小さな2人の約束
「シオン!!シオンどこ!!」
「お、お嬢様!!あのアイリスお嬢様が走っていらっしゃるわ!!あぁ、可愛らしい」
え、なに!!聞こえてるわよ!!走っちゃいけないの??可愛いってなに?レズ?レズなのあなた!!って、それよりもシオン!!
お父様の許しを得てわたしは今、嬉しくて猛ダッシュで屋敷中を走りまわりシオンを探しています。
どうして?この事実を早く伝えたいから、とにかく嬉しいから。
ドンッ
「……わっ!!」
どうやらきちんと前を見ていなくて、角を曲がったところ誰かにぶつかったみたいです。
「ご、ごめんなさ……って、シオン、こんなところにいたのね!」
「え?アイリスお嬢様……??なぜそんなに慌てて……と、とりあえず落ち着き下さい」
目を見開き驚きながら少し慌てたシオン。
「ぁ……ご、ごめんなさいね……私としたことが、取り乱して………ふぅ、シオン、話があるわ」
そう、キャラを崩してはだめよね。
深呼吸をして言う私を見て「はい」とだけ答えて私の目を見るシオン。すこし、少しだけ…ドキッとした自分がいたのは、内緒……
「あなたには、迷惑かもしれないけど、私にとっては嬉しいことなので伝えたくて…………お父様に、頼んだの、あなたを私のお付のものでも、義理の姉弟にでもしてくれないかを、それで…………」
そこまで聞いてまた目を見開くシオン
そんなに驚くことかしら?
「そ、それで…なんですか!お嬢様!!」
「えっ?あ、あぁ、それで、了承してくださったわ!!ふふ、驚いたかしら?……ぁ、でも、迷惑だったらごめんなさい。でも、どうしてもあなたをそばに置きたかったの……」
「ッ……??どうして、俺なんかを……」
そういって悲しそうな表情をし押し黙ってしまったシオン。
どうして?どうしてそんな悲しそうな顔…
私はただ……
「まも、りたいと……おもったから…あなたを」
「………ぇ?」
「そ、それ以外の理由なんて…あるとしてもあなたを信じたいと思った……それだけよ……?」
「…俺なんかを………。お嬢様、俺は……本来ならあなた様のそばにいるなんて……許されない、ましてや、出会うことすら…………いいのですか?俺なんかを、お付きの者にしても……本当に、後悔しませんか……?」
「何故私が後悔するの?……しないわよ、自分が望んでシオン、あなたをお付きの者に……従者へとお父様に、お願いしたのだもの……それよりも、私はあなたの意志が聞きたいの…」
「…お、れは……俺は、あなた様の、お嬢様の側に…いたいです」
「そう!なら決まりよ?取り消しなんてないんだから!」
クスッ
「ふふ……わかりました、そうですね…お嬢様!僕が、自分であなた様を手放すなど、有り得ません。」
ふふ…嬉しい、嬉しくて私は指切り幻魔的なことをやった。「2人でめんどくさいことも辛いことも相談しあって行こう」と約束もした、きっと楽しい毎日が待っているわ…♪
この時忘れてました。いや、気づいていませんでした。せっかく折ったであろうフラグがまた、立ちかけているということを……