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死ぬまで君達を愛したい  作者: 保坂奏多
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4.再会

第一章 染谷栄至

待ち合わせ時間の13時

栄至は10分早く着いた。


カミングアウトしてからも武史カップルと5人でちょくちょく集まる機会はあった。

連絡もたまに取り合っていてお互いまだ恋人は居ない。

最後にあったのは武史カップルの結婚式以来だ。

あれからもう1年か。早いな。

そんなこと思いながら栄至は駅前に咲いている桜を眺めていた。


13時ちょうどくらいに

「おつかれー」

手を振りながら近づく佐恵と更に大きく手を振りながらこちらに駆け寄る若菜が見えた。


1年見ない間にまた大きくなったなと栄至は子どもの成長の早さに少し感動した。


若菜と栄至はとても仲が良く会うたび2人で何かしら遊んでいる。

今回もいつも通りファミレスに寄ってはずっとアルプス一万尺をやっていた。


私はなぜ呼ばれたのだろう

少し苛立ちを隠しながらとりあえず頼んだハンバーグランチを食べながら2人を見ていた。


しばらくしてから若菜が「といれー」と言って席を離れた。


栄至は今がチャンスとばかりに佐恵に話しかけた。

「ごめんな、呼び出しといてずっと遊んでもうて」

ちょっと"てへ”と浮かべた表情が更に佐恵はイラッとさせて

「で、話ってどうしたん?」

苛立ちを隠しながらも隠しきれていない少し棘のある口調で佐恵は聞いてきた。


栄至は怒ってると察して

申し訳ない気持ちと言いづらそうな顔しながら

「これ、渡したくて…それでお願いがあんねん」


テーブルの下からリュックを渡してきた。


なぜテーブルの下?佐恵は疑問に思いながらリュックをこちら側に寄せるとかなりの重さを感じた。


重さに驚きリュックを開けると大金が入っていた。


「え、なにこれ?」

更に驚き佐恵は栄至に聞いた。


「俺の全財産。一千万ある。」

そして栄至は頭下げながら


「これ、さっちゃんに渡すから1年間だけ若菜ちゃんの父親役やらせてくれへんか」


栄至は家族に憧れを持っていた。

幼い頃から母はうつ病を患い自殺未遂で2回捨てられかけたりもした。

結果母は自殺することなく、生涯全うしてくれたが

栄至の中にぽっかり穴ができ、家族愛にとても飢えていた。


注がれなかった家族愛を死ぬ前に家族として注ぎたい。



自分の余命を感じた時、そう強く思った。



佐恵がお金に困っている弱味につけ込んでる感じで申し訳なく思いながらも

栄至も焦っており、こういう強引な方法しか浮かばなかった。


人生、後悔しないように生きたいから。


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