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令嬢の焦り







「アイリス……と呼び捨てにしてもいいかい?」





「へ?あ、はい、全然大丈夫ですよ?」




庭を紹介していると急に話しかけられたので取り乱しそうになるもののいつもの様に笑顔で返した。





「そうか、ありがとう。僕のこともパンセと呼んでくれないかな?ところで、この花はなんという名前なんだい?」






「あ、はい…えっとじゃあパンセ様で、そのお花はアイリスという名前です。私の名の由来でもあるんですよ?父と母の大好きなお花なんです。」






「へぇ、とても可愛らしい花だね、君の髪と瞳と同じ淡い紫色の花びらに小さいながらも逞しく咲き誇り強い輝きを持つ花だね。でも目を離すと一瞬で消えてしまいそうなほど本当は弱く儚い…そんな、花だね?」







“まるで君のようだね、アイリス?”と最後に付け足すと少しは身近の大人達を頼りなよ?と優しく頭を撫でられる。


そのハニーイエローの透き通ったすべてを見透かしているような、キラキラと真っ直ぐに輝く瞳に吸い込まれそうになるがハッとして慌てて少し距離をとる。





この人は、私にとっては危険な存在だ。話を逸らさなければ、綺麗な瞳に、くわれる。






「……パンセ様はとてもロマンチストな方ですね、噂の通りですわ。よくあなたの噂を聞くんですよ?私とは2歳しか違わないのにとても大人びて紳士な方だと、少しドキッとしました。」





と言っては焦っているのがバレないように笑顔を作るが、笑えてるのかはわからない。



そして笑顔を作りながらもう1度パンセを見るとまたその瞳に捕まった。今度は疑ってるような、私を伺う瞳。そんな目に捕まって目が離せなくなってると今にも息が詰まってしまいそうな気分だ。





「大人びた…か、君ほどではないよアイリス。逆に君は僕よりも年下なのに誰にも言えないような事を一人で抱え込んでいるような雰囲気がある子だね?それに、ドキッとしたのは運命的なもの?それとも……」






「パンセ様!そろそろお茶の準備が出来てるはずだわ!行きませんこと?せっかくメイドが準備してくれたんですもの、待たせてはいけませんわ!さぁ!」





パンセが何かを言おうとしたがなんだか怖くて、ここでバレてしまったらそれこそ危機だと思ったから思いっきり話をずらした。





私はパンセが苦手だ。だから、あまり関わりを持たないようにしなければ。


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