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魔法少女 ノーブル・リリィ  作者: 散桜


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#5『私・・ここまでなのかな・・?』Bパート


倒れ伏す裕子を庇う様に、黒いウェディングドレスが ひるがえる。


魔法少女装束からは、吹き出す様に魔力が溢れていた。

彼女がどれだけ急いで駆け付けたのかが察せられた。


「間に合った・・!」

息を荒げたアーカーシャ・リリィが、倒れ伏す裕子を見た。

「ニャニャン!()てあげて・・!」

「まかせて!」

精霊のニャニャンがアーカーシャ・リリィの肩から離れ、裕子に飛びつく。

ニャニャンの可愛い前脚が光り、裕子の身体を柔らかい光が包み込む。

周囲から光の粒子が集まりだし、裕子が怪我を負った場所に吸い込まれる様に消えていく。


「・・」

裕子から目を離し、アーカーシャ・リリィは前を見た。

その視線の先では、減速無しで突っ込んで来た彼女に弾き飛ばされた『黒い何か』の姿が在った。


「VuUUUuu…!!!!」


弾き飛ばされた先で激突した木を数本倒したからなのか、少しよろめいている様に見えた。


「VUUUUUU…!!!」

「・・・」


どちらが先に動いたのか、アーカーシャ・リリィと黒い塊が激突した。





「・・・」

言葉にならない、というのはこういうコトなのだろうか。


意識を取り戻した裕子の目の前で、夜闇を切り裂く閃光が(ほとばし)る。

ニャニャンが裕子の身体を浮かし、近くの木に寄りかかる姿勢に変えていた。

ニャニャンはまだ裕子の胸の少し下辺りに前脚を当てたままだ。

ニャニャンの前脚が光り、裕子の怪我の辺りから温かさが広がって行っている。

しかし、裕子の視線はニャニャンとは違う方を向いたまま、反れない。



どうすればあんなコトが出来るのだろうか。

やっと取っ掛かりを掴めたばかりの裕子には到底不可能な域だった。


2つの『黒』が ぶつかり合い、戦っていた。


片方の『黒』は、裕子も知る『魔法少女』だ。

もう片方は、何なのか分からない。

ただ、黒という色に覆われ、暗闇よりも暗い色合いだった。そして、裕子も見て取った様に、『ヒト型』をしている様だ。


目にも止まらぬ速さでアーカーシャ・リリィが動き、『黒い何か』に攻撃を加え続ける。

アーカーシャ・リリィの持つステッキからは剣の様に光が延び、『黒い何か』を斬りつける。

何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も、終わりが無いのではないかという程に、斬りつける。

そして何かを斬り飛ばした。

返す刃で更に何かを斬り飛ばし、地面に降り立ったかと思った次の瞬間、『黒い何か』の正面側から背後に抜ける様に、斬った。


「AA·A·A·AAA·A·A…………a……」


ザラッと。

砂で出来た城が崩れ落ちる様に。

ザラッと。

ザラリ、ザラリ、ザラリ、と。

『黒い何か』は不規則に崩れていき、夜闇に溶けて無くなる様に、消えてなくなっていった。


ザリ・・!


あまりの光景に言葉も無く見入っていた裕子の鼓膜を、一つの音が強かに打った。

アーカーシャ・リリィが裕子の方に身体を向けた際に、彼女のブーツが地面を強く踏み締めた音だ。


自分に向けて歩いて来るアーカーシャ・リリィを、裕子は ただ見ていた。

そして裕子の前までアーカーシャ・リリィが来たかと思うと。


パン・・!


裕子の頬を、強めの衝撃が突き抜けた。

真正面を向いていた顔が右向きに変わっていて、その目の先には、振り抜かれた手が見えた。


どれだけ呆けていたのか。

振り抜かれた手を見て、アーカーシャ・リリィにビンタされたのだと気付いた。


「・・・ニャニャン、傷は?」

「治せたよ♪でも数日は絶対安静だね♪」

「・・・3日は寝てなさい。治した傷が開くかもしれないから」

静かに、感情の抑揚の無い声が裕子の耳に届いた。

「・・・ぅん・・」

裕子は、自分でもよく分からない内に、弱々しく返事していた。


次の瞬間、腕を引っ張られて立たされたかと思ったら、足下を払われた。

そのまま地面に倒れる事はなく、気付けば浮遊感に包まれていた。


ビンタされた頬に手を当てたまま、それでも呆けていた裕子の顔に、夜風が当たりだした。

魔法少女服は消えてしまっている。私服の裕子を護ってくれるモノは無いハズなのに、不思議と風が冷たくない。

ただ弱い風が微かに当たる程度だ。


呆けたままの裕子が弱々しく周りを見ると、地面からは遠く離れ、山の景色が次々と背後に流れていっていた。



呆けたままの裕子を お姫様抱っこし、アーカーシャ・リリィは山から離れ、市街地の上空を飛んで行く。

キチンと魔力の障壁を張っているので、裕子に当たる外気も ごくわずかだ。

そして裕子の住むマンションのベランダに到着し、ニャニャンが窓を開け、ごく自然な動作で裕子の部屋までズカズカと歩いて行き、部屋に入るとベッドの上に裕子を降ろした。


「・・・・・・・・・・・・・帰った方が良い?・・・居た方が良い?」




裕子の目から涙が落ちた。


「・・・・・・・・・居て欲しい・・・」


「・・ん」




少し涙が零れたかと思えば、堰を切ったかの様に、裕子の目からは大粒の涙が落ち始めた。

大声で泣き、アーカーシャ・リリィの胸に顔を埋めて泣き続けた。




「・・・お疲れ。アーシャ」

「・・・ん」


泣き疲れたのか、裕子は深く眠っている。

アーカーシャ・リリィの魔法少女装束の胸元は、裕子の涙とか鼻水でグッショリだ。


ベッド脇に寄りかかる様に、アーカーシャ・リリィも寝落ちした。




気付けば、デジタル音声が甲高く鳴り響いていた。

重い まぶたを開けたアーカーシャ・リリィは、首を傾げる。

「・・・・・?」

見覚えの無い景色に、周りをキョロキョロ見回し、ベッド上の裕子を見て、状況を理解した。

「・・・・そっか・・」


変な体勢で寝てしまった事や、魔法少女装束を維持したまま。

更には、自宅の魔力製人形も遠隔自動操縦を維持したままだ。


目を閉じ・・。

「・・・・・ん、だいじょうぶ」

目を閉じ集中したアーカーシャ・リリィは、自宅の魔力人形との魔力の繋がりを感じ取り安心した。

消えてしまったりはしていない。


まだ眠気のキツく残る身体を引きずり、フラフラと歩くアーカーシャ・リリィは、裕子の部屋のドアノブを静かに回す。


静かに出て行き、急いで帰宅し、魔力人形と入れ代わり、学校に行かないとならない。

裕子のスマホから鳴り響くアラームを消す際に時間は見た。

まだ間に合うハズだった。


目をキツくつむり、「辛い一日になりそうだ」と溜め息を吐いた。


アーカーシャ・リリィが部屋から出て行こうとした その時。

「・・・ぁりがとぅ・・」


微かな声が聞こえ、アーカーシャ・リリィが振り向くと。

ベッドの上の裕子が自分の方を向いていた。


「・・昨日言った通り・・3日は寝てなさい」

「・・・ぅん」



何とか帰宅したアーカーシャ・リリィだったが、激しい魔力喪失により、結局学校を休んだ。



少し強めの言葉を残し、フラフラと帰って行ったアーカーシャ・リリィとニャニャン。

その背中を見送った裕子は、自分の右手を左手で包むように握り締めてから胸元に寄せた。


アーカーシャ・リリィが一晩中傍に居てくれたのは気付いていた。

アラームが鳴る2時間くらい前に、ふと目が覚めた際に見たのだ。


ベッドに寄りかかる様にして眠るアーカーシャ・リリィの姿を。

そして、右手を握っていてくれたのを。


「・・・ぐすっ・・」

目からはポロポロと涙が零れたが、口元は緩んでいた。


「・・カッコよかったなぁ・・・」

涙声の呟きが洩れた。


■Re:Title call■


#5『私・・ここまでなのかな・・違う・・ココからなんだ・・!』



■■ED:『希望の一歩』歌:宇津馬(うづめ) 裕子(ゆうこ)■■


■■■■■This program is brought to you by the following sponsors.■■■■■


裕子「ね、アーシャちゃん♪」

アーカーシャ・リリィ(以下、アーシャ)「・・なに」

裕子「どうしてアーシャちゃんは女の子なの?」

アーシャ「いきなり何?」

裕子「だって、カッコよ過ぎなんだもん・・!男の子だったらさ、間違いなく好きになってるよ♪」

アーシャ「お生憎さまね?」

裕子「でも、女の子でも好きになっちゃいそう・・♪」

アーシャ「・・・ぇ」

裕子「次回、第6話♪『私を認めて・・!裕子の奮闘!』です♪」

ニャニャン「次回からは怒涛の百合展開に突入だぞ!?」

アーシャ「いや、無いから!有り得ないから!ぇ、無いでしょ!?無いって言って!?」

裕子「アーシャちゃん・・♪」

アーシャ「ちょっ・・!待っ・・!?」

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