夢
深い眠りについていた。起きたら外は真っ暗で自室で制服のまま寝てしまった。少ししわくちゃになってしまったワイシャツを直しながら部屋着に着替えていると、リビングの方から音がした。
「…母さん?」
ドアを開けて声をかけても反応がない。
「…母さん!」
少し大きな声を出したがそれでも反応がなかった。母はまだ仕事で、飼い猫が暴れたのかもしれない。蒸し暑さでバテぬよう水を飲むついでに猫が暴れた残骸を片付けに行こうと自室を出た。リビングのドアの前に立った時、また物音がした。あの猫之助は何をそんなに暴れてるんだか…。
「おーい、猫之助なんでそんなに暴れてるん…………ん!?」
部屋に入った瞬間、一気に寒気がきた。誰もが感じたことはある何か嫌な予感の時の寒気だった。変な緊張が自分自身の中で走っていた。
「猫之助…?どこいった?出てこいよ〜」
この緊張から逃れたいがために少しビビりながらも猫を探した。猫が行くところは大体把握してた。カーテンやテレビの裏、椅子の上、兄と姉が脱ぎ捨てた服の中、結構探したつもりだがなかなか見つからなかった。段々と緊張が恐怖となっていく。恐怖で忘れていたが、物音がした事を思い出した。リビングにこれと言って変化はなかったからきっとキッチンだろうと思い、キッチンに足を運んでみた。すると1つだけ収納箱が少しだけ開いてる。その収納箱は猫のエサがいつも入っている所だ。なるほど。物音はこれか、と謎の確信を持ってその収納箱にちかづいた。
「猫之助〜…お前そんな器用なことできたんだな」
と、少し空いた収納箱を開けた。しかし、そこには自分が想像してたのと全く違うものがあった。
「…?な、なんだこれ……手袋?」
真っ黒な手袋だった。触れてみたら微かに温もりがある。うちにこんな手袋持ってる奴いたか…?
「つか…さっきまで誰か付けてたのか…?というか今家に誰かいたっ…!?」
いきなり後ろから猫の威嚇声が聞こえ慌てた後ろを振り向くと、そこに黒兎の仮面を被り真っ黒なコートを着た小柄な奴がいた。
「な…!?だっ…………」
誰だ。という前に頭に鈍い音が響き渡り俺は深い眠りに入ってしまった。
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