三人で一つの膝枕
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
こんな話があったらいいなと言う、作者の妄想( ¯﹀¯ )
何時も左腿に紅梅の頭、右腿に桜雫の頭が乗っていた。そこに俺が入る隙などなく。真正面から頭を下げるのが常だった。すると飛梅様は二人の頭部から手を離し、俺の顔を、髪を掻き回した。犬にでもするように。
「松風、膝枕をしてあげよう。紅梅、桜雫、真ん中を......」
「いいえ、結構です」
「そうか......。お前達は本当に可愛いね」
これが......何時もの口癖だった。
それが桜雫が枯れ果て、俺達二人に引き継がれても、変わる事はなかった。右腿に俺の頭部が乗ることはない。あの場所は桜雫の場所だ。
ある時縁側でぼんやりとしていると、とすんと何者かが腰掛けた。匂いで分かる。紅梅だろう。俺から振り向く事無く真っ直ぐ前を見ていると、柔い腕が胴に絡み付く。紅梅は俺の体を腕に閉じ込めると、髪を撫でてきた。
「私達は三人で一つなのです」
「それは俺達が飛梅様の愛を受けてからの決定事項だろう」
そう。例え桜雫が枯れ果てても、信念は俺達と共にある。消えたなんて思わない。だからあの場所を俺が奪い去る訳にはいかないのだ。
眉間に皺が寄る。まるで俺が桜雫の存在を忘れていた様ではないか。一度として忘れた事は無い。そも、紅梅と共に居ることが増えたのも、半々に分けられた桜雫の意志を、少しでも一つに近付ける為だ。俺は手を伸ばし、紅梅の頬を撫でる。安心しろ。あの場所は奪わねぇから。
しかし俺から離れると、紅梅は嘆かわしそうに言い出した。
「ご存知無いでしょう。飛梅様が貴方を撫でている時、物悲しそうにしているのを」
「......お前が居れば良いだろう」
丁度、お前の中には桜雫が居るのだし。あの時とさして変わらない。紅梅と桜雫。その二人が膝の上を陣取っている。
縁側で佇む飛梅様の前に、俺達は現れた。紅梅はしっかりと前を向いて、宣誓でも言うように高らかに言い放つ。
「飛梅様、本日は松風も膝枕させとう御座います」
「俺は......」
否定の言葉は紅梅の視線によって制された。こうなると梃子でも動かない。こうと決めたら、意地でも貫き通すのが紅梅だ。溜息一つ。今日は譲ろう。
紅梅は嬉しそうに飛梅様の左膝に頭を乗せる。何時もの光景だった。何十、何百、何千と見た光景だった。
「おいで、松風」
「失礼致します」
俺は一例をすると同じ様に右腿に頭を乗せる。すると俺の中の桜雫が、そわりと色めき立つ。此処に居たいと、嬉しいと。お前......前からずっと......。
飛梅様の掌が髪を撫でる。するとどうしようもなく懐かしい気持ちになって、一筋の涙が零れた。
「あぁ......これで三人一緒に膝枕してあげられた。紅梅、松風、桜雫……。いい子、いい子、いい子......」
あ、飛梅様って、梅香の君の事です。
二番目に考えた仮名が『梅香の君』。
でもやっぱり精霊二人には、原初の呼び名で呼んで欲しいので。
小ネタ
紅梅と松風は桜雫が枯れ果てた後、意志を受け継いでます。
つまり今は
紅梅+桜雫 松風+桜雫
で、それぞれ一個体として成立してます。
性格にも影響が出てますけど、一番は纏っている袴。
統合前は、紅梅は梅の木、松風は松の木しか刺繍されてません。
でも統合後は、桜の木が刺繍されてます。
『動きます!!』
悲しい時には桜が散ります。嬉しい時には満開になります。
ちなみに、イメージ的には
紅梅が長女、松風が真ん中っ子、桜雫が末っ子。
紅梅は長女ですけど、自己主張するし、桜雫は甘えん坊です。
必然的に遠慮するのが松風。空気読んで一歩引くのが松風。
二人が甘えてるのを見て、手が回らないのを察するタイプ。
『俺はいい。お前達が甘えてこい』が口癖の気が。
※真ん中っ子は空気が読めるという話をよく聞きます。
梅香の君、三人公平、平等に愛したいから、積極的に話しかけてそう。
もう一つ程ネタが浮かんでます。
お菓子三つ買って、最後の一つは半分にして、二人にあげる話。
とゆか、よく梅香の君に、いい子いい子されて平静で居られんな( '-' ) 絶対に無理( ¯−¯ )
顔がぐちゃあ……。涙どばぁ……。っすわ。