都立直前
徐々に過去過去問も終わっていき、都立入試が近づいてくる。
都立まであと十日を切っている。
そして、二月十六日。
土曜日だったので、昼から塾へ行く。
塾の中は、いつも通りピリピリしている。
授業が終わると、すぐに帰る。
帰ってご飯を食べた後、親が嬉しそうな顔をしていた。
「あい、いいものあるんだけど」
「何?」
「デザート」
「何だろう・・・」
ワクワクして待っていた。
出てきたのは、ショートケーキだった。
「どうしたの?これ」
「どうしたって、今日はあいの誕生日でしょ!」
「えっあああああ!」
驚きで叫んでしまった。
そうだった!今日、私の誕生日じゃん!
なんで忘れるんだよ!
まあいそがしかったからねえ。
二月十六日、私の誕生日は、そんなんだった。
それから四日、学校から帰ってくると即塾に行き、自分の過去問を解き、その直後で、授業で過去問を解き、心が乱れ・・・の生活の繰り返しだった。
入試二日前の二月二十日、第二次壮行会を行った。
私立前の壮行会よりももっと面白くて、この一年で一番笑ったかもしれない。
手紙もくれた。その表紙には、「二月二十二日の朝に読んでください」と書いてあった。
二月二十一日、入試前日の自習は、穏やかだった。
友達としゃべりながら・・・もちろん、しゃべったらいけないけれど、友達ともすっかり仲良くなっているのを実感した。
私はずっと、理科をやっていた。
明日は父が一緒に行ってくれるらしい。
「今日は早く寝なさい。明日早いんだから」
「わかった」
そして夕食は、野菜が多く、おなかに優しいものだった。
「ありがとう。いただきます」
おなかも空いていたので、すぐに食べきっちゃった。
今日もデザートがあるらしかった。
母が出してきたのは、今度はシュークリームだった。
「これ、yデパートのケーキ屋さんで買ってきたの」
「へえー」
「そしたらいろいろ奇跡が起こってね・・・」
「うん」
「まず、これ予約してたんだけど、予約の票も何も書かなくて、誰も予約を知らなかったの。それで奥からおばちゃんが出てきて、その人は予約を知ってたの。それで、受験ですか?って訊かれてそうですって答えたら、私の姪も受験なのーってな感じで会話が弾んで、その人は、うちの姪は、R線沿いのP市にあるとか言ってたな・・・って言って、それってβ高校ですか?って訊いたら、そんな感じの名前だったって言ってたの。だから明日会うかもよ」
「ええー!ほんと!?すごい奇跡だね」
「そう、だからβに縁があるかもよ。」
「本当だね。明日頑張ってくるよ!」
こうして、なかなか寝付けなかったが、戦闘前に休息を十分得て、明日に備えた。




