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フィルモントルートか。


「明日奈………チュッ……………好き、…………大好き。……………ピチャ。」


 舐める音とフィルモントの声が脳の奥底に染み込んでくるようだった。翻弄されているとフィルモントの手がシャツのボタンにかかる。


 ふおおぉぉぉぉ、も、むーーーりーーーッ!!!!


 おもいっきし心で叫ぶと、パシッとフィルモントと重なっていた場所が一気に弾かれる。フィルモントは怪訝な顔をして、シールドブレスがはまっていたはずの私の手首を見た。


「魔法………………?」


 どうやら、私は無意識にシールドブレスを発動させたようだ。今は戦闘中ではないなから長時間バージョンらしい。使い方がわかってから夜間は万が一を考え発動させているので、私のMPは満タンまで回復してないと思う(ゲージが出てないからわからん)が、魔力少しでも使えるんだぁ…………。もしかして、少ないと発動時間が短縮されるのかな。まぁ、パニクってて、す~っかり飛んでたけど、助かった。なんて感心してると私に覆いかぶさったままのフィルモントが首を傾げた。


「…………シールドブレス?戦闘時の簡易防御道具のはずだけど………………変則かな??…………舐められるのは嫌だった?でも、これじゃ、触ることも……………。」


 私の胸に触れようとした手を再度弾かれると、フィルモントは何かを思いついたようで、ニヤッと口元を歪めた。その表情に危機感を覚えた私は、彼の身体の下から這い出そうと試みる。仰向けからくるりと身体を回転させたまではよかった。けれど、そこで身体が異常に重くなった。見れば身体に纏わり付くように水が粘度を持って手足に絡まってくる。


 まるで、スライム…………?まじ、スライムゥゥーーー!!!


 ぎゃああっと纏わり付く水スライムを振り落とそうとするも、それは指をすり抜けどんどん這い上がってくる。さらに、その水に触れた服が端のほうから溶かされていく。


「やっぱり、魔法までは防げないね?……………触れられないなら、こうやって服を剥くしかないよね♪」


 焦る私をよそに、フィルモントは悦に入っていた。


 く~~~っ。鉄壁だと思ってたのに盲点だったぁぁーー。つうか、仲間に魔法かけてんじゃねぇよ。あ~~、そういやロークも私に使いやがったよな。どいつも、こいつも。………………、こうなったら。


 私は剣を呼び出し、フィルモントに向けた。切り付けるためではなく、ただの脅しのつもりで。けれど、人に向かって刃を向けたという私の動揺は腕を伝って剣を震えさせた。カタカタと剣を怯えながら構えても威勢などあるわけなく、鼻で笑われるだけの抵抗だったかと思っていると、フィルモントがスッと剣の刃に自分の首筋を寄せた。フィルモントの首に浅く刃が傷を作り、ツウッと赤い血が剣に伝う。それをフィルモントは恍惚とした表情でやった。


「ぎゃああっ。ごめんなさい、ごめんなさい。ごめんなさい!!!怪我させるつもりじゃなかったの!」


 私は慌てて剣を消すとフィルモントの首に手を当てた。傷はかなり浅い。押さえていれば血は止まるはずだ。顔面蒼白で震え、今にも泣きそうになっていた私の髪にフィルモントはそっと手を伸ばし、触れられる事を確認すると労るように優しく撫でてきた。


「……………いいよ。殺してくれて。」

「……………死を………望んでるの?だから、こんなことを?」

「まさか。愛する女性と繋がりたいと思うのは、男なら当然の欲求だよ。けど、拒否られて捨てられるのなら、せめて君の手で壊されたい…………。」


 ゾワッと別の恐怖に私の身体が震え上がる。フィルモントは何か闇を抱えている?けれど、くすんだ瞳からは何も読み取れない。


「何故、そこまで…………?」

「…………それは…………教えられない。契約だから。…………思い出してくれるしか。………………でも、僕はもう………………待てない。」


 フィルモントは私をふんわりと抱きしめた。そして、まるで私が実体であるのを確かめるように、その力が強まる。


「君が僕を拾ったんだ。責任とって、始末を付けて…………。」


 泣いているかのような震える苦しそうな声でフィルモントは囁いた。ここで私はやっと気付いた。


 これ、イベントだ。………………フィルモントルート、いつ入ったんだ?…………もしや、2人きりになると自動発動か??


 目をさ迷わせてもシステム文字は出ていない。でも、他の人のパターンもこんな感じだった気がする。


 だから、豹変したのか……………。って、ことはここが確実に分岐点………………だな。…………………。やるか、やられるか……………。いやいや、ダメだろーー!!!ゲームでも人殺しもHも体験したくなーーい。か、考えろ。第3の道だ!!

 う~~~~~~~~~。む~~~~~~~。

 …………………。そもそもさ、なんで私が頭悩ませなきゃならないわけ?そうだよな、拾ったって猫じゃあるまいし、私に何の責任?!


 私はまるで猫の首根っこを引っつかむように、ベリッとフィルモントを剥がす。と、フィルモントは潤んだ生気のない瞳で、答えを貰えるんだと嬉しそうに薄く笑いかけてきた。捨て猫みたいな表情にちょっと絆されそうになるのを堪える。


「フィル。もし、私がフィルを助けてたんだとしても、命とか責任とか全部預けちゃ駄目だよ。フィルはフィルのものだから。自分で自分を大切にしなきゃ。ね?」

「………………………。それって、単にはぐらかしただけだよね?」


 ちっ、聡いぜ。ばれたか、失敗だ。………………って、おい、これまずいんじゃ??


 重大な選択肢を間違ったんだと、ザアッと血の気が引く。これで一気にフィルモントのバッドエンドに向かうのだろうか。


 ………………GAME OVER……………。

シールドブレス 追記

 長時間バージョンはMP量に比例して持続時間変動。

 発動は基本意思によるが、たまに強い感情に呼応する。

 発動時が一番強いシールドとなり、魔法をも弾き返すことも。しかし、通常魔法はスルー。

 エロに反応して作用するが、その判断は曖昧。

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