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フィルの暴走


「バッカウザーーーー!!!」

「お嬢、俺はそんな名じゃないぞ。」

「わかってるわっ!!バカとカウザーで、バカウザーって言ってんの!!!」

「う~ん、イマイチ~。面白くな~い。」

「面白さで言ったんじゃなーーーい!!!」


 またしても、ゆるーい会話だが私達は洞窟の中を全速力で疾走中。なぜって、そりゃあ追われてるからだよね。


「なんで、わざわざ洞窟入って行って、わざわざGの魔物に戦闘挑むんだっ!!バカウザー!!」

「そこに魔物がいたから?」

「だからってGはねぇよ!!一匹いたら百匹いるってお母さんに教わらなかったかぁ!!」

「知らん。」

「くぁーーー!!無知って怖いーーー!!!」


 そう、追いかけてくるのは、Gの大群さ!昆虫は魔物になると皆デカクなるようで、そうでなくとも恐ろしいのに、恐さ倍増です。ほんとヤダー!!そんな魔物を一匹カウザーがやっつけてくれちゃったものだから、標的になっちゃった我がパーティー。フィルモントに魔法攻撃をお願いしたけど、キモいから嫌の一言で終わった。そして、王子は早々に気絶なさっておいででした。まぁ、無理もない。私だってぶっ倒れたいよ…………できないんだけどね。その気絶中の王子はカウザーがお姫様抱っこで運んでくれているので、彼も必然的に攻撃できないのだが。まぁ、できたとしても、カウザーは複数攻撃に向かないから所詮役に立たない。そうなると、私しかいないわけだが………………無論無理!見たくもない!考えたくもない!!


 だから、ひたすら逃げる!!!


「ねぇねぇ~、天使ちゃ~ん。」

「なに?」

「いつの間にか、カウザーいないんだけど~~。もれなく王子も~。」

「はぁっ??やられた?!……………いや、迷子になったな。しょうがない。悪いが今は自分のことで手一杯だ。彼らの武運を祈る!!」

「そ~だね。魔物もほとんどこっち来たみたいだから~。大丈夫でしょ~。」

「なにい!!なぜこっちに来るんだっ!!バカウザーが発端だろうがっ!!!向こう追いかけろよ!!」

「魔物に言ってもねぇ~~。」


 キッとフィルモントを睨みつけた。フワフワしてるくせに鋭い事を言いやがって……………。しかし、フィルモントはどこ吹く風で、ニコリと笑顔を向けた。


「ねぇ~、前、見てなくて大丈夫~~?」

「え”………!!!」


 正面に向き直る間もなく、目の前が真っ白になる。光の中に突っ込んだみたいに。フィルモントと話している間、よそ見をしていたから忘れてた。私達はGに追われる中、やけに光っていた方へ走っていたのだ。やっと洞窟の外に出られたか、慣れてきた目が周囲を映し出す。けれど、そこは外の光が入り込んで四方がキラキラと輝いた鍾乳洞の部屋だった。パラパラと雨のように天井から水が滴り、壁にも水が伝い、地面にも浅い池のような水溜まりがいくつもできていた。


 スゲーーーーっ!!!


 テレビでも見たこともないような幻想的な空間に、身体が濡れる事も構わず唖然と周囲を見回す。しばらくして、やっと魔物の事を思い出して振り向くと、奴らは真っ暗な道からこちらには出てこなかった。光が苦手なのか水が嫌なのかわからないが、どうやら戦闘からは逃れたようで頭上のゲージはいつの間にか消えていた。カウザー達も戦闘を逃れたか、倒したのだろう。ホッと安堵の息を吐いた。


「明日奈……………。」


 名前を呼ばれたので振り向く。すると、浮いていたはずのフィルモントは私のすぐ側に立っていた。フィルモントはさっきまでのふんわりとした雰囲気ではなく、ちょっと恐怖を覚える陶酔した笑顔を浮かべる。


「…………やっと、2人だけになれたね。」

「フィル………?」

「…………。ねぇ、覚えてる?…………僕らが出会った時も、こんなふうに雨が降っていたよね………。もう、死を待つだけだった僕に………、君はその美しい手を指し述べてくれたんだ…………。…………一緒においで、って。」


 フィルモントは私の手を取りスリッと手の甲を頬に寄せると、グレーの淀んだ瞳がうっとりと私を見つめてきた。けれど、その瞳は全く違う世界を見ているようで、そこにあるのに無いような不思議な感覚に私はフィルモントの言葉に何も返すことができなかった。フィルモントとの最初の出会いで、雨なんか降って無かったのに。でも、どこかでひっかかる…………?


「…………そうして、君はこの世界に、僕のところに、やっと堕ちてきたのに…………。今にもどこかに…………、誰かのところに………………、いっちゃいそうで……………。不安で…………。」


 室内に降り注ぐ水に濡れるフィルモントの瞳が切なく揺れる。そのまるで涙を流しているような様に、私はフィルモントの口元がいびつに歪んだ事に気付けなかった。


「だから、僕の天使………………………、もっと堕ちて。」


 フィルモントはぐいっと頬にあてていた私の手を引くと、崩れた体制の私を抱き寄せ、そのまま地面に押し倒される。薄く水の張った地面に一瞬冷たさを感じたが、今は覆いかぶさってきたフィルモントの病んだような笑顔の恐怖が勝った。


「フィル。どうしたの?変だよ?」

「…………怯えないで……………、大丈夫、……………汚すだけだから…………、気持ちいい事だから………ね?」


 け、汚す、気持ちいい…………って、そういうことかぁぁぁーーー!!!


「ちょっ!!待って!!」


 フィルモントを慌てて押しのけようとする私の両手は頭の上でまとめ上げられる。なにこれ、漫画とかゲームで見た良くあるシチュエーション。なんて、ちょっと客観的に分析して冷静さを取り戻そうとしてた私にフィルモントは唇を重ねてきた。現実感の無かった私にその感触はリアルで、反射的に口を閉じるも強引に舌を押し入れられる。


「んん”っ!!……………んっ……………んむっ…………。」


 フィルモントの舌が奥深くまで侵入して苦しくて身をよじり逃れようとするも、やっぱり力が入らなくふがいない抵抗しかできない。フィルモントに好きなだけ口内を弄られて、やっと離された瞬間に唾液が口元からこぼれるのは仕方ないと思う。その表情にフィルモントが舌なめずりして狂気に満ちた表情で見下ろされ、パニクるのはさらに必然だと思う。


 おいぃぃぃ!!!どこにこんな豹変フラグがあったぁぁぁぁ!!!


 そんな間にもベストの前紐が解かれ、フィルモントの手でシャツの上から胸を掴まれた。


「……………小さい。」


 んぎゃぁぁあーーー!!!ち、小さいっっ。言うか普通!!まだ、成長期だよぉぉーーー。……………たぶん。…………………きっと………………ううっ。


「っ!!」


 フィルモントの零した一言に打ちのめされていた時、彼の指が布越しに胸の先を掠めた。瞬間、ゾクッと身体が震え、びっくりして反射的にフィルモントを見上げる。すると、彼は嬉しそうに目元を細めた。


「感度はいいみたいだよ。よかったね。」


 いや、良くないだろぉぉーーー!!エロゲー仕様ぉぉーーー!!ならもっと素晴らしいボディーくださぁぁい!!!これじゃ、スチル見せれませんーーー!!!え?スチルになんの?無理ゲーーーー!!!


 声を出すことすら忘れてブンブンと頭を横に振っていると、フィルモントにペロッと耳を舐められる。


「明日奈。大好きだよ。僕の全部あげるから、全部頂戴。」


 いやいやいや、愛があってもこれは、強引なのがいいっていう乙女も多いけども、リアル強姦は駄目だってぇぇぇーーー!!

 うわぁぁぁ!!!耳なめとかっ!音がダイレクトにするよおっっっ!!


 もう、私の思考は許容量MAX、停止しそうです。


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