Vもぎ
私は、それほど頭がいい方でもない。
私は、九月から、Vもぎという東京では定番の模擬を一か月に一回受けていた。
判定は、いい方から、S、A、B、C、D、E、と六つの段階がある。
今まで、α高校の判定は、ずっとDだった。
もっと言うと、さらにレベルの高い高校は、ずっとEだった。
十二月は、一週間に一回受けた。
そうすると、一週間ごとに、判定が上がっていたのだ。
合格には遠いが、C判定まで上ることができた。
B判定になれば、合格ラインには達していることにはなる。
まだまだ!と思い、また必死で始めようとした。
しかし、そこで、親からの提案があった。
「あい、もしα高校のの合格ラインに達しなかったらどうする?」
「う~ん、どうしようかなあ」
「もし下げるってなったときに他の高校も見ておかないとちょっと怖くない?」
「う~ん。まあそうだねえ」
「そこでなんだけど、β高校ってどう?」
「β高校?どこそれ?」
「P市にあるんだけど・・・」
「え、でも、もう学校説明会とかないんじゃない?」
「それが、あと一回だけあったの。来週の土曜日なんだけど」
「やっぱり見といたほうがいいよねー。とりあえず、申し込んでみて。行ってみたい」
「そうだよね。わかった。申し込んでおくよ」
考えてみれば、これはものすごく重要なことだった。
今では、見学に行かせてくれたことを心から感謝している。
その学校は、私にとって合っている、いい学校だと感じた。
けれど、私はまだα高校をあきらめなかった。