばい。
「校内がどうなっているか心配だ。すまないが様子をみてきてもらえないだろうか」
「お前たちより強い人間がここにはいない。生徒にお願いすることではないのかもしれないが」
「死人が出てからでは遅いんだ。どうか頼む」
「わかってますよ、先生」
きゃあああああああああああああああああああああああ!!!!
そのとき廊下から女子生徒の悲鳴が聞こえてきた。
「行こう!百合ちゃん」
「うん!」
ボクたちは職員室を飛び出した。
「あー、これスライムっすねー」
到着した女子トイレの壁や天井にうようよと青色のスライムが大量に貼りついていた。
やる気のなさげな百合ちゃんのサーヴァントのイフリートが説明する。お前、マスターの百合ちゃんとボクの扱いの差が激しくないか。ドライアドが説明を補足する。
「スライムは基本、無害です。ただ・・・」
「女性の洋服だけを溶かします」
「存在意義どこにあるんだよ」
「キング・スライムまで進化すると人間も数分で溶かしちゃいますけどね」
「ヤバいじゃないか」
女子が個室でお花を摘んでいるとき、壁や天井からスライムが降ってくる。制服や下着まで溶かされた女の子の被害報告がすでに数件あがっていた。
いずれは死人がでるぞ。さっそく退治しよう。
「アチョ!!」
ぽよん。
「阿!!」
ぷよん。
なんとハンガーヌンチャクもキックも効果がない。すべて威力が吸収されてしまう。打撃効果が薄いため、ゴブリン・リーダーよりも厄介な相手だった。
「こより様。わたしがやりましょう」
「やってくれるか、ドライアド」
「はい。次はご褒美に精液をくださいね」
「おいやめろ」
ドライアドがスライムたちの前に立つ。ドライアドの足元から植物の根みたいなものがスルスルと姿を現す。
シュッ
次の瞬間。その根っこの先は針のように尖り、スライムたちを突き刺した。体内にある核を破壊したらしい。ミニスライムたちはそのまま消滅した。
それからボクたちは校内の女子トイレのスライムを討伐してまわった。
「そういえばサーヴァントって一人一体しかもてないの」
「いいえ。同じ精霊を重複はできませんが、ちがう精霊なら複数もてますよ」
つまりドライアド二体もてなくても、ドライアドとイフリートの合計二体はもてるわけだ。
「こよりくん。今度はサーヴァントでハーレム作るつもりなの」
「違うよ!!ちょっと知りたかっただけ」
「あとは倒さなくてもカードさえあれば契約できます」
「え。そんな簡単なんだ」
「それなら普通の子たちに契約させてあげたいね」
「うん。いいと思う」
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
ひととおり校内を巡回する。ゴブリンやスライムといった小物はあらかた片付いたようだ。
ドオオン・・・・
凄い音がした。旧校舎のほうだ。まだそちらまで巡回はしていなかった。もしかして・・・・
「キング・スライム!!」
デカい。ゴブリン・リーダーでも丸のみして消化できるサイズだ。
「ドライアド!」
「お任せを!!」
触手攻撃がさく裂する。だめだサイズが大きすぎる。あと水と樹は相性がよすぎないか。
「くっ」
「わたしがやってみる!」
百合ちゃんが前にでる。
「イフリート!薙ぎはらえ!!」
「お任せあれ!!」
イフリートの炎がキング・スライムの体を包む。おお熱でどんどん蒸発してスライムの体が小さくなっていくぞ。
パシュ
やった蒸発して消滅した。その足元には水色の髪の色をした女性が佇んでいる姿が描かれていた。これは・・・・ウンディーネ。
ボクはそのカードを拾う。そして離れたところで様子をみていた短冊ちゃんに渡す。
「はい、短冊ちゃん。ウンディーネって言って」
「こより様。わたし何もしていません。受け取れません」
「ボクが受け取ってほしいんだ。それじゃダメかな」
「いいえ!こより様の愛の証ならば短冊は喜んでいただきます!!」
「「おい」」
織姫ちゃんと百合ちゃんが怖い顔をして短冊ちゃんを睨む。
「ウンディーネ!!」
ぴかっ
「ウンディーネ。あなた様とともに」
「わたしは短冊。よろしくねウンディーネ」
短冊ちゃんは自分からウンディーネにキスをした。
はい異世界シニアです。
なんだか筆がのりまくりです。ど定番なネタだというのに。きっとハーレムネタが性に合っているのでしょうね。
次回ダンジョン学園。ゾンビ・ハンター(理科準備室)。