↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
メシウマ娘  作者: おでん信用金庫
Episode1 新聞部に入ろう!
PR
6/7

#6 RAPIDLY GO HOME MAN

前回までのあらすじ


そっとスタンガン



ヨド「えっ、新聞部がおしまいって、どういうことですか?」


アヤミ「あら、聞かれてましたか。わりと小さくつぶやいたつもりだったんですけれど・・・耳いいんですね、文吉(ぶんきち)さん」


ヨド「いや~それほどでも・・・ってそんなことはどうでもよくて!何で俺が新聞部に入らないだけでおしまいなんですか!」


アヤミ「それは・・・部員の人数が規定に満たないからです」


ヨド「え?」


アヤミ「去年まで部員の規定人数は3人だったんだけど、最近この高校に部活が増えてきてね。管理が大変だっていう理由で、部活数削減の意味を込めて規定が4人になったの。今年度からね」


ヨド「は、はぁ」


アヤミ「だから3人しか部員のいない新聞部は、これで廃部。今週中に4人に満たないと、文字通りおしまいなの」


ヨド「いや、おかしいでしょ!あと1人部員が欲しいんなら、誰かしら勧誘すればいいじゃないですか!俺じゃなくても!」


アヤミ「ゆずちゃんも言ってなかった?部長はあくまであなたに固執しているの。あなた以外は入れるつもりはないんだって」


ヨド「・・・俺が入部しないなら、新聞部はなくなってもいいと?」


アヤミ「そう、部長って妙にこだわりが強くて、とくに自分の直感に自信があるみたいなの。あなたに興味を抱いたから、もうあなた以外を入れるつもりはなくなってしまったみたい。『淀緑(よどみ)が入部しないなら新聞部は廃部!』ですって、変なこだわりでしょ?」


ヨド「分からない、なんでそんな発想に陥(おちい)るんだろう・・・」


アヤミ「部長にとって新聞部というのは、他人の不幸を見つけて優越感に浸るための部活。いわば、部長のことを満足させるために作られた部活ね」


アヤミ「でも、最近はあんまり他人の不幸も起きなくて、退屈な日々が続いていたの。そんな時、あなたが現れた。メシウマを呼び寄せてくれそうな逸材を見つけて、どうしても入部させようと心躍る気持ち、ちょっとは分からない?」


ヨド「微塵(みじん)も分からないですね」


アヤミ「だよね~、ふふっ」


ヨド「・・・」


アヤミ「ね、おかしいでしょ?でも、そんな新聞部が好きなんだ~私」


ヨド「やめてください、胸が痛くなるじゃないですか」


アヤミ「ん~、心臓病?」


ヨド「そういうことじゃないです!罪悪感でですよ!」


アヤミ「なるほど~、どうして罪悪感を感じるの?」


ヨド「だって、アヤミ先輩は新聞部にいて楽しいんですよね。俺が入らないせいで新聞部が廃部になって・・・まるで先輩の居場所を奪うような気がして、申し訳ないんですよ」


アヤミ「なんだ~そんなことか~」


アヤミ「そんなこと気にしなくていいんだよ~、無理矢理勧誘しようとわがまま言ってるのはこっちなんだから~」


ヨド「でも・・・!」


ゆず「うぅっ、千歳(ちとせ)ちゃん・・・」


ヨド「!」


アヤミ「あら、寝言かしら?ゆずちゃん」


ゆず「やだよぉ千歳ちゃん・・・アタシを置いていかないでよぉ・・・」


ヨド「!」


アヤミ「まぁまぁ、部長がどこかに行ってしまう夢でも見ているんですかね?」


ゆず「アタシが悪かったから・・・お願い、許してよ、千歳ちゃん・・・!」


アヤミ「は~いよしよし、大丈夫ですよ~ゆずちゃん。部長は怒ってなんかいませんから~」


ヨド「・・・」




ゆず<アンタが入部してくれないと、千歳ちゃんが悲しむから・・・それじゃあ千歳ちゃんを幸せにしてあげられないから・・・!>



アヤミ<変わってるでしょう?でも、私はそんなゆずちゃんたちを見るのが楽しいんですよ~>



アヤミ<・・・これで、新聞部もおしまいだね、ゆずちゃん>



ゆず<やだよぉ千歳ちゃん・・・アタシを置いていかないでよぉ・・・>




ヨド「・・・ますよ」


アヤミ「へっ?文吉くん、いま何か言った?」


ヨド「入りますよ」


アヤミ「えっ、何に?」


ヨド「っ、新聞部ですよ!新聞部!!」


アヤミ「えっ!?どうして急に?」


ヨド「だって・・・ずるいんですもん、皆さん」


アヤミ「ずるいって、何が・・・って文吉くん、なんで泣いてるの?」


ヨド「うっ・・・な、泣いてませんよ!!」


アヤミ「でも、その頬を伝ってるのは・・・」


ヨド「こっ、これは・・・サンテ40ですよ!!」


アヤミ「はて、どうして目から目薬が・・・逆流?」


ヨド「もういいじゃないですか!とにかく俺入りますから、新聞部!」


アヤミ「そ、そう・・・でもよかったわ!これで部長もゆずちゃんも喜ぶわ!これからよろしくね、文吉くん!」


ヨド(・・・)


ヨド「はい、よろしくお願いします・・・」




こうして俺は、新聞部に入ることになった。決して積極的な入部ではなかった。むしろ入部なんてしたくなかった。


でも、ゆず先輩の涙と、アヤミ先輩の寂しそうな顔を見ていたら、入部せずにはいられなかった。人助けといえばそれまでだ。


人助けをして感謝されたいとか、達成感を得たいとか、そういう感情はない。ただ、俺のせいで誰かを不幸にするのは、も(・)う(・)ゴメンだったのかもしれない




だが、結論から言おう。俺は新聞部に入るべきではなかった。




Episode1「新聞部に入ろう!」


終

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。