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万能やられ役小悪党ランピーチに転生しました 〜周りはβ版を遊んでいるのかもしれない  作者: バッド
5章 ハンターの小悪党

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151話 ドレスと小悪党

 ドレスを作るのは洋裁店? 服飾店? ランピーチは思う。いつも格安店で買っていた俺には縁のない世界だな、と。


 前世では流行物を探して、なんとか通りとかを歩いたことなんてないランピーチだ。ハンガーにかけられているセール品以外に、見るところなど防御力や付与された効果しかない。ゲーム脳でなくても残念な男、それがランピーチである。


「ラン、こちらはどうでしょうか。少し派手すぎますかね?」


 鮮烈な赤いドレスを着てポーズをとるチヒロを見ながら、そんなことを考えていたランピーチは、ワクワクとランピーチの返答を待つ姿にゴクリとつばを飲み込む。


「似合ってるが、七夕祭りって外だろ? それだと夏だし暑くないか? それに焼きそばのソースとか跳ねるかもしれないぜ?」


 あくまでも七夕祭りは縁日がメインと考える男は、明後日の方向に返答をしていた。


「お客様、このドレスには『耐熱』の魔法を付与してありますので、真夏でも涼しいドレスでございます。なので、七夕祭りでも、問題ない装いですし、夜に映えるかと。お嬢様の美貌も相まって、きっとパーティーで注目されるでしょう」


 女店員さんがチヒロを見て、褒め言葉を口にする。お世辞だけではない。ピンクブロンドの長い髪と大人へとなりかけの美しさと、子供の可愛さを持つチヒロは誰もが振り向く美少女だった。


 なので、ランピーチも褒め称えたいが、思ったとおりの言葉を口にすれば、もれなく変態と言われることも予想してます。


『褒め言葉もイケメンに限るってやつだよね。おぉ〜、そう考えると小悪党って、悪い言葉しか口にしない理由が分かったよ。これは学会に報告しないと!』


 ウシシとからかうのはライブラだ。肩の上に乗っており、今日は姿を消してついてきている。チヒロとのデートだからと遠慮したらしい。遠慮の意味を聞きたいところだけど。


『新語だな。革命的な新事実。ただし小悪党は除くという造語を作らんとな』


 小悪党顔の男が美少女を褒める姿を第三者が見たら、詐欺かなにかを企んでいるに違いないと思われるのは間違いない。


「耐熱付与は素晴らしいが、ピンクブロンドの可愛い髪にはもっと良い色があるかもしれないぜ? 他のドレスも出してくれ。そうだな、涼しさを伴い幻想的な水色のドレスとか」


 センスのない男は、単に見かけが涼しければ良いだろうと、わかったふりをして注文をつけた。


 だが、店員さんも手慣れたもので、すぐに他のドレスを持ってくる。次々とハンガーに掛けられたドレスを持ってきて、チヒロを着せ替え人形にするのだった。


 値札がついていないので、値段が不安だけど、まぁ、良いか。


 ━━━ここはどこかというと、小野寺家の支配する地区のブティックだ。日本語で洋裁店。でも、洋裁店というよりブティックと言う方がなんとなくおしゃれな感じがする。


 本来、金持ちは自分の家に呼びつけるので、店で買い物はしないらしい。本当かいなと、店内を見渡すと、洒落た格好の男女がちらほらいる。その服の値段は庶民の手に届かない金額であろうことは簡単に推測できる。


 なんで、小野寺家の支配地区に来ているかというと簡単な話だ。この手の服とかがある一流店は小野寺家の支配地区にあるからだ。


 小野寺家は生産職をメインにしているだけあって、生産職の店が多い。特に芸術的センスの必要な生産職の場合は、追随を許さない。


 ランピーチの所にも店は増えているが、それは量販店であり、一流の店は入っていない。彼らには金持ちの顧客がいるし、そう簡単には引っ越しはしないからだ。


 そして、一流の店があれば、他にも一流の店を目指す店も集まる。そのような良い循環で、小野寺家の支配地区は鉛筆からミサイルまで、手に入らないものはないと言われている。


「この着物は氷結蜘蛛の糸を使った超一流品。染めも良く、意匠もお客様によく似合っていると思います」


 ブティックなのに、呉服店のように着物も用意して隙のない店である。


「たしかにドレスよりもこちらのほうが私には似合っていると思いますが、どうですかラン?」


「あぁ、和服美人という言葉はチヒロのためにあるんだろうな」


『スリムな人の方が立ち姿が美しいもんね』


『その一言を口にしたら、俺の株は大暴落だぞ』


 そりゃ、ライブラには似合わないだろう。彼女が着ると胸が目立って妖艶なエロい姿になるからな。チヒロには言えんけど。


「ありがとうございます。では、こちらにしますか?」


 頬を染めて嬉しそうにするチヒロに、ランピーチも釣られて恥ずかしくなるが、照れる姿は怪しげなので、気づかれない。小悪党スキルバンザイ。泣いていいかな?


「では、アクセサリーをお持ち━━」


「待て待て、店員さん。これ以降にも服は必要だし、アクセサリーも必要だ。なので━━━」


 男なら言ってみたい言葉を、ニヤリと笑って口に出す。


「右から左まで全てのドレスと、今持ってこようとする宝石を全て貰おうか」


 キラーンと歯を輝かせて、買い占めをするランピーチだった。ほら、よく漫画であるじゃん? ヒロインに対して、金持ちっぷりを見せるシーン。一度やってみたかったんだよな。


 それに、今着ているのは似合っていないと、後々思っても、これだけのドレスがあれば、どれかは似合うからな!


 金持ちっぷりを見せる男の、裏の心情はたぶんそういう計算もあったんだろうなと、またもや新たな真実に気づいてしまうランピーチだった。


「いいんですか!? ラン、結構な金額になりますよ?」


「ふ、公爵家にとって、この程度の出費はびくともしません」


「公爵家?」


 漫画の男主人公を真似するアホなランピーチに首を傾げるチヒロだった。


 店員はホクホク顔で、包装を始めており、これで七夕祭りの準備はオーケーかなと思っていたが━━━。


 ここは現実で、漫画の世界でもゲームの世界でもないことをランピーチは忘れていた。


「ええっ、アクセサリー売り切れ!? そんなことがあるわけ無いだろ、はぁ、ドレスも? ここにたくさんあるじゃないか。買い占められた? 誰だ、そんな非常識なことをする奴は!」


 若い男の怒りの声が店内から響いてくるのだった。


 そういや、買い占めたら当然そうなるわな。そうか、現実では買い占めは非常識だったかと反省するランピーチ。


「おい、お前! 買い占めとか非常識じゃないか? 他のお客のことを考えてくださいよ!」


 そして若い男が後ろに美少女3人を連れて! 足音荒く近づいてくるのであった。


 美少女3人を連れてデート?


         ◇


「お前だよ、お前! どこの家門の人間だ? 買い占めは非常識ですよ?」


 丁寧なのか、乱暴なのかわからない青年だ。どこかで見た覚えがあるようなないような?


 まぁ、言い分はわかる。明らかに俺が悪い。買い占めとか最悪だからな。


「七夕祭りに備えて、恋人たちのドレスを買いに来たんです。こういうことをされると困るんですよ!」


「えー、東光はさっきから薄布の肌面積が大きいやつしか選んでないじゃん」


「そうそう、胸元が開いている服も選んでいた」


「後ろからドレスの隙間に手を差し込めるかと、シャドーエロシングもやってたよね」


 恋人たちと言うには冷たい言葉を後ろの三人が言う。あまり好かれてなくない? たかられてない? 大丈夫か?


「そ、それはあれです。七夕祭りなんだから当然でしょう? ほら、ホテルもスイートルームを頼んでおく予定ですし」


 焦る青年の最低のセリフである。一人ならわかるけど三人に言うかぁ?


 三人の冷たい視線が、絶対零度へと変わるのを耐えられなくなったのか、青年はランピーチに指をつきつけてくる。正義は我にありといった感じだ。なかなかメンタルが強い青年だね。


「そのドレスもアクセサリーも必要な分だけ買って、残りは買うのをやめてください」

 

 青年の言葉に、すいませんと謝ってキャンセルを店員に告げようとしたが━━━。


「え~っ、駄目だよ、東光。この男の人が誰だかわかってるの? それだと私たちは残り物を買うことになるよ?」


「それは大袈裟すぎるんじゃないかな? この人は誰だって言うんだい?」


 三人の少女の一人が口を挟んでくる。その物言いは悪意があり、ランピーチへの敵対心をそこはかとなく感じる。


「この人は最近噂の地下街区と組んで成り上がった朱光新だよ。鎧塚の次期当主として、後背を辿るようなことは駄目でしょ」


 鎧塚の次期当主? ということは鎧塚東光か。少女が東光の顔にくっつくくらいに顔を近づけて言い募る。


「………そうか、そうなのか? うん、そうだな! 君の名前は朱光新で間違いないのかい?」


「はぁ………たしかにそんな名前も持っているけど、本名はランピーチ・コーザだ。で、それだとどうするつもりなんだ?」


 なぜか冷静に話し合いをしていたのに、急に豹変して東光は喧嘩腰となる。


「俺も鎧塚家を背負って立つ身なんです。残り物を買うわけにはいきません」


「はぁ………さいですか」


 服もアクセサリーも大量にある。冷静に考えてみると、全部買うのはあり得なかったや。これを機会にキャンセルしよう。


 先に買わせろと言ってくるのだろうなぁと、予想して、別に後に買っても良いからと譲ろうとしようとするが━━━。


「このお店の買い物を賭けて決闘といこう。殺し無し、他は何でもありでどうですか?」


 ただしイケメンに限ると、髪をかきあげて二枚目スマイルを見せる東光。残念ながら歯はきらりと光らなかったけど。


「決闘って、こんなところでか? 俺は装備も何も持ってきていないぞ?」


「大丈夫です。ここの店の近くに懇意にしている道場があるんです。そこでなら多少戦闘をしても部屋は耐えられます。それに装備がない方が、純粋にお互いの力を確認できて良いでしょう?」


 どうやら準備万端の模様。んんん? おかしくないか? なんで、小野寺家の支配地区で懇意にしている道場があるんだよ。


 でも東光はたった今決闘について思いついたという感じだ。演技には見えないし………。


 ちらりと三人の美少女を盗み見て考える。三人共に、頑張ってと東光を応援しているが━━━。


(まぁ、どんな思惑があるか分からないが、乗ってやろうじゃないか)

   

 決闘とか面白そうだしなと、ランピーチは決闘を受けるのであった。

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― 新着の感想 ―
[一言] また痛い目見ちゃうのね・・・可哀そうに。。。
[良い点]  チヒロ相手にちゃんと恋人としてムーブしてるランピーチ(^◡^;)下手に色男ぶらず歯が浮きそうなセリフを言わないのも読者的に好印象♪(´ヮ` ) [気になる点]  なかなか本命のバッカスと…
[一言] ライブラぇ。 ここで東光の情報を出せないから、あっちに負けるんやで……。
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