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7話 戦況と今後の方針

 リネットと出会ってから3日後、俺たちは休養と今後の方針を練るために、戦った場所からほど近い城に居る。



「まず現状の確認と、各地での戦況を説明します」



「目下の目標としては旧王国の王都奪還 が第一です」




 リネットはそう言いながら地図を広げ、説明を始めた。



「王都周辺の城や砦を落としつつ、補給線を確保します。 そして王都を孤立させたうえでの奪還を目指します」



「現在、私たちが居る城は地図で言うとこのあたり、一番下の中央です」




 リネットは地図を指さしながら説明する。今いるこの場所がリネットら王国軍の本拠地なのだという。





「私たちが居ない間、普段この地のを守っているのが王国軍の騎士団長です。 彼は今、補給線を確保するために近くの砦の攻略に出ています」




「そして地図で言うと右上のあたり、北に置いては魔導師団長が各地に散らばった魔導士達に共に戦うよう説得をしています」 




 この魔導師団長 マルジン・アグリッパは人格に優れ、当代最強とも名高い。 なにより、彼女の最大の功績は帝国によって徹底的に破壊された魔法の大半を一代で復活させた事にある。



「あ、質問だけど。 強い魔法で攻撃したり、飛んだりできないの? それやれば城とかすぐ壊せるんじゃ」



「ええ、あなたがこの世界に来るのが今よりも早ければきっとそれも出来たと思います」



 しかし、今の帝国を相手にそれは無理だとリネットは語る。




 人間の魔法が弱体化・停滞してる間に帝国軍の使用する黒魔術の技術も格段に進歩しており、全ての城や砦には対魔法のアンチバリアが埋め込まれているという。つまり、城や砦には一切の魔法攻撃が通用しないのだという。 ただし、素材が貴重なために各個人が持つには至らず各地の城などに配備されるに留まっているのが幸いだ。




「そして魔法が弱体化した一番の原因と言えるのが、魔導士に対する追討令と魔導書の焚書です」



 帝国が建国された初期には魔法に関する多くの書物は焼かれ、厳しい統制の中で魔法の使用を禁じられた。

 更には魔導士を厳しく弾圧し、魔法を使える環境ではない為に年月を経るにつれ多くの魔法の知識と技術のが失われるに至ったのだ」



「今もなお魔導士には懸賞金が賭けられており、僅かに生き延びた魔導士達も隠れて暮らすしかないのです」



 故にそうした状況の中で秘密裏に各地に散らばっている魔導士を探し出し、勧誘するのが魔導師団長の任務だという。



「そしてここから北西の砦にお父様……アデルベルト国王陛下が幽閉されています」



「あの……何で敵は王様を殺さずに幽閉してるの?」



「ええ……簡単に言うなら人質の役割ですね」



 敢えて殺さず、いざという時に交渉のキーとして使うのだろうか……




「迂闊には手を出せませんが、国王の奪還も必ず成功させなければなりません」



 ――こうして見ると、改めて帝国の圧倒的な国力を窺い知ることが出来る。

 確かに俺はチート能力を得たようで、正直負ける気はしなかった。 だが、実際には俺が来たことでようやく同じ土俵に上がっただけに過ぎないのかもしれない。 

 単純に考えても敵には魔王と統監を合わせると、チート級が八人は居ることになる。しかも城には魔法が効かないとなると、普通に攻城戦とかしなければいけないのかもしれない。





「要点をまとめると二つ。 第一に国王の救出、第二に王都の奪還。 それを然る後に味方と合流して行う。 これが現在の最優先事項です」



 そう話し終えると、急にリネットが畏まる。



「零弥さん、改めてお願いします。 どうか私たちに力をお貸しください。 代わりといってはアレですが……私たちもあなたが元の世界に帰れるよう、手がかりを探してみます」




「いや、俺が望んだからここに居るんだから気にする必要はないよ。 それにむしろ、一人でこの世界に放り出されて心細かった俺を、仲間と呼んでくれてありがとう。 こちらこそ、これからよろしく!」



「はい! よろしくお願いします!!」




「っ様。 姫様~!」



 すると突然声が聞こえる。 どうやら、この前も伝令をしていた少年騎士の声みたいだ。 



「申し上げます。 周辺の城や街道、村などを見て回りましたがまだ大きな動きは見られません。

 どうやらまだ中央、帝都には我らの行動は伝わっては無いようです」



「そうですか……どうもありがとう、カイト」



「いえ、滅相も無いことです!」



 どうやらこの騎士はカイトと言うらしい。



「っ…………!」



 何故だかカイトは俺の方と見ると、少し機嫌を悪くしたようだ。




「あの、零弥さん。 敵にまだ動きが無いようですし、少し息抜きに出かけてみたらどうですか?」




 リネットは突然、俺の手を取りながらそう言った。











































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