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黒兎  作者: 荒紗 なお
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兄の悩み

次に目が覚めたのはまた自室だった。外は相変わらず真っ暗で、着替えたはずのしわくちゃになった制服を着ていた。少し不信感を抱きつつもさっきのは夢だったんだ。と自分に言い聞かせる。

「でも…夢にしてはリアルだったなぁ…」

その時自室のドアが目一杯開かれた。

(りゅう)!ご飯できたよ!…ってなんでそんなビビってんの?」

いきなりドアが目一杯にあかれたら驚くにきまってるだろ。その上、あんな夢見てしまってビビりが更にビビりになってるんだぞ。と、心の中でツッコンでおく。

「い、いや、なんでもないよ。着替えてすぐ行く。」

「了解〜」と笑われて行ってしまった。しかし、姉、兎馬(とば) 生巳(いくみ)の呑気さもあってさっきよりかは安堵できたと思う。さっさと着替えて夕飯でも食べよう。そして夢なんて忘れてしまえばいいのだ。


着替えてリビングに足を運んだ。そしたら夢の中で散々探したのに見つからなかった猫之助が兄の脱ぎ捨てた服の中でくつろいでいた。この野郎、夢の中で驚かせやがって…後でモフモフの刑だからな。

テーブルにつくと兄、兎馬 優午(ゆうご)がスマートフォン片手に深いため息をついていた。

「どうしたの。深い溜息なんかついちゃって」

「おぉ、弟よ…聞いてくれるかい?実はな…」

「ハイハイ、スマホとお喋りは後でもできるから!夕飯の準備手伝ってくださいな男共よ。特に龍!明日から夏休みなんだから母さんを手伝ってあげてよね!」

と、生巳の割り込みがあったので「後でちゃんと聞いてくれよ〜」と優午と約束をし夕飯の準備を手伝うことにした。


夕飯とモフモフの刑を終え優午と共に自室に戻ってきた。

「それで?悩みはなんですか兄様?」

「それがさ〜?…」

優午の話を要約すると、会社の先輩から「お前に似た女の人が歩いていた。」と言われたらしい。

「…?それ姉さんじゃなくて?」

優午と生巳は一卵性双生児だ。幼い頃、2人は着せ替えごっこをして周りの人を混乱させたことがある。だから2人に初めて会う人は優午と生巳を間違える、と俺の中では常識だった。

「俺もそう思ったんだけど、先輩に日付を聞いたらその日は俺らでカラオケ行った日だったからさ…。写真も見せてもらったけどその日の服装とも違ってたし…。あとちょっと痴女感あった。ほらみて!生巳はこんな格好絶対しないもんね!!」

と、少し気持ち悪い兄のスマートフォンの写真を見せてもらった。確かに生巳そっくりだった。しかし、優午の言う通り背中が大きく空いた服に短パンの生巳の格好なんか見たことない。

「それでね〜先輩にその事を話したら「ドッペルゲンガー」なんじゃね?って言われてさ。まさかそんな〜って思うけど、ちょっと不安になっちゃってね…」

ドッペルゲンガー。自分もあまり知らないが顔が同じ人同士で出会ってしまうと死んでしまうとかかんとか。正直都市伝説としか思っていなかったが、こうも身内が関わるとやっぱり不安になってしまう。色々話を聞いていると、時計の針は11時をさしていた。優午が「明日も朝早いから寝るよ。話聞いてくれてありがとね」と部屋を出ていった。自分も夕飯前まで寝てたのに睡魔が来たので寝るとしよう。風呂は…どうせ明日から用事がないから朝風呂でもいいだろう。とにかく睡魔が来たので寝たい。そう布団の中に入り目を閉じた。

そして、また夢を見る。

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