どんな時でも月は美しく輝く
高千穂で幼馴染みと二人で旅行する予定が、想像も出来なかった手痛いハプニングが起きてしまって、幼馴染みと現地で約束していた時間に大幅に遅れて、結局 一人で高千穂を楽しむ事になってしまった。
いや、本当 まさか電車内と駅のホームでと、二度も寝過ごしてしまい、電車に乗り遅れてしまうなんて・・・・・・
いつもの幼馴染みなら
「またかよ?仕方ねぇなぁ・・・・・・」
と、許してくれるのに、今回は凄く怒った様で、幼馴染みの携帯電話の電源が、ずっと入ってなくて、電話が繋がらない。
LIMEに送ったメッセージも、未読のままだ。
そこまで怒らなくても良いと思うんだけどな。
遅れたって言っても、一日と数時間程度だし・・・・・・
今は東京へ新幹線で戻る途中だ。
そうそう。やっぱり俺が悪かった訳じゃ無かった。
新幹線や在来線での移動中、暇だからずっとタブレット端末をいじって楽しんでたら、タブレット端末のバッテリーが殆ど無くなって、普段からあまり充電しなくても困らないガラケーも、バッテリーが空になると言う、予想外の事態になってたから、幼馴染みに連絡が取れなかったんだ!!
バッテリーさえ残量が残っていたら、こんな事にはならなかったんだから、俺は悪くないよね。
はぁ・・・・・・
たっぷり観光して美味しい物を食べたから、動くのが怠い。
「もう少しで品川かぁ・・・・・・ 降りる準備をしなきゃな」
品川で在来線に乗り換える。
旅行って、毎回 行く時の気持ちの高揚感が凄いけど、その分 帰りの現実に引き戻される感じと、疲労感が半端無いよね。
帰りの無い旅とか有ったら、高揚感が続いて、ずっと楽しいんだろうな。
在来線も乗り換えたりして、自宅に戻る。
親に高千穂のお土産を渡して、きっと自宅に戻っている幼馴染みに会って詫びる為に、幼馴染みの住む実家に向う。
「こっ・・・・・・こんばんは・・・・・・」
「あら?こんばんは、いらっしゃい。二人で一緒に帰ってきたの?」
「えっ?まだあいつは帰ってないんですか?」
「えっ?一緒に高千穂に行ったんでしょう?」
おかしい。この時間になっても、幼馴染みは自宅に帰ってない。
「あの・・・・・・俺 電車で寝過ごしてしまって、あいつとの待ち合わせの場所に、時間に遅れてしまったんです」
「はぁ・・・・・・ またなのね?」
「うぐっ・・・・・・ はい・・・・・・ また です・・・・・・」
「あの子とケンカしたの?」
「いえ・・・・・・ずっと合流出来なくて・・・・・・ 電話しても電源が入って無いんです。LIMEのメッセを送っても、未読のままで読んでくれないんです」
「ああ、かなり怒ってるのかな?まあ、あの子が帰ってきたら、あなたがお詫びに来たって伝えておきますよ」
「はい。すみません」
「帰ってきたら連絡入れますからね」
「はい。ありがとうございます」
でも、おかしい。
おふくろさんも薄々変だと気が付いている筈だ。
もうそろそろ戻ってないと、終電がなくなってしまうからだ。
まだ終電の時間まで少し有るけど、幼馴染みがこんなに遅くなるって、普段無い。
もう一泊 旅行を伸ばしたのかな?
でも、旅行の日にちを伸ばしたのなら、おふくろさんに連絡が無いって、幼馴染みの性格的に変だ。
そもそも、あのスマホ中毒の幼馴染みが、ずっとスマホの電源を切っているって・・・・・・
あんなにいつもスマホを弄っている奴なのに、怒ったからって、そんなにずっと電源を切ってられるのだろうか?
プップップッ
『現在お掛けになった電話番号は、現在電源が入っていないか・・・・・・』
プッ
やっぱり電源が入っていない。
もう夜中の二時になる。
一時過ぎが最終だから、もう帰ってなきゃおかしい。
幼馴染みのおふくろさんから、連絡が無い。
窓の外を見ると、雲がほどんどなく、きれいな月が出ている。
何事も無ければ良いんだけど・・・・・・
この小説は、「異世界『ながらスマホ』事情」と言うタイトルの小説の派生の物語です。
宜しけれ「異世界『ながらスマホ』事情」も読んでお楽しみ下さい。