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万能やられ役小悪党ランピーチに転生しました 〜周りはβ版を遊んでいるのかもしれない  作者: バッド
4章 混沌の小悪党

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121話 除草と小悪党

 植物園に突入する数分前━━━。


 歩兵輸送用重装甲車雪兎は植物園の強固な壁の前で停車していた。周りの人々が国軍の新型かと騒いでいるが、気にすることなく違法駐車をしていた。


「なぁ、植物園に突入までする必要あったのか?」


「はい、植物園の中には人間の生命反応が多数あります。救出するには雪うさぎで突入するほかありません。のんびりダラダラと仕事をしたいプーさんにとっては面倒くさい話だとは思いますが」


 宇宙船のブリッジのような装甲車の運転席に座ったランピーチが冷や汗をかいて、惨状を眺めながら隣に立つ少女ミラに尋ねると、何を言っているんですかと毒舌を一味含めて返答される。


 というか、雪うさぎに搭乗するようにミラが連絡してきたところ、すでに中でスタンバイしていたのだ。


「ソルジャー、お花がいっぱいだよ。花吹雪がとてもきれいだよね。これからお花見する?」


「あの花びら、サクサクと石茨とか機器を切り裂いてるぞ? あれはブレードフラワーだよな? なんで、あんなに威力があるんだ?」


 楯野家の監視カメラにハッキングをして、中の様子を見るが、大混乱だった。


 花吹雪を撒き散らすのは、風車のような花びらを持つ魔物ブレードフラワーだ。あれは低レベルの魔物のはずなのに、高性能精霊鎧を着込んだ兵士たちをあっさりと切り裂いていた。


 ランピーチが知ってるブレードフラワーはあそこまで強くない。一体全体なにが起こったというのか?


「あれは本物の魔物です。かつてハーケン社が作り上げたハーケン社製デビルシードが生み出す狂気の魔物たち。劣化した魔物たちとは性能が段違いですよ」


「ドーン、解析開始〜!」


『ブレードフラワー:レベル6』

『クレイモアヒマワリ:レベル6』


 ライブラがモニターに映る魔物を指差すと解析結果が映し出される。その表示されたレベルにランピーチは目を剥き椅子から乗り出す。


「レベル6? レベル6だと! この間出会った精霊たちと同じじゃん! え? 強すぎない?」


「ですね、レベル6ということは、現状の人類の持つ戦力では数匹倒すのにこのエリアの全軍が必要なレベルということです」


「相手にならないって言って良いよ! あいつら何匹いると思うんだよ!?」


 サラリとミラは言うが、その深刻具合を理解して、ワタワタと慌てちゃうランピーチ。その慌てぶりは小悪党にふさわしい。


 だって、モニターに映る魔物たちは数で押せとばかりに、うじゃうじゃと現れているのだ。地上街区終了のお知らせというやつだ。


「だから、うさたちが解決するうさ! ラビットカノンはっ……真面目にやるうさ」


 提督うさぎが冷たい目をするミラに耳を掴まれてぶらーんとしながら指示を変更する。


「部隊を突入させる準備うさ! マギョウ隊出撃準備!」


「ラジャーうさ! 全員ラビットアーマーを着用、たっぷりマガジンを持っていくうさ!」


「オペレーター、植物園内の精霊粉の濃度を確認、地形及び敵の分布を各員と共有うさ!」


「調べるうさね。これとこれと、う~んと、一休みにニンジン食べるうさ」


 もふもふの前脚でテシテシとモニターを叩く提督うさぎ。真面目にやると優秀な提督うさぎ。伊達に提督をしていないのだ。小さなうさぎがテシテシと手を振る姿は可愛くて、あまり軍人には見えないが。


 兵士たちも装備を着込み、オペレーターはお口にニンジンスティックを咥えてカリコリと食べながらパネルを操作する。ずるいよと他のオペレーターが咥えたニンジンスティックを横からパクリと齧って喧嘩にもなっちゃう。


 うさぎたちがちょこまかと働く姿は戦闘前とは思えず、緊張感ゼロであり、ライブラは漫画を取り出し読み出し、ミラはアイテム一覧を呼び出して、極めて怪しい。


 だが、ぽかぽかと叩き合うオペレーターうさぎたちは遊んでいるわけではなく、すぐに報告をしてきた。


「精霊粉の濃度高いうさ。それと壁を破壊することで非常用の防衛センサーが稼働する可能性あり」


「むむ、それは面倒くさいことになりましたね………」


「そうだな。面倒くさいことになった、あれだよあれ」


「そうだね、あれだよね、大変なことになっちゃった」

  

 難しい顔になり唸るミラ。それを見てランピーチとライブラも知ったかぶりをして、コクコクと頷く。見栄を張りたい二人なのである。ランピーチはともかくとして、ライブラも知らないのは良いのだろうか。


「精霊鉱石の弾丸は防衛センサーに検知される可能性があります。テテ、兵士たちに指示を出してください」


「ラジャーうさ。マァ軍曹、全員のマガジンを回収しするうさ」


 バッと手を振り、ミラが司令官として振る舞い、提督うさぎはすぐにマギョウ隊への指示を変更する。


 それに対して、武装を整えていたマギョウ隊は不満できゅーきゅー鳴く。


「これから敵地のど真ん中に行くのに、マガジンを回収されたら死んじゃううさよ!」

「そうだそうだ。原子炉がある建物じゃないし大丈夫うさよ」

「ミミは親分のパーカーの中で寝てるねぇ」


「駄目です。この植物園は地下のハーケンベースに近すぎます。ここでセンサーに感知されたら、ハーケンの時間停止カプセルで寝ている兵士たちが起きてしまうと予想します」


 あまり見ない厳しい顔のミラ。本当に危険なのだろう。


「そうだ、駄目だ。センサーに感知されるとあれだからな、あれ」


「うんうん、あれだよね。とっても危険なんだよね」


 中身のない同意をする二人。本当にアホなのだろう。


「プーさんも同意しました。火炎放射器の使用は許可しますので、それで対抗してください」


 ミラの譲る気のない表情に諦めてマァ軍曹が各員のマガジンを集めて、亜空間ポーチにしまう。が、渡した後に、一羽のうさぎが肩をすくめて、ニヤリと笑い、後ろで皆にこっそりと予備のマガジンを配っていた。ミラの言う事は聞かないつもりだ。


 それはしっかりとモニターに映っていたのだが、ミラは平然とした顔でスルーしていた。なにしろ順番に配って軍曹にも渡す無邪気っぷりなので、バレないという世界線はないのだ。


「あの〜、ミラさん? あれは良いの?」


「私はサポートキャラとして的確な指示を出しました。兵士たちが指示通りに動くと信じてます。なにかイレギュラーがあったらとっても厄介なことになりますが、きっとそれは新たなるクエストになると思います」


 最初からミラは敵に検知されても気にしない模様。


「サポートキャラの厳格な規制をすり抜ける技だよね! サポートキャラはマスターの邪魔をしてはいけないというルールを、マスターが望んでるからと、胸をちら見せさせながらご飯を食べたり、スカートがめくれ上がった状態でベッドに寝てゴロゴロしたりすることで、規制がかからないようにしてるのさ」


「もう少しかっこいいルールの抜け道を言ってくれる? それだと俺がスケベにしか聞こえないんだけど?」


 なるほど、なぜライブラはサポートキャラなのに、いつもいつもゴロゴロして食っちゃ寝できているのと思ってたら、そんな抜け道を使ってやがったのか。良いよ、これからもどんどんサボってください。


「こちらマギョウ隊、準備オーケーうさ!」


「では、突撃します! 全員何かに掴まって頭をぶつけないようにしてください!」


 レバーを思い切り倒し、ミラが雪うさぎを発進させる。加速した雪うさぎは植物園の壁に激突すると、強固なはずの壁を打ち壊して、中へと激しい揺れと共に突入するのであった。


 ブロックのように分厚い魔法壁が崩れていき、残骸を踏みつけて、装甲車は中へと入る。血を誘う花吹雪が植物園には舞い散っており、多くの人々が傷ついていた。


「あの兵士たちの前に突撃。彼らの盾に!」


「そうだ、盾になるんだ!」


 主導権を取られまいと、ミラのセリフに乗る小悪党である。


「アクセル全開うさーっ!」


 運転うさぎがアクセルをめいいっぱい踏み込んで、雪うさぎは今にも切り裂かれようとする兵士たちの前へと突進する。指向性をもたせた花びらが兵士たちに命中する寸前に間に入り、花びらの刃を装甲で受け止める。


「よし、マギョウ隊出撃せよ!」


「ドドーンと発進!」


 ミラが指示を出す前に、ランピーチが早口で叫び、ライブラがビシッと指差す。


「ラジャー、マギョウ隊出撃うさ!」

「燃やせばいいんだよね?」

「発射ノズルの回しってどこうさ?」

「いってらっしゃーい」


 マギョウ隊は火炎放射器を担いで、屋根側のハッチから飛び出すと、周囲へ向けて引き金を引く。約一羽だけはランピーチのパーカーの中から手を振ってるけど、ミミはマギョウ隊じゃないのかな?


「うさーっ! 植物は全て焼却うさよ!」


 マァ軍曹がスンスンと鼻を鳴らすと、火炎放射を続けて、焼き尽くしていく。花吹雪は炎の吹雪へと代わり、兵士たちがあれほど攻撃しても傷もつけられなかったブレードフラワーたちは、火炎放射の前にあっさりと燃えて灰に変わってゆく。


「今日は除草屋のハンターランピーチだ。避難するなら、護衛料を頂きたいがどうするね?」


 ランピーチも外に出ると、薄笑いを向けて、呆然とする兵士たちへとうけけけと怪しい顔で声をかける。


「そこは省略するのは駄目です。安心格安で確実に依頼をこなす今日は除草屋の宇宙をまたぐバウンティハンターミラと言います。本日はポケットの有り金とカードだけの報酬で、格安で確実に皆さんを護衛しますが、どうしますか?」


 雪うさぎの後部はハッチが開き、他のうさぎたちも転がるように現れると、戦闘に加わっていく。


「やれやれ、契約内容を後で考えないといけないけど、ここは乗らせてもらうよ。全ての機器を放棄して、装甲車に乗り込むんだ!」


 すぐに行動したのは真奈で、研究者たちと共に駆け込んでくる。兵士たちも顔を見合わせて、自身の武器では傷一つつかない魔物と、それをあっさりと燃やしていくうさぎたちを見て、コクリと頷くと駆け出す。


「全員撤退! 撤退だ!」


 装甲車へと兵士たちも急いで乗り込むと、ランピーチは俺の出番かなと外に出ようとして━━━。


「ここは退却です。護衛対象を安全な場所に移してから、再度のアタックを推奨します。あの人たちから契約金を貰えそうですし」


 グィと首根っこを引っ張られるのであった。


「それに足元に付いてる子も置いてかないといけないんじゃない?」


「足元?」


「きゃぁ~、パパしゃんにバレちゃった」


 脚にしがみついたコウメが、てへへと無邪気な笑顔を見せてくれる。


 足元にピッタリとコウメが張り付いていました。どうやらついてきた模様。


「このいたずらっ子め〜、危ないからついてきたら駄目だろ」


「パパしゃんといっしょにいたかったんだもん」


 うりうりと頭を撫でると、キャッキャッと笑うコウメ。可愛らしい娘には怒れない甘い父親のランピーチです。

 

 雪うさぎはバックして、外に飛び出し、学園内から脱出する。


『植物園の人たちを救出せよをクリアしました。経験値20000取得』


 と、驚きのクエストがクリアと表示された。なんでだろ?


「やりましたね、退却したことにより別クエストとしてカウントされました。経験値が五十万、こほん、二万も手に入りましたよ、プーさん」


「さすがはミラ。裏技を駆使してくれてありがとう。でも、今変なことを口にしなかった? ライブラはなにか知ってる?」


 今、とんでもない発言がなかった?


「そんなことよりも、すぐに再アタックをしようよ。見てよ、あれ!」


 植物園に開けた穴からティッシュペーパーのような長細い身体の魔物が這い出てくると、胴体が破裂し小さな種がばら撒かれる。ばら撒かれた種はすぐに発芽すると芝生のように緑の絨毯のように育っていった。驚くべき成長の早さだ。


「たしかに嫌な予感がするな。よし、再アタックの編成を━━━」


「おっと、それは困るね」


「………なんのつもりだ?」


 植物の成長の早さに気持ち悪さを感じてランピーチが指示を出そうとすると、避難した者たちの中から雷の主人公鎧塚東光が姿を見せて銃口を向けていた。


「これは地上街区の事件だ。これよりは各家門が事態をおさめるために行動する、君たちはなにもしないでもらおうか」


 主人公に似合わない悪辣な笑みを向けて東光は言うのであった。

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― 新着の感想 ―
中抜きってレベルじゃないくらい搾取してて草
[一言] 主人公としては小悪党の活躍に反対である!
[一言] 小悪党より小悪党を発見うさ!
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