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この世界に産まれ二十一年が経った。
人生を語るには若過ぎる。
二十一年間生きてきて良かった思い出はどれくらいあっただろうか。
俺は弱く、脆く水分を失った木の枝のようだった。
こんな俺がニュースを見て思うことがある。
中学生、高校生、大人が何故自殺を試みるのか。
そりゃ俺も考えたことはあった。
ただそれを実行出来る人は勇気がある強い人間なんだと。
俺は投げ出したくても、それだけは出来なかった。
生きてても意味を感じられないが、死ぬ事は怖くて出来ない。
そんな中途半端な俺は、微かな望みでもあるのか、ただ生きているだけの毎日である。
俺が生に留まれているのには理由があった、それはクソみたいな人生の中でも友人と呼べる仲間が居るからである。
俺は彼らに出会えた事に感謝もしてるし尊敬もしている。俺の命の恩人のようなものである。
そして同時に感じたことがある。それは出会いとは素晴らしいものであると。一期一会という言葉があるように、充実という程では無いが悪くないと思える日も確かにあった。
臭い話だと鼻で笑われても構わない、此処に俺は居るのだと生きているのだと証明したい。存在意義を見つけ、この世界に爪痕でも残せたらと本気でそう考えている。
さっきまでの病みきったのは、どこに行ったと思う人も居るかもしれない。
こんな絶望の淵に立っていた俺がこう思えたまでの経緯を読んでくれる全ての人に伝える事が出来たらと心から願っている。
俺と似たような経験をしている人や、変わりたいと考えている人。
そんな人がこの作品を手に取り、何かのきっかけになってくれるのであれば、それに越したことがない。
では、そろそろ過去に戻り物語を開始するとしよう。