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 大穴の中に続く階段を下って行く。上を見上げれば空が見え、月明かりが照らしている。進むごとに月の明かりは少なくなっていき、やがて月の明かりはなくなる。不思議なことに月の明かりがなくとも階段がわずかに発光しており、足元が見えなくなることはない。階段の光は自身の周りしか照らされておらず、視線の先は暗闇に包まれている。長い階段だなぁと考えながら歩いていると、ほんのわずかに違和感を感じる。違和感を感じた段を上ったり下りたりと往復してみる。かすかに感じる違和感は往復するごとに明確になっていく。見えないカーテンのようなものがある。ここからが世界とは違ういわば異界のようなものなのだろうと感じる。入口?始まり?がわかっても進むことはかわらんがな!ガハハ。はぁいくか。


 しばらく下っていると階段の終わりにつく、先ほどまで下っていた階段とは違い舗装された道とは違い平らではあるもののボコボコとした岩が所々みえ、すこし歩きにくい。それでも進んでいると、上を見上げた時に天井があることに気づく。洞窟のようだと感じる。洞窟の中は自分の足音しか聞こえない。コツコツと音を響かせ自分の存在を知らしめるかのように歩く。すると前方から自分の足音以外の音が聞こえてくる。カランコロンとなる音は次第に自分との距離が近づいてくる。足を止めてもその音は鳴りやまず、やがて音源の正体が暗闇の中から現れる。


「カタカタカカタ」


 音の正体は人の形をした骨であり、生きていたころでは考えられない骨の状態で歩いていた。学生の頃の理科室にこんなやついたなとすこし現実逃避をしながら考えていると、突然俺の存在を感知したように両腕を突き出し、走るような動作でこちらに襲い掛かろうとしてくる。応戦しようと小学生の頃習っていた空手の構えをし、応戦しようとする。が、骸骨は足元の岩に躓き転んでしまう。倒れた衝撃で骨同士をつないでいた不思議な力が外れバラバラになってしまう。頭蓋骨のみが足元に転がってくる。足元に転がったきた頭はカタカタと笑っているかのような音を立てている。何とも言えない気持ちになったが、そのまま踏みつけるようにして頭蓋骨を砕いた。砕かれた骨から光の粒子のようなものが自分に向かってくる。攻撃かと思い虫を払うかのように手を振り散らそうとするが光は風圧を受けている様子はなく、そのまま胸のあたりに当たってしまう。すると胸のあたりから熱を感じ、全身にその熱が広がるような感覚に陥る。やがてその熱は収まるが、体調の悪化は起きない。逆に階段を下っている際に感じた足の疲労感が軽減しているように感じる。少し違うが、似たような感覚を思い出しここが隕石の落ちた地点だと確信する。わくわくした気持ちでさらに奥を目指し、進んでゆくことにした。


 あれから何回か骸骨に遭遇し、拳で砕いたり、蹴り飛ばしたりして倒した。風情がないのでスケルトンと呼ぶことにするが、スケルトンは最初の遭遇でも分かっていたが非常にもろく頭を拳で殴ったときは腕が頭蓋骨を貫通し、蹴ったときは足でものを切るかのように砕けていった。洞窟は一本道ではなく二手に分かれていたり、三つに分かれていたりとしていたが方向は何となくで進んでいたため、気づいた時には帰り道がわからなくなっていた。さらば、俺のたばこたち。そんなことを考えながらスケルトンを倒し、進んでいると門のような扉のようなものが見えてくる。扉の先にはスケルトンの音が聞こえるが、音だけでその数が尋常でない数がわかる。さすがに脆いといっても囲まれれば何もできなくなってしまうと一瞬思ったが、帰り方を完全にわからない、迷子状態になってしまったため進むことにした。扉を開けると予想していたようにおびただしい数のスケルトンがいる。少し驚いたがやることは変わらず、視界を埋め尽くすスケルトンの群れの中に身を投げ入れた。


 右手を振れば何匹ものスケルトンが崩れ、一匹蹴とばせば何匹も巻き込んで倒れていく。不思議な力のおかげかあまり疲れることもせず、逆に倒せば倒していくだけ体は回復していく。どのくらい倒したのかわからないがスケルトンの数が減り始めていることに気が付く。そしてそこに1匹だけ少し赤みを帯びた骨のスケルトンがいることに気が付く。スケルトンの隊長格のようなものだと直感的に感じ、その赤スケルトンに走って近づき期待を込めながら腰をひねった勢いを乗せて右手を振りぬく。ドンっという衝撃音とともに右拳に固いものを殴ったとき特有の衝撃と痛みが返ってくる。普通のスケルトンとは違う固さを実感し、喜びに笑みを浮かべ殴った場所を確認する。下あご辺りを狙った拳は赤スケルトンの手のひらで防がれていた。ただ骨のみの手のひらでは衝撃を受けきれなかったようで受け止めた右の手のひらには放射線状にひびが入り衝撃の重さを物語っている。すると赤スケルトンの左肩が動くのが見え、視線を左手のほうに向ける。赤スケルトンの左手には1メートルほどの直剣が握られており、振り回すかのように弧を描きながら首をめがけて振られる。直剣に一瞬気を取られたものの、すぐにひざを曲げ体を下げることで回避する。そのまま曲げた右足に力を籠め飛び出すように蹴り出す。左足をストッパーにし上体に残ったその力を右拳に乗せ、骨盤をめがけ拳を振る。先ほどとは違い助走分の力の乗ったその拳は見事赤スケルトンの骨盤を砕き、態勢を崩すことに成功する。赤スケルトンは仰向けに倒れ、倒れた衝撃で直剣も手放してしまう。この好機を逃がさないためにすかさず頭付近まで駆け寄り瓦割をするかのように頭上から握りこぶしを仰向けに倒れた赤スケルトンに叩きこんだ。すると頭蓋骨は砕け、ほかのスケルトンとは違い多くの光の粒子が体内に入ってくるのが感じる。消えていく赤スケルトンの体をみて勝利の喜びを感じるとともにまだ周りにスケルトンの残兵が残っているのを見つけ、殲滅を開始した。


 周りに残ったスケルトンを倒しつくし周囲を確認すると、扉に入ったときは気が付かなかったが部屋のようになっていた。ダンジョンの中ではあるが高ぶりすぎた気持ちを抑えるためにポケットからたばこの箱を取り出し振るようにしてたばこを取り出しくわえる。たばこの箱をポケットにしまうと同時にライターを取り出し火をつける。火をつけてるライターを持つ手の震えからまだ興奮していると実感する。今までの日常の中では感じることのなかった未知との遭遇とその未知との死闘。興奮で一気に吸いすぎた熱を帯びた煙で、のどに痛みを感じながら粗ぶった心を静めるように一時の休息を楽しんだ。


 赤スケルトンの持っていた直剣は赤スケルトンが消えると同時に消えてしまった。あの直剣は赤スケルトンの体の一部つまり能力で生み出されたものであったのだろう。洞窟の探索最中、スケルトンの目の穴の中に石を投げ込んでみて、そのまま倒してみたが消えることはなかった。もし拾ったものであったのなら消えることはなかったのではないかと考えてはみたものの、あっているのか間違っているのか全く分からないため考えるのをやめた。部屋の奥には入ってきた扉とは違う扉がある。その扉に向かい警戒しながらゆっくりと押して開ける。扉の奥は今までと同じ洞窟が、広がっており敵の影は見えない。今までの道と同じということに若干嫌気がさしたが、戻るのも億劫のためそのまま進むことにした。


 奥の洞窟は見た目上変化はなかったが、スケルトンには変化があった。スケルトンは武器を持つようになったのだ。だが、赤スケルトンほどの耐久力はなく、前のスケルトンより少し硬いくらいの硬度であの熱い戦いを何度もすることはできないようだ。武器を持ったことでスケルトンは今までよりも若干凶悪になったといえるだろう。攻撃に当たれば、今までとは違い傷を負うことが予想される。気を付けながら進んでいかなくてはいけないと実感した。気絶して起きてからずっと起きて行動していたこともあり徐々に眠気を感じるようになってきた。さすがに寝ないとまずいなと考えながら洞窟をふらふら進んでいると天井が暗闇で見えない広間につく。大きな空間でスケルトンが何体か歩いているのがわかる。眠気の限界に来ていたこともあり広間を壁伝いにに進みある程度進んだところで座り、目を閉じた。


 寒さを感じ目を開ける。スケルトンに襲われると思ったが、この場では眠っている間に襲われることはないのだろう。起きたときにスケルトンが目の前を歩いていたが気づかれることはなかった。たぶん動いているものした生物として認識できないのだろう。だが眠った時よりも広場に集まるスケルトンの数は多くなっている。寝起きの運動がてらに倒すかと行動を開始した。


 広場の敵を殲滅し終えたあともフラフラと進みまた赤スケルトンのいたところのような扉を見つけた。扉を開け中に入るとスケルトンは一体しかおらずそいつは全身の骨が光沢のある藍色だった。手に武器はなく、襤褸のかっぱのようなものを羽織っていた。ローブというべきなのか?まあいいやとそのスケルトンに走って向かう。するとスケルトンは右腕を突き出し歯をカタカタと話すようにならす。すると突き出した右腕の前に渦のように炎が出現し、放たれる。


「火!?」


 向かってくる炎のスピードはかなり速く、回避を取ろうとするが前傾姿勢かつかなりの速度を出し向かっていたため無理だと反射的に判断し、両腕をクロスさせるように構え防御の姿勢をとる。炎の衝撃は強く前傾であった姿勢がぶつかるとともに後方へのけ反る。一瞬のものであったが両腕にはじくじくと焼けた痛みが響き。焼けた肉の臭いが鼻に刺さる。そうこうしている間に青スケルトンはまた右腕を突き出し炎を放とうとしている。直進は二の舞になると感じ、円を描くように走り始める。作戦は功を奏したのか放たれた炎には当たることがない。これをチャンスと考え一気に青スケルトンとの距離を詰める。近づいてくる俺にスケルトンは驚愕したように右腕を向けてくるが、その腕を左手でつかみ引っ張る。するとスケルトンは体勢を崩しこちらに向かってくるのに合わせて右腕を苛立ちを籠め振りぬく。右拳はスケルトンの頬を砕き、頭蓋を突き飛ばす。赤スケルトンほどの硬度を持ち合わせておらず簡単に砕くことができた。するといつものようにスケルトンは消えてゆき大量の光が体に入り込んでくる。すると両腕のやけどがみるみるうちに再生していき、元の腕に戻る。きめぇと思いながら観察していると急な吐き気と眩暈に見舞われる。立っていることができず、膝をつき耐えるように身をかがめるが耳鳴りや倦怠感、寒気などをつぎつぎに感じ耐えることができずに横になった。さらに症状はひどくなり視界が徐々に白く染まり気を失った。

 

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