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冒険というか珍道中だ


 う”………重い………。


 息苦しさに目を覚まして、胸の上にある腕を押しのけた。


「っ!」


 横を向くとすぐ側に王子の顔があり、危うく叫びそうになった声をギリで押し殺す。


 っぶねぇ。ケインみたく突き飛ばしかけたぁ。


 そういえば、王子の隣で寝ていたんだったと思いだし、腕を払いのけたせいで起こしてしまわなかったか静かに王子の観察をする。スウスウと心地良さそうに寝息をたてている王子はなんだか幼く感じて、見ているうちに顔が自然と綻んだ。そっと王子の金色の髪に触れてみる。そして、サラサラで触り心地の良い髪を軽く撫で、きめ細やかな白い肌の頬に指を這わせた。


 綺麗な顔をしているなぁ…………。さっすが乙女ゲーム。男なのに睫毛長い、唇も艶やかだし………。

 

 じい~っと王子の顔を見つめた。まだ、起きそうもない。私はドキドキと心臓を高鳴らせて、ゴクリと生唾を飲みこんだ。


 ちょっとだけ…………、なら………………バレないよね…………。軽く…………そおっと…………なら。


 私はゆっくりと頬に置いていた手を動かして、ふにゅっと柔らかな王子様の頬をつまみ上げた。


 おーーーっほっほっほぉ!!やった!綺麗な顔がちょっと崩れたぞ!それでもイケメンなのがムカつくが!!…………でも、なんかしてやったりな気がするぅぅ!!!


「あっれ~~?チューする雰囲気かと思ったんだけど~、予想の斜め上だったな~~。」


 ゲスい顔でニヤついていたら、上から声がした。見ればフィルモントがフワフワ浮きながら私達をのぞき見………いや、ガン見していた。


「王子の方が僕より前に出会ってるみたいだったから、もっと親密かと思ってたのに~。何も進展していないのかぁ~。ふ~ん。それにしても…………王子にそんなことするなんて、ほんと勇者だよ~。」


 プッフフッと最後に吹き出すフィルモントに、私は何と血迷ったことをしたのだと、今更ながら気づいて、慌てて王子の頬から指を離した。


 ど、どうしよ…………魔が差した。…………よりによって、王子様に。……………ううっ、ばれたら確実に殺される?!


 いきなり手を離したせいか、王子が身じろぎしてゆっくりと目を覚ます。


「おはよ………う”?!」

「も”う”し”わ”け”あ”り”ま”せ”ん”。お”う”し”ざ”ま”ーー。」


 私は目が合うやいなや、起きぬけの王子に縋り付いて、涙を流す勢いで謝り倒した。状況もわからずに慰めてくれる王子に、抱腹絶倒のフィルモント。新メンバーとの朝はそんな混沌とした感じで始まった。カウザーはこんな騒がしい中でもグーグーと寝ていて、多少揺すってすらも起きなかった。


 朝の事件は私が悪夢を見て寝ぼけていた、ということで片付いた。もう絶対にしないと1人猛省して、イケメンが悪いんだと責任転嫁。そして、忘れることにする。旅の恥はかき捨てだろう?!




 今日は東の果て山に続く山脈に登山。切り立った山の多いこの辺りは、イエロードラゴンが居ることもあってか、近年はあまり人が立ち入らないらしい。しかし、それまでは鉱石やらの採取が盛んだったそうで、人が行き来する道がついていた。


「何故、私が抱えられて進まなければならないんだ!!」

「えっ、だって王子様が疲れたって言うから。」

「休めば良かろう!」

「でも、まだ少ししかきてないし。」

「王子が体力なさ過ぎだからだよ~。」

「同感。」

「だ、だからといって………。姫抱きされねばならん意味はないだろうっ!!」


 ギャアギャアと文句をつける王子は今、カウザーにお姫様抱っこされている。理由は先ほど言ったとおり、登山に体力がついていかなかったからだ。


「だって、私やフィルが王子を担げる力はないから、必然的にカウザーしかいないでしょう?で、カウザーは背中にでっかい剣があるから背負うのは無理。横抱きじゃ王子様に失礼かと思うと、それしか無いかと。」


 消去法で決めましたが、何か?と見やると王子は反論できずぐっと言葉を詰まらせた。


「………くっ、しかし、こういうのは姫がされるべきであってだな。」

「そりゃ、俺だってお嬢の方がいいぜ。」

「天使ちゃんなら、僕がしてあげるよ~。」


 悔しそうに漏らした王子の言葉にカウザーとフィルモントが乗った。私は進めていた足をピタリと止める。どした?と3人が私を伺う様子を見計らって、ギロリとした目で振り向く。


「ゼッッッッッタイに、私をお姫様抱っこなんてしようと思わないで下さい。」

「「「は?」」」


 3人にきょとんとする。まぁ、女子の憧れお姫様抱っこだもんな。嫌がるとは思わなかったんだろう。だがしか~し、私は断固拒否する!!なぜなら。


「私は高所恐怖症なんです。そんな不安定な体制で地面から身体を離すなど耐えられません。」


 考えただけでも卒倒しそうだ。…………気絶しないんだけどね。


「落としたりしねぇよ。」

「うんうん~。」

「心配しなくてもよい。」

「いや、そこじゃなくて、例え鋼鉄で地面にガッチリ固定してて絶対倒れませんって状況でも無理なんです。………………とにかく、しないで下さい。」


 ぽかんとしている3人に説明しても意味は無いと話を切り上げた。そして、さっさと先を急ぐことにしたのだが。

 



「…………ひっ………………や、やだぁ……………むり…………うぁ、揺らさないでぇっ…………もう………許してぇ…………。」

「お嬢、もう半分までいってんだ。あと少しだから、もっと体の力抜け。」

「…………ん。ダメッ……………、うまく………できない……………。」

「姫、手もそんなに強く握りしめたら動けないだろう。軽く添えるくらいで。」

「う”っ………。そんな……………一度になんてっ。………ムリっ。」

「大丈夫だよ~、天使ちゃん。僕らに身を任せて~。」

「や………………、今…………触らないでっ………………。……………あぁぁっっ。」


 おや?すんげー卑猥な会話になってない??まるで、4ぴ……………げふん。

 いかん、怖すぎて現実逃避してしまった。


 私達は今、渓谷に架かる吊橋を渡っている最中だった。この橋は、蔦や木の枝で組んだ自然素材でできていた。作りは荒いし、隙間だらけだし、最近人通りがないといわれているだけあってちょっと朽ちかけてる。そんな橋をこの高所恐怖症の私が渡ろうとしただけでも、盛大に褒め讃えてほしいものだ。それしか、道が無かったとしても。

 そして、その真ん中の1番揺れが激しいところで、私の足はすくんでしまった。私は足をぷるぷるさせて、ギュウッと手すりの蔦を握りしめて、涙目で硬直状態。3人がサポートしようとして、さっきの会話となったのだ。


「……………もう………無理………だからぁ、先に………行ってぇ。」

「「「っ!!駄目だ。イクときは、一緒に!」」」


 …………。おかしいな??やっぱエロ変換かかるぞ??


 ふと、見れば3人ともちょっと興奮ぎみに目を輝かせていた。


 おいこら、お前ら楽しんでんじゃないだろーな。


 けれど、いっぱいいっぱいの私には責める気力などなく、大きなため息とともに当てもなく空を眺めた。すると、そこにはお久しぶりのデジタル文字が浮かんでいた。


    誰のルートを選びますか?


      1.アルフレッド(騎士)     4.カウザー(剣士)

      2.ローク(黒魔導士)      5.ミスリム(王子)

      3.ケイン(白魔導士)      6.フィルモント(精霊使い)


 

 ガハッ!!選択肢が入れ替わりじゃなく増えてんじゃんっ!!!


 抵抗できない今だ!とばかりに選択肢をちらつかせるシステム。底意地の悪さを感じずにはいられない。


「くそっ……………、絶対、……………やるもんかっっ。」 

「「「…………ヤ…………る?」」」


 ばっ!!ちっがーーーーーうっっ!!!やる違いだぁーーーー!エロゲー仕様がぁーー!!!


 私は大声を上げるだけでも揺れる吊橋の上で、何処にもやりようのない怒りを心の中で叫ぶのだった。


エロトークに聞こえる展開。最初の時から、かなり久しぶりに書いてみた。

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