#15『新たな出会い!』Bパート
「アタシはディスガイス・リリィ。ディーって呼んでくれりゃ良いよ。普段会ったら・・んー・・・ま、いっか・・アタシは克奈、三枝克奈だ。普段は好きに呼んでくれて良いよ」
「ぁ、ぅん・・分かった・・」
「良いのかな?」と裕子は思った。
夏樹に魔法少女が名前を隠す理由を聞いて以降、自己紹介してくれた魔法少女達のフルの魔法少女名と本名を聞いてしまっている気がする。
交換したレインIDを登録し終えた裕子は、何気なく話しかける。
「ぁ・・克奈ちゃん」
「あ?」
克奈が口元を引きつらせて裕子を見た。
「お前、見た感じ、まだ小学生だろ?」
「ぅ、ぅん」
「じゃあ、克奈さん、だろ?まぁ、良いけどさぁ」
「ぅん」
結局どっち?と顔に出ている裕子に、克奈は苦虫を噛み潰したような顔で頭をガシガシと掻いた。
「いーよもう。好きに呼べよっ!」
「うん、じゃあ、克奈ちゃん。私、裕子。宇津馬裕子。アイソレイト・リリィだから、アイって呼んで。よろしくねっ」
「・・ぁぁ。よろしくな」
克奈が複雑そうな顔で返した。
「・・おまたせ」
話す2人の後ろから声が掛けられ、振り返ると、加茂鴨ちゃんが立っていた。
その後ろには、克奈が連れて来てくれたランジェリーショップ『Cattleya Garden』がある。
裕子も名前は知っているブランドの直営店で、裕子も小中学生女子向けプチプラ『Sweet strawberry』のを何枚か買ったことのあるブランド店だった。
ランジェリーショップと加茂鴨ちゃん、という組み合わせに裕子は複雑そうな顔をする。
たしかに、違和感は無い、一切無い。
下手したら裕子よりピッタリかもしれない。
小学生と言われて納得の裕子と違い、加茂鴨ちゃんは背も高めな上に女子にしか見えない容姿で、中学生と間違われてもおかしくない雰囲気もあった。
というか、今の加茂鴨ちゃんはマジで女子以外の何にも見えない。
複雑そうな顔の裕子を見て、加茂鴨ちゃんが少し哀しげな顔をした。
ほんの僅かな一瞬だったが、裕子はそれに気付いてしまった。
「よし、買えたな?金は足りたな?」
「ぁ、はい。ぁ、これ、お釣りです」
「いーよ、とっとけ。何ならまた買ってくるか?」
克奈がランジェリーショップを指差すが、加茂鴨ちゃんは小さく首を振った。
「でも・・、パンツだけでも何枚も買えるくらい残ってますよ・・?」
「いーよ、買える時に好きなだけ買っとけよ。お前みたいに可愛いやつなら履き切れないくらいに持っとけよ。それに、そろそろブラも必要になってくるだろ」
「・・そういうものですか・・?」
加茂鴨ちゃんが「なるほど・・」という顔で頷く様子を克奈が不思議そうに見ていた。
幸い、三枝克奈は加茂鴨ちゃんが女子だと思っている。
というか、「男子だよ」とか言ったら裕子が正気を疑われるだろう。
そのぐらい、加茂鴨ちゃんの外見は女子なのだ。
外見だけでなく、声変わり前だからなのかは不明だが、声質も女子に近い。
というか男子の声には聞こえない。
いまは更にスカート姿だし、絶対に疑われたりなどしないだろう。
加茂鴨ちゃんがイヤな思いをしないか心配するのも時間のムダな気がしたので、加茂鴨ちゃんの持っているレシートをチラ見してみた。
「・・!」
少なくとも、いま裕子が履いてるのより高いのだった。
しかも『Cattleya Garden』の方だった。
スマホを出して商品名で検索してみたら、大人っぽくもあり可愛いさも残したデザインの画像が出た。
「・・・」
思わず、加茂鴨ちゃんのスカートの方をチラ見してしまった。
このスカートの下に・・・と複雑な気分になる。
「まー、とっとけよ。金には困ってないしな」
「ふーん・・」
裕子が他人事のように相槌を打つ様子に、克奈が怪訝そうな顔をする。
「ん?お前もそうだろ?」
「・・困ってないと言えば困ってないと思うけど、そんなに余裕はないかも・・?」
「お前、もしかして、逢庭のバイトとか知らないのか?」
「・・バイト?」
「そう」
「・・知らない」
「マジか。じゃ、逢庭の施設行ったら聞いてみろよ。何かバイト募集してないかってさ」
「・・・私、小学生だよ?まだ働けないよ?」
「ぁー・・その辺は気にすんな。そもそも、『魔法少女』活動自体、グレーどころか、真っ黒も真っ黒のドス黒い暗闇の底無し沼だろーがよ。給料なんか出ないし、下手したら死ぬ可能性だって低くないんだぞ?文句言われる筋合いなんかねーっつーの!」
「・・・言われてみれば・・そう・・なの、かな・・?」
「かな?じゃねーよっ!そうなんだっての!」
魔法少女をTVで観ることはあっても、目の前で直に、まして魔法少女同士で話し合う姿など初めて見た加茂鴨ちゃんが2人を見てつぶやく。
「魔法少女も色々大変なんですね・・」
「大変そう・・」という顔の加茂鴨ちゃんは、儚げな美少女にしか見えなかった。
「分かってくれるか!そう、大変なんだよ!ドラマとかアニメのみたく甘くないしドラマチックでもないし、最後には微笑んで大団円〜?夢見過ぎなんだっつ〜〜〜のっ!!」
よっぽど鬱憤が溜まっていたのか、克奈は加茂鴨ちゃんの両肩を掴み力説する。
加茂鴨ちゃんが困った様に苦笑する。
「お前な〜・・そんな可愛いのに、そんなんじゃ、あっという間にバカ男に酷い目に遭わされちまうぞ?ヤツらは性欲が服着て歩いてるよーなもんなんだからな?」
「はぁ・・」
加茂鴨ちゃんが助けを求める様に裕子を見たが、裕子は少し首を振って返した。
説明するより黙ってた方が早いよ、という意味で。
加茂鴨ちゃんも察したらしく、何も言わなかった。
「覚えとけ。女はいくつも手を隠しとくもんだ。秘密にしていっぱい隠し通せ。手段は出来るだけ多く、抜かり無く、幾重にも。決して虚飾が剥がれてしまわぬ様に、だ」
「・・・はぃ」
「・・」
加茂鴨ちゃんと裕子がコクコクと頷く。
「あと、まぁ・・やるよ、とっとけ」
克奈が裕子と加茂鴨ちゃんに、何かを渡した。
「・・・お金・・コイン?」
2人の手の平の上に、5枚ずつ、硬貨に見える平べったい円形のモノがあった。
最初は100円玉かと思ったが色が少し違う、輝きの褪せた金色みたいな色で、よく見てみるとお金ではなく、ゲームセンターのコインの様に見えた。
ただ、表面には見たことも無い文字がコインの円周に沿って刻まれていた。
コインの中央には、精密な魔法陣が刻み込まれている。
「魔力切れの時とかに口に入れて舐めろ。魔力で出来たコインだからな、小さくなってって舐めきるか飲み込める。そっちの混ざりもんのお前は身体の具合が悪くなったら舐めろ、つーか、迷わず逢庭に連絡するか駆け込め。場所はそいつに聞け。忘れんなよ?」
裕子と加茂鴨ちゃんがコクコクと頷く。
「じゃーなっ」
言うだけ言うと、三枝克奈はスカートを翻して颯爽と去って行った。
裕子が小さく手を振り、加茂鴨ちゃんは去り行く克奈の背中に向けて小さく頭を下げた。
■
「わー・・・すごーい・・・」
遙か下に見える街並みを見た加茂鴨ちゃんが感動したように感想を洩らす。
現在、加茂鴨ちゃんはアイソレイト・リリィに背負われて端愛市の上空を飛んでいた。
魔力を円状に放出して力場を作っているので、加茂鴨ちゃんは上空の冷たい空気や飛ぶ際の空気抵抗の影響を受けていない。
「・・・ね。宇津馬さん」
「ん?」
「私のこと・・・気持ち悪いかな・・?」
問い掛けの声は掠れて震えていた。
「・・どういう意味?」
「・・私の格好とか・・」
「・・・似合ってるよ?正直、私より似合ってる気がして嫉妬しちゃうかも」
「・・」
「加茂鴨ちゃんって、普段はそういう格好なの?」
「・・・家では」
「もったいないな〜・・すっごく似合ってるのに〜・・」
「・・・クラスメイトに見られたりしたらマズいから・・」
「ぁー・・女子はみんな嫉妬しちゃうかもね・・」
「・・気持ち悪がられないかな」
「・・どうだろ・・」
「・・」
「加茂鴨ちゃん」
「?」
「実はね・・女子みんなでね。加茂鴨ちゃんに似合ってそうな服とか話したりしてたんだー・・」
「・・そうなんだ」
「ぅん。でね?みんな、可愛いスカートとかワンピースとか言うの」
「・・宇津馬さんは?」
「私はプリーツのミニスカートに1票かな」
「・・」
「きっと、すっごく似合ってると思うんだよね・・家で履いてたりしない?」
「・・ミニはちょっと抵抗感があって・・」
「ぁー・・めくれやすいし、男子の目も気になるもんねー・・」
「宇津馬さん」
「ん?」
「私ね・・女の子になるみたいなの・・」
「・・・え?」
突然なにを言われたのか、アイソレイト・リリィは分からなかった。
「宇津馬さんのおかげだと思う」
「ぇ・・・どういう・・ぇ?女の子になるって・・ぇ?」
「例えとかじゃなくって、ホントに女の子の体に変わっていってるの・・毎日、少しずつ、どんどん、間違いなく・・」
「そんなことって・・」
「宇津馬さん、私ね・・宇津馬さんが魔法少女だって、気付いてた」
「ぇ」
「春過ぎかな・・宇津馬さんが急に変わってて」
「ちょ・・ちょっと待って!?え!うそ!ホントに!?ていうか、変わってって、どんな風にっ?」
「全身から魔力が溢れ出してた」
「・・ぇー・・・」
「あ、心配しないでっ。私は『視える』から気付けたけど、他に気付いた人は居ないと思うから。・・初めて見た時はね、何か、オーラ?そんなのが溢れ出して見えて、すっごくビックリしたの。廊下の方からすっごい圧迫感がして、少ししたら宇津馬さんが入ってきて、全身から何かが立ち昇ってるんだもんっ」
「・・」
「でも、ある日、宇津馬さんの机の上に、他の人だれにも見えてない子猫が居て・・」
ガックン!!と急降下した。
「っきゃあ・・っ!」
アイソレイト・リリィに必死に抱きついた加茂鴨ちゃんがギュウっと目をつぶる。
加茂鴨ちゃん的には何十秒も落下したくらいに感じられたが、急に安定して上昇しだした。
「ごめん、加茂鴨ちゃん」
アイソレイト・リリィが申し訳なさそうに謝る。
加茂鴨ちゃんが下を見ると、あと数十mくらいで民家にぶつかりそうな高さだった。
が、瞬く間に高度が上がってゆき、あっという間に雲より高いくらいの高さになってしまった。
雲よりも上から見下ろした経験など無い加茂鴨ちゃんが眼下に広がる絶景に目を奪われていると、アイソレイト・リリィが「ニャニャン〜・・!」と小さくつぶやく声が風の切れ間に混ざって聞こえた気がした。
「・・宇津馬さん・・?」
「・・なんでもないっ。ぇと、それから?あ、いや、女の子になるって・・?」
自分の迂闊さを色々と話されたら恥ずかしくてたまらないので、アイソレイト・リリィは話を逸らした。
「ぁ、ぅん。えっと・・きっと、キッカケはこないだの運動会の日だったと思うの」
「・・運動会?」
「ぅん。・・宇津馬さん、リレーの時スゴかったよ?全身が爆発してるみたいになってた」
「ぅ・・・ごめん。ぅぅん、ごめんなさい・・」
「あの時、すっごく驚いたし、宇津馬さんにビンタしたいくらい怒ってた、かも、しれないかな・・」
「ほんと、ごめんなさい」
「ぅぅん・・もう良いの」
「・・」
「でね。運動会の日から身体の奥の奥が熱くなって、トクントクン、トクントクンって、感じるようになって・・」
「・・」
「何日かしてから・・その・・///」
顔を真っ赤にした加茂鴨ちゃんが裕子に耳打ちする。
「・・・ぇ」
「あの時、ホントびっくりしたの・・ほんとに・・びっくりしたの・・」
「ぇ、ぃゃ、え?だって。え?それって。え。ん?ぇ、だって、それって!女の子の・・っ」
「驚いたよね。でも私は、きっと、もっと、驚いたと思う」
「・・」
「お母さんが病院に連れて行ってくれて、いっぱい検査して、不思議な機械にも触ったの」
「・・機械?」
「ぅん。マセキとかいう、宇津馬さんから感じた魔力に似た感じのするキレイな石が付いた機械だったかな」
「・・ぁ、魔石か・・」
アイソレイト・リリィは、アーカーシャ・リリィと行った伊豆の逢庭の魔法少女専用保養施設で触れた機械のことを思い浮かべていた。
「そのマセキっていう石が光って、何時間かしてアイバっていう所?の人達が来たの」
「・・・逢庭・・」
「知ってるの?」
「ぅん。魔法少女を助けてくれる人達なんだって」
「・・そうなんだ・・。ぁ、さっきも話してたっけ・・・そのアイバの人達が持ってきた機械で色々確認して、病院に入院して、次の日に、スゴくキレイで変わったお姉さんと会ったの」
「・・変わった・・?」
「ぅん。もの凄くキレイでね、すっごくスタイルも良くって・・でも、キツネみたいな耳と尻尾の生えた女の人だった」
「・・・」
アイソレイト・リリィは、以前に夏樹が言っていた『デイドリーム・リリィ』のことかな?と思い浮かべた。
よくTVで観る姿は、小学校高学年から中学生になったばかりくらいの年頃に見えるが、もしかしたら変身前とは容姿が違うのかもしれない、と思ったのだ。
でも、変身前からキツネ耳と尻尾の生えた人だとは思っていなかった。
「アイバの人達からは『いづね様』って呼ばれてたかな・・『いづねこん』っていう名前なんだって」
「・・へぇ」
「私は覚えてなかったんだけど、前住んでた京都で会ったことあったみたい。『おおきゅうなったのぅ』って撫でられて少し恥ずかしかった・・」
「ははっ」
「その『いづね様』と話して少しずつ少しずつ、だんだんハッキリと思い出していったんだけど、昔ね・・私にしか見えない、『お友達』が居たの」
「お友達?」
「ぅん。小さな子犬みたいな姿でね・・フワフワ浮いてたかな・・」
「・・・それって・・」
「ぅん。魔法少女の人達と居る『精霊』っていう存在なんだって」
「・・」
「その『お友達』がね。私を救ける為に、私とひとつになってたんだって」
「・・・ひとつに・・?」
「ぅん。さっきの魔法少女の人が言ってた『混ざりもん』って、そういう意味だったんだと思うよ」
「・・ぁぁ・・そういう・・」
「その『お友達』がね、ものすごく魔力にさらされたことで目覚めて、私の願い事を叶えてくれたんだろうって。そう言ってた」
「・・・願い事って?」
「・・私を女の子に戻してください、かな」
「・・・・」
「・・宇津馬さん。私が転校して来た時、私を見て、どう思った?」
「・・・すっごくキレイで可愛い女の子だなーって思った、かな・・」
「ありがとう・・うれしい・・」
「・・」
「・・私ね・・ずっと、ずっとずっと、ずーっと・・何で私の体は男の子なんだろう・・何で女の子じゃないんだろう・・って思ってたの」
「・・」
「鏡を見ると女の子が見えるのに、見下ろすと男の子なの。・・・苦しかった・・辛かった・・なくなってしまいたかった・・」
「・・・・」
「宇津馬さん・・ありがとう・・ほんとうに・・ありがとう・・」
「・・ぇ・・?」
「あの日、私の運命は変わったの・・変えてくれたのは宇津馬さん・・アナタなの・・」
「・・加茂鴨ちゃん・・」
「魔法少女って・・ほんとうに助けてくれるんだね・・私を救けてくれたのはアナタ・・アナタが私の心を救けてくれたの・・」
「・・・」
アイソレイト・リリィは何も答えられなかった。
目からはポロポロと涙がこぼれ、顔は紅潮し、声を上げて泣き出してしまいそうだった。
嬉しかったのだ。
誰かの助けになれたことが。
魔法少女として役立てて、感謝されたということが。
身近に居る魔法少女のアーカーシャ・リリィは自身よりも遥かに先を進んでいて、
自分が何をやっても追いつけない、横に並ぶことなどおこがましい、そんな劣等感が常に彼女の心のどこかには有った。
でも、ほんの少し、進めた気がした。
いや、ただ嬉しかった。
静かに泣くアイソレイト・リリィに気付いた加茂鴨ちゃんは、病院で会ったキツネ耳にキツネ尻尾の女性が言っていたことを思い出していた。
『もしかしたなら、いつの日か、主を変えた魔法少女に対して思うこともある日が来るやもしれぬ。だがの・・魔法少女達は・・誰かを救う者達であると同時に、誰かの救いを必要としている者達でもあるのじゃ。だから、それに気付いたなら、ただ感謝を伝えて欲しいと余は願う。それだけで、彼女達がどれほど救われるか・・・頼まれてくれるかの?』
「宇津馬さん・・ありがとう」
「じゃ、また学校でね。遥ちゃん」
「ぅん・・裕子ちゃんも」
振り返って手を振り、風に揺れるスカートを押さえながら歩いていく加茂鴨ちゃんを見送る裕子は、三枝克奈に続いてレインIDを交換した加茂鴨ちゃんの名前の追加された、レインのフレンドリストを見た。
そこには『加茂鴨遥』と登録されていた。
すでに戸籍変更もされているという加茂鴨ちゃんの、女子としての名前で初めて交換した相手になれたらしい。
■
その1週間後、朝のホームルーム前に、可愛らしくオシャレした加茂鴨遥と名乗る美少女が改めての自己紹介と、自身に起きた変質を説明した。
それまで男子として居た彼女が女子として自身達側に来ることに少なからず嫌悪感を抱く女子も居たが・・、勇気を振り絞ってなお、震えながら涙声で話す様子に、何も言えなかった。
それに、語られた事情も事情だっただけに、誰も文句など言えやしなかったのだ。
その事情とは・・。
魔法少女の戦いを間近で見かけたのだが、魔法少女の敵が放った攻撃が運悪く自分に直撃してしまい、死んでいないのが奇跡のような大怪我をしてしまった。
戦いが終わった後に魔法少女が治癒魔法をかけてくれたのだが・・病院で目覚めたら、身体が『女子』のそれになっていた、というものだった。
当然、真実ではない。
ウソだ。
しかし、魔法少女と長年うまくやってきた逢庭と、その伝手で協力した魔法少女が立場を貸し、しっかりとしたカバーのアリバイが作られていた。
その運び込まれたという病院も、逢庭系列のフロント企業だった為、しっかりと作り込まれた偽造カルテと検査記録の捏造が完璧に行われていた。
わざわざ、『緊急搬送されて来た日時』の搬送記録の1件が、それらしい緊急搬送記録に書き直されたりもされていた。
そして、その『協力した魔法少女』というのは、結果的にアイソレイト・リリィの役目となった。
加茂鴨ちゃんが病院で いづねこんに会った際に、「魔法少女と接したことや、莫大な魔力放出にさらされた経験はないかの?」と尋ね、
「ぁ・・少し前に・・」と運動会の日のコトや、クラスメイトが魔法少女っぽいという話をし・・。
いづねこんが『魅了』を使って警戒心を外し話しやすくしたからこそ、裕子の迂闊過ぎる行動がポロポロと出てしまったわけだが・・、
いづねこんが眉間を押さえ、逢庭の人達が気まずそうに目を逸らすことになった。
加茂鴨ちゃんと会った翌日、裕子が帰宅するとベランダに、それはそれは威厳のある鳳凰がとまっていて、その鳳凰は自身を「鳳凰型精霊のキロロ」と名乗り、『ラビリンス・リリィ』という魔法少女の使いだと言った。
『逢庭』と懇意にしているという その魔法少女からの依頼で、端愛市のお隣の浜松市の逢庭の拠点にお招きされ、初めて食べる高級和菓子を食べながら依頼されたのだった。
今後、アイソレイト・リリィと加茂鴨ちゃんの双方の一生涯が終わるまでの秘密保持契約として結ばれた契約で提示された金額を見たアイソレイト・リリィは「・・・・・・・は?」と固まった。
あまりの高額に言葉を失ったが、淡々と事務処理は進み、事態を理解しきれないままに半ば放心状態のままアイソレイト・リリィは帰宅しベッドに入った。
逢庭から渡された専用口座の通帳には契約金らしい額が記載されていて、ATMで確かめたら実際に引き出しも可能だった。
そして加茂鴨ちゃんの方だが・・。
加茂鴨ちゃん自身、イジメとか無視されるとかは覚悟しての転校などせず人生のリスタートを決意したのだったが、幸い、そういう目には遭わずに済んだ。
元々、水着姿を見られてすら男子というコトの方が疑わしい、という目で見られていた所で、摩訶不思議なコトが起きて否応なしに女子になってしまった、という話なのだから、周り皆、「良かったね」という祝福の反応が大半を占めたのだ。
この日以降、加茂鴨ちゃんに告白してくる男子やラブレターやレイン交換の申し出が殺到して、困り切った加茂鴨ちゃんを女子達が助けて絆が深まっていくのだった。
一部、理想的な男子が失われたと嘆く女子や女性教師も居たが、まぁ、それはそれとして・・。
その翌年、卒業アルバム作成の時点で彼女の写真の大問題がいくつか見つかり、
構成の教師は大変な目に遭うのだが、まだ現時点では誰も気付いていなかった。
おもに、水泳の授業の水着姿など、まだ男子として活動していた時の写真だったが、
その時はともかく、卒業アルバム配布の時点ではれっきとした女子だ。
まさか、年頃の女子のトップレス状態の写真を掲載する訳にもいかず、それはそれは四苦八苦したとか何とか。
■■ED:『希望の一歩』歌:宇津馬 裕子■■
■■■■■This program is brought to you by the following sponsors.■■■■■
ニャニャン「今回は夏樹もボクも出番なかったね〜」
夏樹「そうだね。でも、次回は出番多そうだよねっ」
ニャニャン「ん?裕子ちゃん、どうしたの?そんな離れて」
裕子「べ、別に・・?(色々やらかしちゃってたのバレたらどうしよぅ〜・・!?)」
夏樹「さ、裕子、こっち来て。真ん中空いてるよ?」
裕子「ぅ、ぅん(ひぃっ!?)」
夏樹「でも、あの加茂鴨ちゃんって子、ほんと可愛いよね」
裕子「(核心っ!?)」
ニャニャン「ホントだよね〜♪ボクも買い物付き添って選ぶ手伝いしてあげたかったな〜♪」
裕子・夏樹「「どっか行け!!」」
ニャニャン「ひぃっ!?」
裕子「さいって〜・・!」
夏樹「女の子の聖域なのに・・」
ニャニャン「えっと・・ボク精霊だから性別とか無いんだけど〜・・?」
裕子「ニャニャンは何か溢れ出す劣情を感じるから、そういう問題じゃないっていうか・・」
夏樹「ぅんぅん・・」
ニャニャン「2人共ひどくない・・?」
夏樹「さ、裕子。次回は?」
裕子「うんっ♪次回、第16話♪『不思議な転校生は、もしかして・・?』ですっ♪」
夏樹「で、裕子。色々やらかしちゃってる気がするんだけど?」
裕子「はひいぃっ!?」




