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#1『ビックリ!戦いに巻き込まれちゃった!?』Aパート

少し変則的な話数構成になります。

きっと、世界は私がキライなんだ。


世界には、面白いコトなんて無い。楽しいコトも無い。

私は、世界に嫌われてるんだ。


私だって、そんな世界はキライだ。


私が何かしたって、何も返って来ない。

何か望んだって、叶いっこない。


でも、私は知ってる。

たまに、稀に、時々、忘れた頃に、何かを返してもらえるコトがあるって。

10個、何かして、1個、何か返してもらえるかもしれない。

なら、10個返して欲しいのなら、100個、何かすれば良い。


返してもらえなかったコトは、忘れてしまえば良い。

返してもらえたコトだけ覚えておけば良い。

イヤなコトなんか、次から次にやって来るんだから、過ぎたら忘れてしまえば良い。


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「・・・ふぅ・・」

あと何時間か したら真っ暗になる。今日も良い天気で終わってくれて良かった。雨だと、何か落ち込んだ気分になっちゃうし。


手に下げたコンビニの買い物袋には、カレーライスのお弁当とコーヒー牛乳のパックとプリンが入っている。

あのコンビニのお弁当は、もう全種類食べてしまった。

新しい種類が出るのを待つのは楽しみかもしれない。



「ただいまー・・」


返事なんて帰って来ない。うん、分かってた。

今日も、お母さんもお父さんも、仕事で居ない。

部屋にランドセルを置き、リビングに向かう。


リビングのテーブルの上には、いつも通り、お金と簡単な手紙が置いてあった。

『裕子へ。

今日も仕事で遅くなります。

作る時間が無かったので、お金を置いておきます。

好きな物を買って食べてね。

あ、でも、甘いものばかりじゃダメよ?

お母さん、太っちょさんになった裕子は見たくないなー♪


暗くなったら危ないから、戸締まりして、早めに寝るのよ。

大好きよ、裕子。


お母さんより』


・・・・。

ゴミ箱に破り捨てた手紙の上に、カレーライスのお弁当の、ルーの上のフィルムを捨てた。


うん、カレーライス美味しいなー・・!





イラッとして、早く食べすぎたかもしれない。もう少しゆっくり食べれば良かった・・。

まだ暗くなったばかりだし・・気分転換に出掛けようと思う。


・・少し遠くに散歩してみようかな。

お金なら有るし。

毎日毎日、毎日毎日毎日、お母さんが置いてくお金は使い切れない。

余ったら返して、と言われたコトはないから、余った分は勝手に お小遣いにしている。

ベッド下の収納ケースの中、服が仕舞ってあるケースの奥に隠してある貯金箱を出して開けた。

けっこう貯まってきたと思う。十万円くらいは有ると思う。でも、千円札を十枚くらい掴んだ。

いまは、何か、使ってしまいたい気分だ。

使わなくっても良い。捨ててしまおうか。

・・・・もったいないから止めよう。

お母さんにイラついてても、お金にあたるのは何か違う気がした。




胸の中がグシャグシャのまま出て来て、気の向いた方向に歩き続けた。

「こっちには行ったこと無い」と思う方向に歩き続けた。

何度も曲がり角を曲がったし、何度も横断歩道を渡った。

初めて見る店の前も、何度も通り過ぎた。


ふと立ち止まり、周りを見てみる。

一度も来たコトが無い場所まで来れた・・かな。うん、間違いないと思う。

電柱に書いてある住所は、たぶん、隣か、その隣くらいの学区だと思う。


けっこう前に、スマホで何となく地図を見てた時に見た気がする住所だし。

スカートのポケットからスマホを出して、住所を調べてみた。


やっぱり、2つ隣の学区だった。


・・・・。

もう帰ろっかな・・。

少し寒いし。


・・・。


・・。


・・・?


少し前から、誰かついて来てる気がする。

足音が聞こえるのに、私が止まると聞こえなくなる。

振り返って見ても、夜道には誰も居ない。

また歩き出すと、後ろの方から足音が聞こえる。


・・・痴漢・・?


・・やだ。


怖い・・・逃げないと・・!


でも、どこに逃げれば良いか分かんない・・!

知らない学区だし、交番の場所も、近くの学校も、全然分かんない・・!


・・!

コンビニ!

前の方にコンビニが見えた!

あそこに逃げこめば、きっと大丈夫・・!


タンタンタンッ♪タンタンタンッ♪タンタンタンタンタンッ♪

「ぃらっしゃーせー」

「すいません、トイレ借りて良いですか・・!」

「どーぞー。奥にありますー」

「ありがとうございます」


トイレのある所のドアを開けて、中に入りカギをかけた。

トイレの個室の前のドアの窓から店内を見ていると、少しして中年のオジサンが入って来た。

店内をキョロキョロと見ている。

多分、あのオジサンが後ろからついて来てた人だ。

暗くて怖い目だ。

あの人にヒドイ目に遭わされていたかもしれない。

震えてしまう。


店内を周って、怖い目のオジサンはコンビニから出て行った。



安心して腰が抜けた。

ドアにすがり付く様に座り込んでしまった。


心臓がバクバク鳴っている。耳の内側に心臓があるんじゃないかというくらい、耳にも心臓の音が響く。

気付けば震えていた。


コンコンッ

!!


・・・ぅそ・・。

「だいじょーぶっスかー?」


・・・・良かった・・。

レジに居たお姉さんだ。

「・・・はい・・」

かすれた声しか出なかった。


「もしかして、さっきのオッサンから逃げてんの?」

・・・。

一瞬、誰かと思った。

さっきまでと全然、話し方が違う。

「・・そうです。歩いてたら・・ずっと・・後ろを・・」

「・・・警察、呼ぶ?」

・・・。

「・・大丈夫です」

「ホント?」

「・・ぅん」


きっと。そんなことになったら、お母さんかお父さんが迷惑する。

・・ホントは呼んで欲しい・・。でも言えない・・。

「すみません・・少ししたら帰ります・・」

「・・・ん。ちょっと待ってて?」

・・?

レジのお姉さんの足音が遠ざかっていく。

待っててって何だろう・・?



もう大丈夫かな・・。

何分くらいトイレ前に居たか分からない。

でも、心臓のバクバクは収まったかな・・。

ドアのカギを開けて出ると、ドアの近くに人が居てビクッとした。


さっきの怖い目のオジサンかと思ったけど、違った。

女子高生のお姉さんが壁に寄りかかっていた。

顔を見ると、レジに居たお姉さんだ。

「だいじょーぶ?さ、帰ろっ。つーか、汗ヤバいね」

お姉さんがハンカチで おでこを拭いてくれた。

「よし、こんなモンっしょ・・♪」

「・・ぁりがとぅ・・」

「んーん♪」

お姉さんがワシャワシャと頭を撫でてくれた。

「さ、行こっか♪」

「ぇ」

女子高生のお姉さんに手を引かれる。

「ぁ、あのっ」

「?」

「おしごとは良いんですかっ」

「あー・・だいじょーぶ だいじょーぶっ。バイトあがりの時間だし?」

「・・そーなんですか・・?」

ホントかな・・。

レジの方を見ると、ガッシリした感じの おじいさんが居た。

「じゃ、お疲れっしたー」

「おう。ちゃんと送ってけよ」

「もち」


女子高生のお姉さんに手を引かれてコンビニから出ると、お姉さんは自転車が並んでる場所に歩いて行く。

「どこ住んでんの?」

自転車に乗ったお姉さんが、自転車の後ろをパシパシとする。

多分、乗ってってコトだと思う。


「・・・ぇと・・(みずの)()の近くです・・」

「送るよ?家までさ」

「・・ぃぇ。そうすると、今度はお姉さんが危ないですし・・」

「んー・・あんま気にしなくって だいじょぶよ?」

「・・ありがとうございます・・でも・・」

「ん、わーった。瑞ノ瀬までね」

「・・・すみません・・」

「気にしない気にしない〜♪」


自転車の後ろに乗り、抱きついたお姉さんは温かかった。

さっきまでの寒気が、ウソみたく消えていく・・。


■■■■■to B PART■■■■■

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