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遅くなりました。


 ひどい頭痛と体の痛みを感じながら目を覚ます。体を起こしながら視界に入る腕は裂けたような黒い痣ができている。腕の太さも変わっており、今までどちらかといえばやせ型であった腕は太く変化していた。腕を伸ばし眺める。顔をぺたぺたと触れてみるが顔面や頭部に変化は感じられない。体を触れて確かめていると服の感覚がないことに気づく。

 

 「全裸になってるし。」


 自身の服を探し、辺りを見渡す。周囲は気絶する前と変化はないが、足元には灰のようなものが散らばっていた。種族進化の影響だろうと考え、種族を確認することにした。


 名前:奈偽 心月

 種族:ゼアベラア 

 階位:0(新種族のためリセット)

 職業:(選択可能な職業が存在しません)

 特異技能:「突き」「蛮勇」「纏」New‼「心器:ルバガユヒ」New‼「闘争の異才」

 加護:


 聞いたこともない種族になってる。因子の影響だろうか。特異技能も変化しているものもある。


 種族:ゼアベラア

 完全なる新種。種族の特性として体内に取り込んだものを吸収しやすいというものがある。混沌の因子により同種族でも姿かたちが全く別になる可能性がある。


 特異技能:「心器:ルバガユヒ」

 効果:因子を取り込むための心器を呼び出す

 奈偽心月の心器。昇華の因子などの一部が込められており、物質を気体に変化させることが可能。


 特異技能:「闘争の異才」

 効果:戦闘における技術の上昇補正

 混沌の因子、枢要偉神経の因子、體操の因子により戦士の心得が変化した技能


 なんもしてないのに勝手に良さそうなのが増えてる。とりあえず、呼び出せるという心器を呼び出してみる。


 「ルバガユヒ」

 

 すると胸のあたりから光が漏れ形を形成してゆく。胸の前に現れた心器は煙管のような形をような形をしており、感覚的にこの煙管の使い方がわかる。本来、葉を入れるところにものを入れることができ、たばこのように使うことができるとわかる。服と一緒にたばこも消えてしまったし、どうしようかと考えていたところにこれだ。しかも永遠に使うことができる。いつかなくなると不安だったたばこもこれからは無制限だ。実際にもったいぶって吸わずに持っていたら消えてしまったし。とりあえず能力の確認も終わったし、さらに奥に進むとしよう。


 入ってきた扉とは別の扉があり、扉を開けると今までの洞窟とは違い階段になっていた。階段を下って行く。洞窟の中とは違い階段の下のほうが明るく照らされている。そこを目指し下って行く。光の当たるところまで行くといままで暗い中にいた影響で視界が光に染まる。まぶしいと感じる目をならすと視界に広がるのは大自然であった。階段の先は草原の丘についておりその先には森や山々が広がる。視界に広がる大自然に目を奪われながらふらふらと階段を下って行く。大穴を下り、ついた洞窟のさらにしたにこんな大自然が広がっているとは思わなかった。ふと光の正体を探るように上を見上げる。視界には青い広大な空が広がっており、光は太陽のように地上を照らしている。そんなことをしているうちに階段を下りきる。足の裏に伝わる草と土の感覚は幻覚の類でないことを伝えてくる。


 「すげぇ・・・」


 耳を澄ますと鳥な鳴き声が聞こえる。丘の下に広がる草原には馬のような生き物や牛のような生き物がいる。視界の中に人の痕跡や文明の物など見えず、一人世界に取り残されてしまったような感覚を覚えるが、もう人でなくなったことを思い出し生物をめがけ走り出した。

 踏み出した瞬間から風を全身に感じる。全裸であるためより敏感に感じることができる風はスケルトンたちと戦ってきたときの速度の比ではなく、体感ではバイクに乗っているときに感じたものに近い。あっという間に草原の中に見えた馬のような見た目の生物の近くに来る。馬のような生物の顔には二対の計4つの瞳があり、たてがみの毛はなく代わりに蔦のようなものがたてがみの代わりをなしている。植物馬と呼ぶことにしよう。

 植物馬の近くには牛のような見た目の背中に苔のようなものが生えたものもいる。とりあえず一番近い植物馬に狙いをさだめ突っ込む。走っていた速度を乗せて拳を植物馬の横っ腹に目がけて振る。植物馬は近づいてきていることに気が付いていたように見えたがほとんど抵抗することがなく拳が当たる。すると拳はスケルトンを殴ったときのような抵抗を感じることなく腹に入り込む。肩のあたりまで腕が入り拳の先が貫通する。違和感を感じすぐ右腕を引き抜く。少し抵抗を感じたがブチブチとなにかを引きちぎるような感覚とともに体の近くに腕を持ってくる。引き抜いた右腕には千切れた蔦が絡まっている。

 この植物馬は馬ではなく植物、それも食虫植物に近いものであると考える。腕を横っ腹に突っ込んだ時から全くと言っていいほど動いていない馬の脚を蹴って破壊する。植物馬の前足めがけて振られた蹴りは先ほどと同じように抵抗を感じることなく振りぬける。すると瞬く間に蔦が伸び修復していく。


 「すげぇ。考えられてんなぁ。」


 動物に擬態している理由は肉食動物をだまし取り込むため。四足歩行の理由は地面から離れることのリスクの回避のため。感動とすると同時に植物馬の頭のほうに回り体を入れ前足を持ち上げる。見た目のわりに軽くブチブチという音とともに前足が地面から離れる。後ろ足だけの状態になった植物馬を足払いをするかのように蹴り後ろ足を引きちぎる。すると持ち上げていた植物馬はみるみるうちに枯れていき枯葉のような状態へと変わる。だがスケルトンのように光の粒子になることはなかった。


 「なんでだ?本体が別にいる?」


 考えられるものとして地面をみると千切った足の部分の蔦が上に伸びようとしていることが見える。なんとなく草むしりの感覚でその蔦を掴み引っ張る。スポン!と音が鳴るかのように玉ねぎのようなものが出てくる。玉ねぎの表面には中年男性のような顔があり表情はすごく悔しそうな顔をしていた。じっと観察していたが表情が変わることもなく特に変化がなかった。ふとダンジョンに潜ってから何も食べていないことを思い出す。おなかが減ってきたような気がしてくる。おじさん顔面玉ねぎを食べるべきか食べないべきか。こんな顔だし毒なんてないだろ。というか毒なんて因子が何とかしてくれるさ!

 くだらないことを考えながら右手でおじさん顔面玉ねぎ略しておじ玉ねぎを掴み噛り付く。すると口の中に玉ねぎの甘味を感じた瞬間に手に持ったおじ玉が光の粒子に変わり吸収される。うまかった。苔牛も同じなんじゃないかと考え苔牛の近くに小走りで向かう。牛のほうには目もくれず地面に腕を突っ込み前足の蔦を掴み引き抜く。すると今度はニンジンが出てくる。ニンジンにもやはりおじさんの顔があるが先ほどとは違い怒ったような顔をしている。同じように噛り付くが味は渋くあまりおいしくない。顔をしかめながら粒子化したニンジンおじを取り込みながら視界に映る森のほうへ向かう。

 

 来る途中に見かけた植物馬たちの本体を取り出し両腕に抱えながら森の入り口まで来る。玉ねぎの顔はそれぞれ違っており、悔しそうな顔もあれば怒っている顔、泣いている顔、笑っている顔、真顔など様々だ。抱えていた玉ねぎたちを地面に落とし、食べ始める。やはりそれぞれ味が違い、泣いている顔が一番おいしくなく笑っている顔が一番おいしい。すべて吸収した後森に踏み込もうと向かう。踏み出した足が見えないものにぶつかり前に転びそうになるが、前方に倒れる前に見えない壁のようなものに顔面からぶつかる。


「いたっ」


 鼻を抑えながら見えない壁に手を当てながら立ち上がる。視界だけで行けない感じ?それとも赤スケルトンみたいなボス的なのを倒さないといけない感じ?こっちには行けないことはわかったし適当にうろうろして見つけるか。と考えていると。視界の端に膝ほどまである草原の草が揺れていることに気が付く。遠くからこちらに何かが近づいてきていることがわかる。近づいてきているものは草に隠れよく見えないがかなりの速さで近づいてきている。そちらのほうに体を向け思考を戦闘態勢に切り替える。向かってくる何かはこちらに近づいてくるにつれ体の大きさが明らかに大きくなりその姿は象のようなものだとわかる。その象の体は植物馬たちと同様に植物で構成されていて向かってくるまでの間に大きくなった体は明らかに象の大きさを超えている。このままじっとしているとさらに大きくなると危機感を直感的に感じ向かうように走り出す。力いっぱい蹴りだした体は凄まじい風圧を感じるとともに今間まで感じたことのないスピードを出す。地を蹴りだすごとにスピードは上がっていき、あっという間に象の元へたどり着く。そのスピードのまま象の眉間に飛び蹴りを当てることに成功する。象の体は植物馬たちと違い脆くなく、飛び蹴りの衝撃を受け態勢を崩し倒れそうになる。すると体から瞬く間に根のようなものが生え体を支える。態勢を取り戻した象は今度は自分の番だと言わんばかりに牙の部分を植物の蔦のようなものに変えこちらに伸ばしてくる。こちらに向かってくる蔦を手で払うようにし破壊する。蔦は植物馬たちの体のように脆く簡単にちぎることができる。しかしながらかなりの量の蔦の破壊に手間取っていった為、象は完全に態勢を立て直してしまう。すると象は前足をあげこちらを踏み潰すように落としてくる。その踏み潰しの攻撃をバックステップで避け、一番近い足に向けて拳を振りぬく。拳は左の前足に当たり、破壊する。体重を乗せた前足を破壊された象は態勢を崩し転倒する。自分の攻撃で発生した衝撃波を感じながら転倒した象の異様に硬かった眉間に向かい特異技能の突きを意識居ながら全力で拳を振るう。その拳は眉間に纏われた固い植物の皮膚を破壊し内部に侵入する。象の内部も固い植物で構成されていることを拳の感覚で感じる。固い植物で衝撃を吸収され、二の腕のあたりで拳が止まる。止まった先で柔らかい何かに当たった感覚を感じ、より深く腕を突っ込ませ柔らかいものを引き抜こうとする。しかし植物で絡めとられてしまい引き抜くことができない。柔らかいものを握りつぶすように拳に力を籠める。その柔らかいものは簡単に潰すことができ、手のひらに水気を感じる。すると視界に映る植物はみるみるうちに枯れてゆき、絡まっていた植物を簡単に引きちぎることができた。植物象は光に変わり、体内に吸収されていく。柔らかかったものは何の野菜だったんだろうと思いながらつぶやく。


 「強かったなぁ、ボスかな?」


 森に入れるかもしれないと思い、両腕を伸ばしながらの不格好な態勢で森のほうへ向かっていった。



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