高校にて
昼下がり
窓の外、校庭では女子の体育の準備が行われている。
「何みてんだよ」
机がガタリとなる
僕の肩をどつき、だるく絡んでくるやつなんて限られている。幼なじみのアイツ。
「ガムこそ、お前の彼女のクラスでしょあれ」
俺が見ていたことを否定せずにするりと話題を相手に振る。得意技だ。人の話は聞くことは好きだ。疲れないし
「フッよく見ているじゃあないか!
無理もない。カナにはあふれでる魅力があるからね。」
ガムはカナと付き合いはじめて2週間か
「ハイハイ、よくノロケていらっしゃいますね」
二人の関係は正直どうでもいい。僕が見ていたい人はカナなんかじゃなくて、校庭の隅で一人ボールを拾っている娘だ。
ロングの髪、大きい瞳、整っているがアンニュイな顔。
美しい。
彼女とあの悪魔女と同じ名前とはこの時は気付かないフリをした
「なあハブ、ギアラさんに聞いたんだけど、総当たり戦出るんだって?」
ガムが聞いてくる。ガムもこのゲーム「サバイバルマッチ」のプレイヤーだ。もっといえば総当たり戦の常連、俺より強い。
ガムは現実でもマッチでもイケメンだ。使用キャラは剣士だ。剣士は普通攻撃はまあまあ高いがその他の攻撃、特殊技などはめっぽう弱く、初心者の子供には人気があるが、生き残っていくには不可能なキャラだとされてきた。しかしガムは練習を重ね、異常なHP と個人特殊技を手に入れて、「剣士界最強」という称号を与えられている。
ちなみに俺の自慢をすると「死神界のホープ」という称号もらってて、死神キャラで3番目。まあ死神自体使っている人少ないからキャラランキング入るのは一応簡単かな。
「そうなんだよ、はじめて。」
「それならある程度までは一緒に行動するか」
総当たり戦とは30名のプレイヤーが迷路のようなフィールドに入り戦い合う。制限時間は1時間で、生き残った人たちで報酬を分配。より多く殺ればもらえる報酬も増える。隠れていても良いんだけど一人は殺らなきゃいけない決まりだから皆しないかな。
「そう言えば、今日もカナちゃんと帰るの?」
聞いて見る。
「そだよ。悪いな、他の奴と帰ってくれ。それともなんかあんの?」
「そうなんだよ、ちょっとカナちゃんのクラスに用があるから。でも一人で帰るよ、それよりも、今日の総当たり、頼むぜ相棒!」
「あいよ、任せろ」
チャイムがなる。昼休みの終わりだ。
──放課後──
さっきガムに言っていた用とはつまり水上さやに会ってそれとなく本人かどうか、あわよくば何か情報を探れないかと思ったのだ。
もうほとんどの人が下校して行った。しかし、昇降口にくる水上さやの姿を見ていない。仕方無い、クラスに上がってみることにした。
目当てのクラス、1ーCに着いた。どうやら人の気配。いるのか。
ガラガラとドアを開ける。教室には窓際にロングの髪の女子が一人、西日を浴びて、本を読んで佇んでいた。