第三話 ランクアップ
ギルドへやってきたレアスは早速薬草取集のクエストの紙を手にとり申請する。
ギルド職員の方は、珍しい冒険者だって喜んでくれたしこれからも受けやすくなるだろう。実際、手間と報酬が釣り合っていない点から多くの駆け出しはパーティーを組んで魔物狩りに出ることが多い。でも、駆け出しってこともあってけがをして帰ってきて治療を受けるものだからギルド保有の薬草が底をつきそうで、問題になっていたみたい。
馬車で1時間離れた森へとやってきた。この森は、魔物が少なく狩りには向いていないがその分薬草を食べられることが減るので薬草とりには打って付け場所だという。
確かに、薬草となる蜜の葉が多く生えている。これは、蜜の葉の中でも買い取り額が高く、治療効果も段違いのロイヤルセリも取れるかもしれない。この二つは一見見分けがつかないが、鑑定スキルを持つ鑑定士なら見分けがつくそうだ。まあ、そんな高等スキルなんてないからひたすら薬草をかき集める。入れ物としてはなぜか昔から使えた魔法収納を使う。魔法収納は猪が数頭はいるくらいには容量があるから、この平原一帯を取りつくしたんじゃないかと思うまで取りつくした。ちなみに採取方法としては、まず根本付近をウインドカッターで一面薙ぎ払い、今度は血抜きなんかにも使っていたバキュームという風を左回転で回し吸引するというものだ。わかりやすく言うと扇風機の逆バージョンだ。そんなことを繰り返しているうちに夕日が見える時間になり急いで町へ帰ることにする。なんで急ぐかというと夜の道は魔獣だけじゃなくて追いはぎをするアンダーグラウンドの冒険者による殺人事件が絶えないからである。
薬草とりの納期は基本的に2日間あるから夜まで採取して帰っては翌日に大量に納品と売却をするという生活を3か月ほど続けた。回復薬は1年分くらいは作ることもでき溜まったお金で魔法の威力を伸ばす魔球のアクセサリーや新しい魔法を覚えるための魔導書を買って複合魔法を使えるようになるまで成長することができた。今なら、狩猟と丸焼きを同時にできるくらいの実力がついたころギルドで
「回復薬納品、納期3時間」
という変わったクエストを見つけた。どうやら町の領主の娘が病気になったらしくギルドへ依頼が来たという事らしい。ちょうど自分は、回復薬を大量に持っている。しかもすべてロイヤルセリで作った高級品だ。そのクエストの依頼書と回復薬をもって即納品したところで、クリアしたクエストの数が90を超えたことから自動的にDランクにランクアップすることになった。
Dランクからは狩猟がメインとなる。
薬草とりなどの比較的安全なクエストは後輩冒険者に譲って、危険も伴う動物の狩猟がメインとなるのだ。
普通の冒険者なら初めての狩猟ということもあり、死と隣り合わせの狩猟クエストに不安を抱くものも少なくはないのだが、
「よっしゃー!毎日ステーキ生活だ!!」
と喜ぶレアスの姿とドン引きする職員の姿がそこにはあった…。