interlude #12.5 Bパート
「顕現っ!」
夏樹の高校の制服が溶ける様に消えていき、下着姿もあらわに、クルクルと回る。
上下に胸がたわむと、弾かれたかの様にブラが光の粒子となり消え、お尻を突き出す様にすると、パンツが繊維にまで分解されていくかの様に消えていく。
すぐに光の粒子が集まり魔法少女装束のインナーが形成されていき、胸と腰回りが隠された。
更に光のリボンが夏樹の肢体に巻き付いてゆき、弾ける様に魔法少女装束のアウターに変わる。
決めポーズの夏樹が明るく笑いながら言う。
「さ、後半は6話から12話を一気に おさらいだよっ♪」
■◆■
アルタレイション・リリィは最期に口にしていた。
「アタシを倒しても、悪の道に墜ちた魔法少女はまだまだ居る・・アタシら『魔女結集連』の中でも、アタシは最弱・・『暴食』の位階止まりの半端者なのさ・・」
アルタレイション・リリィの身体がヒビ割れ、片腕が落ち、脚が自重で崩れ、地面に倒れ込んだ際に胴体もバラバラに砕け、首だけになった彼女は哀しげな狂笑を上げながらチリとなり風に吹きさらわれて跡形もなく消えて無くなっていった。
■
「ぁ、えっ!早っ!?6話、もう終わり!?今のたしかオープニング前の部分じゃんっ!?」
急に自分が映され、夏樹が慌てる。
「仕方無かろう?前半で5話までしか行けなかったのだ。飛ばし飛ばしで行くしかなかろうというモノよ」
「くぅ〜〜〜・・!」
悔しそうな顔の夏樹の頭を、ニャニャンの巨大な前脚の肉球がポフポフと優しく叩いてなだめた。
■◆■
満天の星空の下、月明かりに照らされた場所に立つ夏樹を映すカメラが、夏樹を中心にゆっくりと回る。
星明かりと月明かりだけでも透けて見えるくらいに薄く、しかし夏樹の身体にピッタリ貼りついて見える薄衣のドレスが揺れる。
淡く微笑んだ夏樹が何か呟くが、聞こえない。
きっと、観る人の数だけ、言われた言葉は変わるのだろう。
■◆■
《こぉ〜んばぁ〜んわぁ〜》
「っ!?」
夜道で不気味な声に語り掛けられた裕子がバッと振り向くと、夜道を照らす街灯の灯りの下に、誰か立っていた。
その街灯の横は、ほんの1、2秒前に通り過ぎたばかりだ。
確かに誰も居なかった。
なのに今、街灯の照らす場所に湧いて出た何者かが、裕子の方を向いて立っている。
《こぉ〜んな真っ暗な道をぉ、ひとりで帰ったりなぁんかするからぁ〜・・》
身体を落ち着きなく揺らしながら、ふざけている様に楽しそうに話す『何か』が首を傾け・・・・そのまま不自然に回り続け、頭頂部が真下を向いて止まる。
「ひっ・・!」
《襲われて行方不明になっちゃうんだよ?》
「夏っ・・!」
「夏樹ちゃん助けて」と叫ぼうとした口を押さえられ、壁際に押し付けられた裕子に殺到するように、闇よりも暗い影が集まっていった。
たすけを求めるように伸ばされた裕子の腕から指先まで、瞬く間に覆い尽くされてしまった。
「これ、お土産に置いとくね、夏樹ちゃん♪」
街灯の設置されている電信柱をほじる様にえぐった裕子が、その穴に、髪につけていたヘアピンを置いた。
「見つけてね・・待ってる・・♪」
そして、真っ暗な住宅街の道をスキップする様に去っていく裕子の後ろ姿は、すぐに夜闇に溶ける様に消えてしまった。
■◆■
パッ!パッ!パッ!パッ!パッ!と、時間にして1秒に1パターンくらいで、勢いよく進行するアニメのオープニング演出の様に、様々な衣装と決めポーズの夏樹が映し出されていく。
これまでに夏樹がモデルとして掲載されたファッション雑誌やイメージDVDの媚びっ媚びのポーズまで、次々と、次々と。
とても華があり魅力に溢れた夏樹の姿。
だけども、しかし。
それら全てはモノクロで。
少しの色合いすら無く。
だが、しかし。
1番最後に映し出された写真は、とても色付いていた。
有名人のスキャンダルで有名な雑誌の記者が盗撮したその写真は、学校からの下校途中に心底幸福そうに笑う夏樹と裕子の姿だった。
■◆■
バヂン・・ッ゙!!
倒されて消滅間際の『黒』が最期の力を振り絞って放った魔力弾が、アーカーシャ・リリィの前に一瞬で現れた何者かに弾き飛ばされた。
「っ・・!」
自分を助けてくれたのだろう相手だが、背中を見せたままの その何者かが放つ禍々しい魔力の波動に、アーカーシャ・リリィが後方に跳び退き距離を開けた。
「ぇ」
警戒して凝視していたのに、瞬きの一瞬で何者かは姿を消していた。
トン!と背中に軽い衝撃がして、アーカーシャ・リリィが固まる。
周囲には誰もいなかったハズだ。
居るハズなのは、自分と、消滅寸前の『黒』と、今しがた現れた禍々しい魔力を放つ何者か、だけのハズ。
ならば今、自身の背中に触れたのは・・。
「ね。何で今、逃げたの?」
禍々しい魔力を放つ何者かが居るハズの背後から、アーカーシャ・リリィが決して聞き間違えるハズの無い声がした。
「・・・裕子」
「ぅん♪」
警戒しつつゆっくりと身体ごと振り返ったアーカーシャ・リリィの後ろに、背中を向けた姿が見えた。
先程感じた軽い衝撃は、背中にぶつかった衝撃だったのかもしれない。
アーカーシャ・リリィより少し遅れて、その禍々しい魔力を放つ者も振り向く。
「・・裕子・・」
アーカーシャ・リリィの前に立つのは、身体のラインがクッキリと出て更に露出も激しい、かなり煽情的な格好をした裕子だった。
だが、そんな格好など一切気にならないくらいに、今の裕子は禍々しい魔力を全身から迸らせていて、艶っぽく熱と狂気を帯びたヌラリとした目をアーカーシャ・リリィに向けていた。
そして、狂気の滲む笑みを浮かべていた。
行方不明になって1か月、変わり果てた姿の裕子がそこに居た。
「全然見つけてくれないから、私から会いに、愛に、愛しに、来たよ♪」
にっこりと狂気を孕んだ笑みを浮かべた裕子の口の端が更に釣り上がった。
■◆■
「今からアナタ達には、最後の1人になるまで蹴落としあいをしてもらいます」
教室に閉じ込められた32人の女子生徒達の前の黒板に突如として映し出された不気味な人形。
その口から語られた衝撃的な宣告に、女子生徒達がザワザワと騒ぎ出す。
そんな生徒達の中に、高校生役でも不自然ではない年頃であることと、人気モデルながら更なる知名度を求めた事務所の推しで参加した夏樹の姿もあった。
この映画『she is…』で夏樹が扮した女子生徒 估根倉美渚は、物語中盤で犯人の正体を偶然知ったことにより、無惨な遺体となって発見される形で物語からデス・リタイアした。
■◆■
雨が振り続ける中、夏樹が立ち尽くしていた。
「・・・」
変身を解いている為、服は雨でビチャビチャに濡れていた。
服からも髪からも、雨が滴っている。
頬を濡らすのは、雨水にも彼女の涙の様にも見えた。
パシャリと音がして、夏樹の後ろに巨大な影が現れた。
ニャニャンだった。
「・・夏樹」
夏樹が静かに顔を上げる。
「・・・ニャニャン・・」
「・・」
「・・・裕子が・・」
「・・」
「・・裕子がぁ・・っ」
夏樹の涙声を掻き消す様に雨が強くなり、更に濡れていく夏樹に寄り添う様にニャニャンが擦り寄った。
■◆■
後ろから見た夏樹が写し出されたモノクロの写真をバックに、静かな音楽が流れていた。
夏樹がモデル雑誌で被写体として求められる姿の大半は、思春期終わりの頃の、子供でも大人でもない年代の淡い魅力を醸し出す少女の『色香』としての姿だった。
しかし、この写真は、珍しく『10代終わりに向かう頃合いの少女の儚さ』がモチーフに撮られていた。
■◆■
パンッ・・!
乾いた音が響いた。
裕子が行方不明になり不安定になっていた中、現れた裕子は敵である魔法少女に肉体を乗っ取られて敵となっていた。
そんな状況に自暴自棄な魔法少女活動をしていた夏樹を見かねて、友達である魔法少女のミアハ・レジットに呼び止められたのだが、素気なくあしらった夏樹はミアにビンタされていた。
「夏樹!アナタに言わないで欲しいて裕子に口止めされてたコトあるデス!けど!今のアナタ見てられないデス!」
ミアが何か口にしたが、近くを通った電車の通過音が掻き消し、夏樹以外には聞き取れなかった。
ミアが裕子に何を口止めしていたのかは分からないが、ソレを聞いた夏樹の目には強い意思が戻っていた。
スカートのポケットに入れた手を出して開くと、あの日見つけた裕子のヘアピンがあった。
■◆■
出演したモデルショーの合間に開催された芸能人のイベントコーナーで、流行りのアイドルグループとコラボした夏樹は、そのアイドルグループとお揃いの制服を着てダンスしていた。
フリルとレースがたっぷり使われた媚びっ媚びのアイドル衣装を着た夏樹が、激しい振り付けで踊る。
その度にスカートは舞い上がり、十代の少女の魅力と色気が振りまかれる。
■◆■
授業中の夏樹の姿が窓越しに外から見える。
セミの鳴き声と、グラウンドで体育の授業中のクラスの生徒の声が響く。
指名された夏樹が黒板に向けて歩く。
そんな夏樹の斜め下からあおり視界で映し出されるが、揺れるプリーツスカートと脚の角度で、絶妙にコンプライアンスが守られていた。
■◆■
水着姿の夏樹がプールに向けて歩いてゆき、そんな彼女の揺れるお尻がアップで映し出された。
バシャン!と派手な音を立てて飛び込んだ夏樹を、
水中カメラが追う。
水に濡れて更にピッタリと張り付いた水着をなめる様なアングルでカメラが動いた。
■◆■
「来たぁっ!前半ラストっ!12話目ぇっ!行っけぇえぇえっ!!」
夏樹が指先をビシィッ!!と此方側に向け、突きつける。
■
ニャニャンと融合したアーカーシャ・リリィの全身から、莫大な魔力が噴き出していた。
「鎮魂歌弐式っ!!来世ノ希望・・!」
アーカーシャ・リリィの振り下ろした斬撃は、一切の躊躇すらなく裕子を斬った。
自信満々の微笑みを浮かべる裕子の前に張られていた魔力障壁が一瞬にして粉々に砕かれた。
「・・な・・ぁ・・っ!?」
裕子が驚愕の声を上げる。
「魔法少女と、お伴の精霊の、それぞれの『力』を合わせたソレは、全てを超越する可能性に至る・・っ!」
「名付けるなら、魔精合体・・!」
アーカーシャ・リリィが、膨大な魔力を凝縮されて形作られた『鎮魂歌弐式』の巨大な刀身を構える。
「魔法少女の魔力と精霊の力は、似て非なるもの。完全に混ざり合うコトの無い、水と油の様なもの。でも、その反発し合う2つの力を絶え間なく混ぜ合わせ、分離したら混ぜ合わせる。反発した際の爆発的な力を使いこなせさえすれば、貫き通せないモノなんて有りはしないっ・・!」
アーカーシャ・リリィが躊躇無く振り下ろした巨大な刀身から発された斬撃が、裕子を袈裟斬りにした。
「そ・・ん、なぁ・・っ!」
裕子の目が驚愕に見開かれる。
「あり、得、ないぃぃっ・・!」
決して認めない、認めたくない、認められない。そんな裕子を嘲笑う様に、その全身を無数の斬撃が襲った。
斬り裂かれる度に裕子から吹き出す禍々しい魔力の量が増し、ついには裕子の身体全てを濃密に覆う程になっていた。
《ウソだっ!!夏樹ちゃんが私にぃっ!この身体にっ!!この子にぃっ!?こんなコトっ!するハズ無いんだからぁあアアアアアア゛ア゛ア゛ッ゙!?》
裕子の身体から吹き出す様に出た禍々しい魔力が集まり凝縮されてゆき、ヒトの形になっていく。
《なんて女っ!!なんて酷い奴なんだっ!?よくも私にっ!!?友達にっ!!親友にぃぃぃ!?こんな酷いコトをぉおオッ!?》
固まっていく姿は、裕子とは別人。裕子に取り憑き好き放題にしていたフリーダム・リリィの魔力体だった。
自身の『力』に呑まれ、肉体という楔を失い、発狂して心すら喪う羽目になった、1人の魔法少女の成れの果ての姿だった。
その目が、取り憑いていたモノが出た為に倒れ込み無力に肢体を投げ出す裕子を見る。
《・・はぁっ!?》
そこには、全身を斬り裂かれに斬り裂かれズタズタでグズグズの無惨な肉塊ではなく、傷ひとつすら無い裕子の姿があった。
フリーダム・リリィが取り憑いていた際に着た、露出の激し過ぎる煽情的で艶めかしい格好のままではあったが。
ズドッ!!!!
激しい衝撃が胴体に走り、フリーダム・リリィが自身の身体を見下ろす。
そこには、アーカーシャ・リリィの身の丈を有に超す刀身の魔力刃が突き刺さっていて、ソレを突き立てるアーカーシャ・リリィの姿があった。
「星の端末である精霊の『力』を借りてこそ使えた力」
《アーシャちゃん!?夏樹ちゃんっ!!よくも私にぃ!?夏樹ちゃんは私が居なきゃ!!痛いぃィイッ!?ホントは何も出来ないクセにっ!!アンタなんかっ!!止めてっ!?会いたくなかった!!出会いさえしなきゃっ!?殺さないで!!ワタシさえ幸せにっ!!ワタシだけ生き残ってればぁあ!!?アンタなんか居なきゃあ!!》
支離滅裂に喚き散らすフリーダム・リリィ。
「星断・虚空穿祈」
胴体に突き立てていた刀身を強く斬り上げ、胴体から頭頂部までが唐竹割りに斬り裂かれた。
《か、はっ・・・ぁ》
ズッ!
ギュア・・・!
アーカーシャ・リリィの斬撃の軌跡が時空の裂け目となり、フリーダム・リリィの魔力体身体をグシャグシャに丸める様に吸引し、最後には点の様に小さくなり、消えてなくなってしまった。
■
「どうだったかにゃ?12話まで全速力で明後日の更に最果てまで駆け抜けた気もするにゃ♪」
にっこり微笑んだ夏樹だが、語尾がオカしい。
あと、ついでに頭上と腰の辺りもオカしかった。
頭上と腰に、ニャニャンの耳と尻尾を移植したかの様に存在を主張する猫耳とフンワリ尻尾があった。
「ふふーん♪これぞ魔精合体の可能性の1つにゃ!溢れる精霊のオーラを精霊の姿に固めて密度を上げるコトによって、更に出力アーップ♪可愛さもアーーーーップぅぅ♪」
楽しそうにクルクル回る夏樹は、毛皮で作ったビキニ水着を身に着けた様な姿で、猫耳がピコピコ動き、尻尾が大きくうねっていた。
が、突然、夏樹の動きが変調を見せた。
全身に力が入らなくなったかの様にフニャリと脱力していき、猫耳と尻尾が空中に溶ける様に消えていく。
毛皮の水着を着ている様に見えた姿も、高校のブレザーの制服姿に戻っていく。
「んぅ〜・・?はれ〜?・・なーんかー・・力がー・・抜けれいくぅぅ〜〜・・・?」
夏樹がそばのイスに倒れ込む。
が、何か憑き物が落ちたかの様に静かに顔を上げた。
「やれやれ・・仕方ない娘よ・・世話が焼けるのぅ・・」
声は夏樹そのまま、口調はニャニャンの様に変わっていた。
その表情も、10代の少女のそれではなく、凛として見えた。
どうやら、肉体の夏樹の意識が落ち、内面に居るニャニャンの意識が表出した様だ。
「精霊の膨大なマナを受け入れ十全に使いこなすには、かなり強大な力を持つ魔法少女であっても尚、慎重に慎重を重ねた魔力操作をしてもまだ足りぬというに・・」
尊大に見える態度に変わった夏樹がアゴを上げ、こちらを見下す様に睥睨した。
ゆっくりと脚を組む様子は、怪しげな色香に満ちていた。
制服に包まれた肢体も、とても艷やかで、包み隠さねばならない禁忌の甘露の様に濃密な色気を放っていた。
そちらを映す視界を嘲笑うかの様に、夏樹の目が細められ、声なく嗤い肩が揺れる。
「ヌシらの知る夏樹と、今ここに居る夏樹。どちらも夏樹の可能性のひとつには違いない。さて、続く物語を彩り踊るは どちらの夏樹か・・はたまた別の可能性の夏樹なのであろうか・・?・・クカカッ・・愉快愉快・・楽しみに待つとしようではないか・・。のう?」
ニヤリと口の端を吊り上げた夏樹の目が愉悦に細められ、ニャニャンと同じ色合いに変色した。
空中を撫でる様にゆっくりと耽美な所作で上げられた片手が、魔力と精霊の力の混ざり合った濃密な何かで包まれ、指先が鋭利にとがった様相に変わる。
そして、モニタのソチラとコチラを隔てるモノを引き裂く様に振られた片手により空間が裂かれ、そこから溢れた漆黒に塗り潰され、世界は暗転した。
■■ED:『希望の一歩』歌:斎木 夏樹■■
■■■■■This program is brought to you by the following sponsors.■■■■■
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
【オーディオコメンタリー Ver.】
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
【夏樹:はぁ・・・始まっちゃった・・まだ半分あるのか・・ってぇえええ!?】
夏樹の高校の制服が溶ける様に消えていき、下着姿もあらわに、クルクルと【夏樹:わーーーーーっ!!!!見ちゃダメーーー!?】
上下に胸がたわむと、弾かれたかの様にブラが光の粒子となり消え、お尻を突き出す様にすると、パンツが繊維にまで分解されていくかの様に消えていく。
すぐに光の粒子が集まり魔法少女装束のインナーが形成されていき、胸と腰回りが隠された。
更に光のリボンが夏樹の肢体に巻き付いてゆき、弾ける様に魔法少女装束のアウターに変わる。
【夏樹:なんで!?なんでこんなエッチなのっ!?いやらし過ぎる!!エッチ過ぎるぅぅぅううっ!!】
決めポーズの夏樹が明るく笑いながら言う。
「さ、後半は6話から12話を一気に おさらいだよっ♪」
【夏樹:早く終わって!!どうせ後半もエッチなピーブイとかばっかなんでしょ!?】
■◆■
アルタレイション・リリィは最期に口にしていた。
「アタシを倒しても、悪の道に墜ちた魔法少女はまだまだ居る・・アタシら『魔女結集連』の中でも、アタシは最弱・・『暴食』の位階止まりの半端者なのさ・・」
【夏樹:ぃゃ、厨二か!設定盛り盛りか!】
アルタレイション・リリィの身体がヒビ割れ、片腕が落ち、脚が自重で崩れ、地面に倒れ込んだ際に胴体もバラバラに砕け、首だけになった彼女は哀しげな狂笑を上げながらチリとなり風に吹きさらわれて跡形もなく消えて無くなっていった。
【夏樹:・・アルト・・】
■
「ぁ、えっ!早っ!?6話、もう終わり!?今のたしかオープニング前の部分じゃんっ!?」
急に自分が映され、夏樹が慌てる。
「仕方無かろう?前半で5話までしか行けなかったのだ。飛ばし飛ばしで行くしかなかろうというモノよ」
「くぅ〜〜〜・・!」
悔しそうな顔の夏樹の頭を、ニャニャンの巨大な前脚の肉球がポフポフと優しく叩いてなだめた。
【夏樹:ぁ・・肉球きもちよさそ〜・・♪】
■◆■
満天の星空の下、月明かりに照らされた場所に立つ夏樹を映すカメラが、夏樹を中心にゆっくりと回る。
星明かりと月明かりだけでも透けて見えるくらいに薄く、しかし夏樹の身体にピッタリ貼りついて見える薄衣のドレスが揺れる。
淡く微笑んだ夏樹が何か呟くが、聞こえない。
きっと、観る人の数だけ、言われた言葉は変わるのだろう。
【夏樹:ん〜〜・・このくらいなら・・?】
■◆■
《こぉ〜んばぁ〜んわぁ〜》
「っ!?」
【夏樹:・・この声・・どこかで・・?】
夜道で不気味な声に語り掛けられた裕子がバッと振り向くと、夜道を照らす街灯の灯りの下に、誰か立っていた。
その街灯の横は、ほんの1、2秒前に通り過ぎたばかりだ。
確かに誰も居なかった。
なのに今、街灯の照らす場所に湧いて出た何者かが、裕子の方を向いて立っている。
《こぉ〜んな真っ暗な道をぉ、ひとりで帰ったりなぁんかするからぁ〜・・》
身体を落ち着きなく揺らしながら、ふざけている様に楽しそうに話す『何か』が首を傾け・・・・そのまま不自然に回り続け、頭頂部が真下を向いて止まる。
「ひっ・・!」
《襲われて行方不明になっちゃうんだよ?》
「夏っ・・!」
【夏樹:裕子!!誰か、裕子を・・!】
「夏樹ちゃん助けて」と叫ぼうとした口を押さえられ、壁際に押し付けられた裕子に殺到するように、闇よりも暗い影が集まっていった。
たすけを求めるように伸ばされた裕子の腕から指先まで、瞬く間に覆い尽くされてしまった。
「これ、お土産に置いとくね、夏樹ちゃん♪」
【夏樹:ぇ・・これって・・?】
街灯の設置されている電信柱をほじる様にえぐった裕子が、その穴に、髪につけていたヘアピンを置いた。
「見つけてね・・待ってる・・♪」
そして、真っ暗な住宅街の道をスキップする様に去っていく裕子の後ろ姿は、すぐに夜闇に溶ける様に消えてしまった。
【夏樹:ぁ〜・・そういう展開ね・・】
■◆■
パッ!パッ!パッ!パッ!パッ!と、時間にして1秒に1パターンくらいで、勢いよく進行するアニメのオープニング演出の様に、様々な衣装と決めポーズの夏樹が映し出されていく。
これまでに夏樹がモデルとして掲載されたファッション雑誌やイメージDVDの媚びっ媚びのポーズまで、次々と、次々と。
とても華があり魅力に溢れた夏樹の姿。
だけども、しかし。
それら全てはモノクロで。
少しの色合いすら無く。
だが、しかし。
1番最後に映し出された写真は、とても色付いていた。
有名人のスキャンダルで有名な雑誌の記者が盗撮したその写真は、学校からの下校途中に心底幸福そうに笑う夏樹と裕子の姿だった。
【夏樹:・・ん。こういうのなら】
■◆■
バヂン・・ッ゙!!
倒されて消滅間際の『黒』が最期の力を振り絞って放った魔力弾が、アーカーシャ・リリィの前に一瞬で現れた何者かに弾き飛ばされた。
「っ・・!」
自分を助けてくれたのだろう相手だが、背中を見せたままの その何者かが放つ禍々しい魔力の波動に、アーカーシャ・リリィが後方に跳び退き距離を開けた。
「ぇ」
警戒して凝視していたのに、瞬きの一瞬で何者かは姿を消していた。
トン!と背中に軽い衝撃がして、アーカーシャ・リリィが固まる。
周囲には誰もいなかったハズだ。
居るハズなのは、自分と、消滅寸前の『黒』と、今しがた現れた禍々しい魔力を放つ何者か、だけのハズ。
ならば今、自身の背中に触れたのは・・。
「ね。何で今、逃げたの?」
禍々しい魔力を放つ何者かが居るハズの背後から、アーカーシャ・リリィが決して聞き間違えるハズの無い声がした。
「・・・裕子」
「ぅん♪」
警戒しつつゆっくりと身体ごと振り返ったアーカーシャ・リリィの後ろに、背中を向けた姿が見えた。
先程感じた軽い衝撃は、背中にぶつかった衝撃だったのかもしれない。
アーカーシャ・リリィより少し遅れて、その禍々しい魔力を放つ者も振り向く。
「・・裕子・・」
アーカーシャ・リリィの前に立つのは、身体のラインがクッキリと出て更に露出も激しい、かなり煽情的な格好をした裕子だった。
【夏樹:なんで!?いや、こういう展開は予想できたけど、なんで裕子までエッチ過ぎな感じにされてるの!?コレあれだよね、闇落ちってヤツだよね!?なんで闇落ちキャラは露出激しくなるのがお約束なの!?】
、艶っぽく熱と狂気を帯びたヌラリとした目をアーカーシャ・リリィに向けていた。
そして、狂気の滲む笑みを浮かべていた。
【夏樹:こんな時も百合展開気味なのっ!?】
行方不明になって1か月、変わり果てた姿の裕子がそこに居た。
【夏樹:変わり果て過ぎだよ!!】
「全然見つけてくれないから、私から会いに、愛に、愛しに、来たよ♪」
にっこりと狂気を孕んだ笑みを浮かべた裕子の口の端が更に釣り上がった。
■◆■
「今からアナタ達には、最後の1人になるまで蹴落としあいをしてもらいます」
【夏樹:こういう展開の映画観た!】
教室に閉じ込められた32人の女子生徒達の前の黒板に突如として映し出された不気味な人形。
その口から語られた衝撃的な宣告に、女子生徒達がザワザワと騒ぎ出す。
そんな生徒達の中に、高校生役でも不自然ではない年頃であることと、人気モデルながら更なる知名度を求めた事務所の推しで参加した夏樹の姿もあった。
【夏樹:ぁー・・この世界の私、映画にも出演るんだ・・?】
この映画『she is…』で夏樹が扮した女子生徒 估根倉美渚は、物語中盤で犯人の正体を偶然知ったことにより、無惨な遺体となって発見される形で物語からデス・リタイアした。
【夏樹:役でもイヤだなぁ・・】
■◆■
雨が振り続ける中、夏樹が立ち尽くしていた。
「・・・」
変身を解いている為、服は雨でビチャビチャに濡れていた。
服からも髪からも、雨が滴っている。
頬を濡らすのは、雨水にも彼女の涙の様にも見えた。
パシャリと音がして、夏樹の後ろに巨大な影が現れた。
ニャニャンだった。
「・・夏樹」
夏樹が静かに顔を上げる。
「・・・ニャニャン・・」
「・・」
「・・・裕子が・・」
「・・」
「・・裕子がぁ・・っ」
夏樹の涙声を掻き消す様に雨が強くなり、更に濡れていく夏樹に寄り添う様にニャニャンが擦り寄った。
■◆■
後ろから見た夏樹が写し出されたモノクロの写真をバックに、静かな音楽が流れていた。
夏樹がモデル雑誌で被写体として求められる姿の大半は、思春期終わりの頃の、子供でも大人でもない年代の淡い魅力を醸し出す少女の『色香』としての姿だった。
しかし、この写真は、珍しく『10代終わりに向かう頃合いの少女の儚さ』がモチーフに撮られていた。
■◆■
パンッ・・!
乾いた音が響いた。
【夏樹:ぁ、ミア】
裕子が行方不明になり不安定になっていた中、現れた裕子は敵である魔法少女に肉体を乗っ取られて敵となっていた。
そんな状況に自暴自棄な魔法少女活動をしていた夏樹を見かねて、友達である魔法少女のミアハ・レジットに呼び止められたのだが、素気なくあしらった夏樹はミアにビンタされていた。
「夏樹!アナタに言わないで欲しいて裕子に口止めされてたコトあるデス!けど!今のアナタ見てられないデス!」
【夏樹:何でカタコトなの。翻訳術式は!】
ミアが何か口にしたが、近くを通った電車の通過音が掻き消し、夏樹以外には聞き取れなかった。
ミアが裕子に何を口止めしていたのかは分からないが、ソレを聞いた夏樹の目には強い意思が戻っていた。
スカートのポケットに入れた手を出して開くと、あの日見つけた裕子のヘアピンがあった。
【夏樹:がんばれ、夏樹・・!】
■◆■
出演したモデルショーの合間に開催された芸能人のイベントコーナーで、流行りのアイドルグループとコラボした夏樹は、そのアイドルグループとお揃いの制服を着てダンスしていた。
【夏樹:可愛いけど!可愛いけども!///】
フリルとレースがたっぷり使われた媚びっ媚びのアイドル衣装を着た夏樹が、激しい振り付けで踊る。
その度にスカートは舞い上がり、十代の少女の魅力と色気が振りまかれる。
【夏樹:わーー!?パンモロも振りまいてるぅっ!?】
■◆■
授業中の夏樹の姿が窓越しに外から見える。
セミの鳴き声と、グラウンドで体育の授業中のクラスの生徒の声が響く。
【夏樹:んー・・落ち着く時間は必要だもんね・・】
指名された夏樹が黒板に向けて歩く。
そんな夏樹の斜め下からあおり視界で映し出されるが、揺れるプリーツスカートと脚の角度で、絶妙にコンプライアンスが守られていた。
【夏樹:ぃゃぃゃぃゃぃゃ・・変に濃い不自然な影入ってるぅ!アレでしょ!円盤では解禁されるよってヤツでしょ!?ダメだよ!?】
■◆■
水着姿の夏樹がプールに向けて歩いてゆき、そんな彼女の揺れるお尻がアップで映し出された。
【夏樹:・・・また水着・・?】
バシャン!と派手な音を立てて飛び込んだ夏樹を、
水中カメラが追う。
水に濡れて更にピッタリと張り付いた水着をなめる様なアングルでカメラが動いた。
【夏樹:ぇと・・この時代って、まだ児ポ法前・・?】
■◆■
「来たぁっ!前半ラストっ!12話目ぇっ!行っけぇえぇえっ!!」
【夏樹:来た!やっと終わりだねっ!?】
夏樹が指先をビシィッ!!と此方側に向け、突きつける。
■
ニャニャンと融合したアーカーシャ・リリィの全身から、莫大な魔力が噴き出していた。
【夏樹:ぉ・・ぉぉ・・?】
「鎮魂歌弐式っ!!来世ノ希望・・!」
【夏樹:前半のとちょっと違う・・?】
アーカーシャ・リリィの振り下ろした斬撃は、一切の躊躇すらなく裕子を斬った。
【夏樹:裕子っ!!】
自信満々の微笑みを浮かべる裕子の前に張られていた魔力障壁が一瞬にして粉々に砕かれた。
「・・な・・ぁ・・っ!?」
裕子が驚愕の声を上げる。
「魔法少女と、お伴の精霊の、それぞれの『力』を合わせたソレは、全てを超越する可能性に至る・・っ!」
「名付けるなら、魔精合体・・!」
【夏樹:ぁー・・アレかー・・】
アーカーシャ・リリィが、膨大な魔力を凝縮されて形作られた『鎮魂歌弐式』の巨大な刀身を構える。
「魔法少女の魔力と精霊の力は、似て非なるもの。完全に混ざり合うコトの無い、水と油の様なもの。でも、その反発し合う2つの力を絶え間なく混ぜ合わせ、分離したら混ぜ合わせる。反発した際の爆発的な力を使いこなせさえすれば、貫き通せないモノなんて有りはしないっ・・!」
【夏樹:んー・・・】
アーカーシャ・リリィが躊躇無く振り下ろした巨大な刀身から発された斬撃が、裕子を袈裟斬りにした。
「そ・・ん、なぁ・・っ!」
裕子の目が驚愕に見開かれる。
「あり、得、ないぃぃっ・・!」
決して認めない、認めたくない、認められない。そんな裕子を嘲笑う様に、その全身を無数の斬撃が襲った。
斬り裂かれる度に裕子から吹き出す禍々しい魔力の量が増し、ついには裕子の身体全てを濃密に覆う程になっていた。
《ウソだっ!!夏樹ちゃんが私にぃっ!この身体にっ!!この子にぃっ!?こんなコトっ!するハズ無いんだからぁあアアアアアア゛ア゛ア゛ッ゙!?》
【夏樹:・・やっぱり、この声・・?】
裕子の身体から吹き出す様に出た禍々しい魔力が集まり凝縮されてゆき、ヒトの形になっていく。
《なんて女っ!!なんて酷い奴なんだっ!?よくも私にっ!!?友達にっ!!親友にぃぃぃ!?こんな酷いコトをぉおオッ!?》
固まっていく姿は、裕子とは別人。裕子に取り憑き好き放題にしていたフリーダム・リリィの魔力体だった。
自身の『力』に呑まれ、肉体という楔を失い、発狂して心すら喪う羽目になった、1人の魔法少女の成れの果ての姿だった。
その目が、取り憑いていたモノが出た為に倒れ込み無力に肢体を投げ出す裕子を見る。
【夏樹:・・この世界でもか・・】
《・・はぁっ!?》
そこには、全身を斬り裂かれに斬り裂かれズタズタでグズグズの無惨な肉塊ではなく、傷ひとつすら無い裕子の姿があった。
フリーダム・リリィが取り憑いていた際に着た、露出の激し過ぎる煽情的で艶めかしい格好のままではあったが。
ズドッ!!!!
激しい衝撃が胴体に走り、フリーダム・リリィが自身の身体を見下ろす。
そこには、アーカーシャ・リリィの身の丈を有に超す刀身の魔力刃が突き刺さっていて、ソレを突き立てるアーカーシャ・リリィの姿があった。
「星の端末である精霊の『力』を借りてこそ使えた力」
《アーシャちゃん!?夏樹ちゃんっ!!よくも私にぃ!?夏樹ちゃんは私が居なきゃ!!痛いぃィイッ!?ホントは何も出来ないクセにっ!!アンタなんかっ!!止めてっ!?会いたくなかった!!出会いさえしなきゃっ!?殺さないで!!ワタシさえ幸せにっ!!ワタシだけ生き残ってればぁあ!!?アンタなんか居なきゃあ!!》
支離滅裂に喚き散らすフリーダム・リリィ。
「星断・虚空穿祈」
胴体に突き立てていた刀身を強く斬り上げ、胴体から頭頂部までが唐竹割りに斬り裂かれた。
《か、はっ・・・ぁ》
ズッ!
ギュア・・・!
【夏樹:カッコいいけど、本来の私に教えられないからなぁ・・】
アーカーシャ・リリィの斬撃の軌跡が時空の裂け目となり、フリーダム・リリィの魔力体身体をグシャグシャに丸める様に吸引し、最後には点の様に小さくなり、消えてなくなってしまった。
【夏樹:次こそ幸せになってね・・】
■
「どうだったかにゃ?12話まで全速力で明後日の更に最果てまで駆け抜けた気もするにゃ♪」
【夏樹:語尾っ!?『にゃ』って!!】
にっこり微笑んだ夏樹だが、語尾がオカしい。
あと、ついでに頭上と腰の辺りもオカしかった。
頭上と腰に、ニャニャンの耳と尻尾を移植したかの様に存在を主張する猫耳とフンワリ尻尾があった。
【夏樹:ぃゃ可愛いけど、恥ずかしいからぁ!?】
「ふふーん♪これぞ魔精合体の可能性の1つにゃ!溢れる精霊のオーラを精霊の姿に固めて密度を上げるコトによって、更に出力アーップ♪可愛さもアーーーーップぅぅ♪」
【夏樹:考え方は合ってると思うけど、恥ずかし過ぎるから!】
楽しそうにクルクル回る夏樹は、毛皮で作ったビキニ水着を身に着けた様な姿で、猫耳がピコピコ動き、尻尾が大きくうねっていた。
【夏樹:あぁあぁぁ・・もぉ〜・・もぉおおお〜〜〜・・!】
が、突然、夏樹の動きが変調を見せた。
全身に力が入らなくなったかの様にフニャリと脱力していき、猫耳と尻尾が空中に溶ける様に消えていく。
毛皮の水着を着ている様に見えた姿も、高校のブレザーの制服姿に戻っていく。
「んぅ〜・・?はれ〜?・・なーんかー・・力がー・・抜けれいくぅぅ〜〜・・・?ぅにゃぁぁぁ〜・・」
夏樹がそばのイスに倒れ込む。
が、何か憑き物が落ちたかの様に静かに顔を上げた。
「やれやれ・・仕方ない娘よ・・世話が焼けるのぅ・・」
【夏樹:・・ぉ?】
声は夏樹そのまま、口調はニャニャンの様に変わっていた。
その表情も、10代の少女のそれではなく、凛として見えた。
どうやら、肉体の夏樹の意識が落ち、内面に居るニャニャンの意識が表出した様だ。
【夏樹:ぁー・・そういう・・】
「精霊の膨大なマナを受け入れ十全に使いこなすには、かなり強大な力を持つ魔法少女であっても尚、慎重に慎重を重ねた魔力操作をしてもまだ足りぬというに・・」
【夏樹:まぁ、そうだよね・・】
尊大に見える態度に変わった夏樹がアゴを上げ、こちらを見下す様に睥睨した。
ゆっくりと脚を組む様子は、怪しげな色香に満ちていた。
【夏樹:ちょっ!?見えた!見えちゃダメなの映ってるぅ!!パンツ見えちゃってるぅ!?】
制服に包まれた肢体も、とても艷やかで、包み隠さねばならない禁忌の甘露の様に濃密な色気を【夏樹:いや、ナレーションより先にカメラ位置変えてっ!?さっきから、ず〜っとパンツにピント合って画面ど真ん中じゃない!!おかしいでしょ!!表情映そうよ、表情っ!!!】らを映す視界を嘲笑うかの様に、夏樹の目が細められ、声なく嗤い肩が揺れる。
【夏樹:ちょっ!今度は胸にピントが・・って、違ったか・・!】
「ヌシらの知る夏樹と、今ここに居る夏樹。どちらも夏樹の可能性のひとつには違いない。さて、続く物語を彩り踊るは どちらの夏樹か・・はたまた別の可能性の夏樹なのであろうか・・?・・クカカッ・・愉快愉快・・楽しみに待つとしようではないか・・。のう?」
ニヤリと口の端を吊り上げた夏樹の目が愉悦に細められ、ニャニャンと同じ色合いに変色した。
空中を撫でる様にゆっくりと耽美な所作で上げられた片手が、魔力と精霊の力の混ざり合った濃密な何かで包まれ、指先が鋭利にとがった様相に変わる。
そして、モニタのソチラとコチラを隔てるモノを引き裂く様に振られた片手により空間が裂かれ、そこから溢れた漆黒に塗り潰され、世界は暗転した。
【夏樹:んー・・カッコいいじゃん・・ずっとカッコいいのだけにすれば良いのにー・・】
■■ED:『希望の一歩』歌:斎木 夏樹■■
【夏樹:あ、私バージョンになってる・・!】
■■■■■This program is brought to you by the following sponsors.■■■■■
ニャニャン「夏樹、お疲れ様〜♪」
夏樹「・・ホント・・かんべんして欲しい・・」
ニャニャン「ニャハハ♪夏樹があんな叫んでるの初めて見たよ〜♪」
夏樹「私は見たくもない自分の可能性を見させられたよ・・?」
ニャニャン「そう?すっごく発育良かった気が・・?」
夏樹「うん!だよね♪それだけは そのままで良いよ!」
ニャニャン「じゃあ、イメージPVを・・!」
夏樹「それはムリっ!ダメ寄りの絶対ダメぇ!!」
ニャニャン「寄りどころか越えちゃってるじゃん〜」
夏樹「はい、おしまいデーーース!気持ち切り替えて行きマショーー!」
ニャニャン「ミアだけじゃなくって夏樹までカタコトになってるし〜www」
夏樹「はい、次回!第13話!『その魔法少女の名は・・』をお楽しみにっ!」
ニャニャン「次回は、ミッシングリンクを繋ぐ回だねっ」
夏樹「うん。そして、1つの謎が解決して、無数の謎が開示される回でもある、かな・・・裕子・・アナタは一体・・」
ニャニャン「あ、次回も夏樹視点回だよっ」




