夜のパーティ~1人目~
ザワザワ ザワザワ
「あら、これはこれはべルーティ公爵…それにアイリスお嬢様も、アイリス様…お初にお目にかかりますわ、噂通りとても綺麗なお嬢様なのですね」
「いえ、こちらこそお初にお目にかかります。とてもお綺麗な方ですね」
一応挨拶はきちんとしておいた。
父と私はパーティに来たお客さんたちに挨拶をして回っている。
人に会えば会うほど父は挨拶と私の紹介をするからさっきから今のような会話ばかりが続いている。父は何やら満足気だが私はそろそろ退屈である。
お綺麗なお嬢様?素敵なお嬢様?…思ってもいないことをベラベラと、それにどうせホントは可愛げのない子供とでも思っているのでしょう?
はぁ、別にどうでもいいのだけれど……。
「アイリス、よかったなぁ?色んな人にきっと認められるさ」
嬉しそうに笑う父。
「そうですね…でもお父様?少々疲れたのでお庭を散歩してきてもいいでしょうか?」
「……?あぁ、そうだな…あまり出席した事がなかったのだから当たり前か……残念だが少し休んできなさい、気をつけるのだよ?」
「はい」
父はまだ挨拶をして回るつもりらしい、流石にめんどくさいので散歩を理由に一旦その場を後にした。
「ふぅ、笑顔を作るのも大変だわ…」
きちんと笑えていたかは分からないが、いつもよりは表情を良くしたつもりだ。
「…はぁ……夜風が気持ちいい…」
私はいま沢山の花が咲いている庭の中心にあるベンチに腰をかけている。
夜風がちょうどよくて気持ちがいい。このままずっとここにい居ようかしら…なんて思うくらい。
でも、せっかくだしちゃんと歩かなければ損よね…お散歩しましょ…。
しばらく歩いているとある花に目がいった紫色のちょっと不思議な形をした花。名前は私と同じアイリス…日本ではアヤメと言う人もいる、アヤメ科の花。そして私の……いいえ、アイリスの名前の由来の花。父と母が賢く信頼があつく、友人などに恵まれる、そんな希望溢れる人間になって欲しいと思ってつけてくれた名前。
そんなことを思い出していると自然に口が綻ぶのが分かった。作り笑顔ではなく本当の笑顔…アイリスは本当の自分ではないのにとても嬉しくて胸が暖かくなる。
「不思議……」
いいわよね。少しくらい幸せを感じても………
ガサガサ
「ッ…!!なに」
突然の音、身を構えた。
そこに現れたのは黒い人影
ガサガサ ガサガサガサ
「こど、も…?……」
私より小さいけれど多分同い年くらいの男の子だった。
え………その少年の姿をきちんと見て私は固まった。
フワッとした柔らかそうな金髪に透きとおるように綺麗なブルーの瞳、透きとおるように白い肌…シオン・カルドナル。紛れもない攻略キャラの1人だった。まさかこんなに早く会うとは思っていなかった。
どうしよう、逃げた方がいいはずなのに何故か足が動かない、怖いのではない夜空に照らされた彼がいることでとても神秘的な風景になっていて目を奪われ動くことが出来ないのだ。
フラフラと私に近づいてきて言葉を発さないシオンが距離がもう30センチもないくらいの距離で止まった
フワッ
「えっ…!?ちょ」
そしてふわりと抱きつかれたと思い焦ったが実際は倒れ込んできたのだ流石に急なことで体に力を入れれず一緒に倒れ込んでしまった。案外痛いわ…。
「ちょっと!あなたね、急になんなの?離れなさいよ…!!」
「………」
「ちょっと…無視なの?ねぇ!………えッ?」
そこでやっとシオンが気絶をしていることに気づいたのだ。
それによく見ればまとっている服はボロボロで、身体には無数の傷跡…。何これは?……とても痛々しく思えた。そして息が荒いので額に手を当てるととても熱かった。
誰か呼ばなきゃ……!ほんとはそのままほっといたほうが身のためかも知れない。でも…
「誰か!!誰か来て…!!だれか!!」
私は必死に叫んだ。助けが来るまで叫んだ。どつしてもほっとくなんて私にはできなかったのだ。




