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新たなる旅立ち

「おっはよ~ございま~す!!」


 元気に朝のご挨拶!!今日もバンバン冒険いたしましょう!!


「おはようございます。昨夜は良く眠れたようですね。」

「はよ。それに引き換え、悲壮感ハンパねぇな。ローク」


 ロビーに先にいたアルフレッドとケインに、私はにっこにこで挨拶する。そして、一緒にきたロークは彼らの姿を見るや勢いよく2人に抱き着いた。


「うわぁ~ん。辛かったです~。地獄でしたよぉ~~~。」

「ふんっ。あん時の僕の苦しみ分かったか。」

「城の時はアスナはすでに寝落ちしてたじゃないですかぁ~~。昨日は、ひとつのベッドで眠るまでジ~ッと可愛らしい目で見つめられてたんですよ~~。」

「選ばれなかった俺達に惚気ですか?同情できませんよ。」

「そうじゃなくて~。ご馳走をお預けされた犬みたいに生殺しだったって言いたいんですぅ~~。」

「は?接触が出来ねぇなら他のやり方すりゃあいいだけだろ。」

「それにバリアといっても抜け穴は割とあると思いますがねぇ。」


 ケインとアルフレッドに言われてガーンと打ちひしがれているロークを見て、私は素知らぬ顔をしながらホッと胸を撫で下ろした。私は昨夜、ロークと同室になる選択をしたのだ。


 よかった。ケインは言葉攻めとかしてきそうで、アルは…………なんか防げない気がしたんだよな。ロークにして正解だった。


 私は他の選択をした場合を考えてしまい少し身震いした。シールドブレスがあるからと油断せずに本当によかった。乙女ゲームでは選択肢が運命を大きく左右する。今後も細心の注意を払わなくては…と肝に銘じるのだった。いや、乙ゲーはやってないのだけどね。だよね?


 そろそろ宿屋を出ようかとした時、壮年男性が転がり込むように入ってきた。服はボロボロで足や腕に怪我も追っていて惨憺たる状態。


「た、助けて下さい!!イエロードラゴンに荷馬車を襲われてっ!!!」

「「「「イエロードラゴン!!!」」」」


 私達はすぐさまその男性を取り囲んだ。そして、ケインが回復魔法で治癒している間に場所を聞き出す。割と近くで襲われてからの時間もそんなに経っていない。まだ、そこにいる可能性は十分にある。


「すぐ発ちましょう。」


 男性はこの宿で匿ってくれるとのことで、私達はすぐさま現場へと向かう。


「勇者さま。何か対策を立てないと、真正面から戦いを挑んでも俺達だけでは倒せませんよ。」

「うん?いいよ。話し合いで解決するから。」

「おまえ、また寝ぼけた事を。レッドドラゴンがうまくいったからって、同じようになるわけねぇだろ。」

「やってみなきゃわからない。でしょ?」

「はぁ~。アスナちゃんて、言い出したら聞かないよね~。まぁ、私達はどうせフォローするしかできないけどさ~。」


 惚れた弱みってやつ………か。


 3人は苦笑しながら諦めるように目配せする。ん?観念しましたか?良いことです。


 しばらく行くと、鬱蒼としていた森がいきなり開ける。焼け焦げた木々や大地。それは城で見た惨状を思い起こさせた。そして、馬もいない大破した荷馬車には、薬草を漁る巨大な光る物体がうごめいていた。


「居た…………。イエロー………ドラゴンだ。」


 キラキラと光を反射して輝く鱗は黄色をベースに七色。大きな翼は薄くビロードのようで、容姿は首長竜といった感じだろうか。レッドドラゴンのクレとは全く違うけど、このドラゴンも素敵…………。ふらふらと吸い寄せられるように近づけば、パッとゲージが表示される。戦闘範囲に入った事でこちらに気づいたドラゴンは荷馬車からゆっくりと顔をこちらに向けてくる。琥珀のような透き通ったオレンジの瞳が私達を捕らえた。


「グオオオオーーーー!!!」


 鼓膜をつんざくほどの声で威嚇の雄叫びをあげるドラゴン。しかし、ここで怯むわけにはいかない。私は3人に待機と手で合図して、足を一歩ずつ慎重に前に進めた。敵ではないよという柔らかな笑みを浮かべて。

 すると、ドラゴンも警戒しながらもじっとこちらの様子を伺うように静止した。そんなドラゴンの周囲にはバチバチと音をあげながら小さな雷が舞っている。


「はじめまして。イエロードラゴンさん。私は勇者をさせていただいているアスナと言います。でも、私はあなたと戦いに来た訳ではありません。話をしたいのです。」


 じっとドラゴンを見つめるが返事はない。品定めをするような目線に、警戒が解けていないがありありとわかる。なにか取っ掛かりでもないかと思い、そうだ!と私のベルトについている小さな鞄から紙に包んだ袋を取り出す。


「イエロードラゴンさんは薬を探してるんですよね?これ、白魔法で造ってもらった薬。この白い粉が状態異常の回復薬。このピンクが最近出来たHP回復薬。効くかどうかわからないけど、どうですか?」


 2つの薬を両手に乗せて高く掲げる。そう、これはケインとロークが共同開発してくれた薬。HP回復薬もついこの間出来て、幾つか貰っていたのだ。ドラゴンは今、薬を探すことに躍起になっている。とにかくまずはその問題解決が先だと思った。にしても、このドラゴン特有のやたら長いゲージはHP・MP共にほとんど減っていない。一体誰のために必要なのだろう?話してくれるといいのにな。じいっと見据えてくるドラゴンに訴えかけるように見返した。暫し、停滞。


「あ、毒じゃないよ。大丈夫。飲んで見せようか?」


 不意に普通見知らぬ人にいきなり薬渡されても疑うよな、と気づいた私は試飲してみせようと手を下ろしかけたその時、ニュッとドラゴンの舌が伸びてきて私の手の中の薬を舐める。蛇と同じように二股に割れた舌先は器用に片方ずつを分けて味わっていく。


 舌もクレとはタイプが違うんだなぁ。


 なんて思っていたら味わい終えたドラゴンの長い首が空高く上向く。次の瞬間、身体に纏っていた雷の力が強まる。そして、一気に巨大な落雷となって放たれた。


 ビッシャーーーン!!!バリバリッ!!


 空気を引き裂くくらいの物凄い轟音と共に地面に光の線が幾つも枝分かれしながら突き刺さる。いきなりの攻撃に私は直ぐに身動きできなかった。一拍遅れて振り返れば、後ろに待機していたアル達3人に向けての攻撃だったようで慌てて後ろに飛び退く彼らの姿を見る。


 なんで、私じゃなく彼らに攻撃が?!


 固まっていると私の身体に何かが巻き付いた。反射的に見下ろしてびっくり!手が、ドラゴンのでっかい手が私の身体を器用に掴んでいる。


 うぇ???


 何故このようになっているのか考える間もなく、私の足から地面が離れていく。


「「「アスナーーー!!!」」」


 アル達3人が血相を変えて叫ぶが、彼らも一気に私の視界から小さくなる。私はドラゴンと共に空中高く舞い上がったのだ。


 ウッソーーー!!!これ、攫われてる??……………ア!ア“ア“ア“!!!私っ、餌、いや、薬に間違われたんじゃねぇかーーー??!


 なんて悠長に分析したのも束の間。グンッと身体にスピードが伝わった。イエロードラゴンが私を掴んだまま飛行しはじめたのだ。


 ギエェェェェーーー!!!飛ぶのはイ"ヤ“ダァァァーーー!!!


 私の悲痛な叫びは脳内だけで木霊する。そして、こんな悶絶恐怖体験をしても私の意識は失われなかった。勇者力、嬉しくないよ~~~。


次は人物紹介を入れようと思います。

みんなの正体って書くべき??

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