念願の温泉見つけました。
遂に見つけた!!温泉!!きっとあれは温泉だ!!!
私たちは王都を出て、当初の目的どおりイエロードラゴンの住家であろう東の果て山に向けて出発した。そして約数日目、山の中を行く私は大きな川のたもとで湯気が立っている場所を見つけた。
泉質とか温度とかで温泉ではないかも知れないが風呂になるならそれでいい。私は真夜中メンバーが寝静まっているのを確認してからノソノソと出掛ける。アルフレッドは寝てても物音に敏感だ。慎重に慎重を重ねた動きで抜け出す。ロークは私の感情の機微に鋭い。だから、見つけたときから今も心を平静に保つ努力をしている。何度もシュミレーションしたので成果は出ていると思う。あとは、ケイン。このあたりは彼の結界魔法が張られている。しかし、これも範囲を検証済みで、温泉がある場所はぎり中だ。彼に感知されることもないはずなのだ。
月明かりに照らされながら見つけた湯気の場所に着く。早速状態確認すれば、まるで人の手によって露天風呂として作られたと言えるほどの見事な温泉場であった。大きな石で囲まれたそれは割と広くて余裕で5・6人は入れそう。深さも座って肩まで浸かれるほどある。湯は下から湧いているようで綺麗な透明な水。落ち葉は浮いているがそれすらも味のようで汚さはない。
おそるおそる手を浸けてみた。熱ければ側の川から水を入れるように出来るがあまりぬるいと諦めなければならない。私は喜びに飛び上がりそうになった。最適の温度だ。ちょっと熱めだがその方が好き。
「YES!!手付かずの天然温泉にあるまじき出来。さっすが、ゲーム!!」
私は小さくガッツポーズをしてからササッと周囲を軽く確認して、囲ってある岩の一際大きいものの影で服を脱ぐ。誰も見てないが一応畳んで………と。
「ふわぁぁぁぁ~~~。最高、天国。気持ちいい~…………ぶくぶく。」
私はお湯に入るやいなや肩までどころか口元まで浸る。
ヤバい、久々過ぎてはしゃいでしまいそうだ。
私はニタニタと笑いながら思いっきり両手両足を伸ばした。水面に脱力して腕を浮かせればフワフワと浮遊感が味わえる。堪らない。遂に私は泳いだり潜水したりまでもしてしまった。
「風呂はやっぱ日本人の心だよね~。はぁ、この世界の人もお風呂入ればいいのになぁ。疲れがとれるのに………。」
岩にもたれて満天の星空を眺めながら、映画でセクシー女優がやるように片足を上げてみる。
旅の疲れはやっぱ温泉だよなぁ~~。特に足とかさぁ~~。むくみも解消~~。
足に手を滑らせれば肌はツルツルとしていた。わぉ、美肌効果まであったりして~。私はたっぷりと心行くまでお風呂を堪能する。今度いつ出会えるかわからない。でも、そろそろ上がらねばのぼせるかもと感じたその時だったガサガサっと草木を揺らす音がした。その音はどんどん近づいてくる。
魔物?!
私が慌てて服の方へ向かおうとするより早く茂みから黒い影が踊り出た。
「やった!!川だ。」
そう話した影は剣士・カウザーだった。私は魔物じゃなくてよかったとほっと息をつく。すると、それで私の気配に気づいたようで彼はバッとこちらに振り向いた。
「よぉ!!お嬢!また、会ったな。こんなとこで何やってんだ?」
脳天気な声でカウザーがこちらへとやって来る。ギャ!魔物よりやばかった。
「うわあっ!!来ないで!それ以上近づかないでっ!!」
私は慌てて肩まで湯舟に浸かり両腕を出してストップをかけるが、カウザーは小首を傾けるだけで止まらない。
「は?なぜだ?」
なぜじゃねぇよ!こっちは風呂入ってるんだよぉ~~。ってこの世界の人は知らないのか!!悟れって無理なんだぁ~~。え?それってまずいでしょう。なんて言えばいいの?服着てないからこっち来ないで…………って?!そんな恥ずかしい事言えねぇぇぇ~~!!
バシャバシャと温泉の中で苦悩しているとカウザーは慌てたようにさらにこちらへの足を加速する。
「溺れてるのか!!もしかして、魔物?!」
「バカ、バカ、バカ!!来るなっていってるでしょう!!!」
この、鈍感男め!!!わかんなくても、来るなっつったら来るなよぉ~~!!!
カウザーに向かって湯を手でかけても肩まで浸かっている状態だとうまくいかない。もたついているうちに間合いがさらに無くなっていく。
「「「動くな!!」」」
いきなりの放たれたその声にカウザーがやっと止まった。私はいや~な顔で声のした方に顔を向けた。すると、案の定アルフレッド、ローク、ケインの3人がいた。
「なぜ……………3人ともここに。」
「あれで俺に気付かれないと思ったのですか?気配が全く消えてませんでしたが。」
「感情も悟られないようにしてたみたいだよね~。でも、態度が隠せてなかったよ~。」
「おまえは僕の結界が一つだと考えてただろ。他にもいくつか仕掛けてあるんだよ。」
ガ~~ン。私の綿密なる計画が全く効果無しだったとは。…………え、じゃあこいつら。
「………いつから………いた??」
「天国と言っていたあたりからですが。」
よし!入るところは見られてないわけだ。それ以外の恥ずかしい行動は…………まあ、よしとしよう。
私は1人で納得するかのように頷いた。なにのぞき見してんだと言いたいところだが私が1人行動するのを過保護な3人が心配して見守っていたんだと苦しいながらもその理論で心を鎮める。
「うん。分かった。分かったから、ちょっとこの場からみんな去ってくれないかな?お風呂から上がりたいんだけど?」
私はクラクラし始めた頭に湯あたりの前兆を感じた。早急に立ち去って貰わねばと思ってわざわざ口に出したのに4人ともポカンとしている。
「じゃあ後ろ向いててくれるだけでいいから!!」
妥協案を提示するも変わらず。私の頭もさすがにぼうっとしてきて、いい言葉が見つからない。
あ~~もう!一刻の猶予もない。よし。女は度胸。のぼせてぶっ倒れるよりはいい。
私は徐に岩に手をついてザバリとお風呂から上がった。
「「なっ!」」
「「……え~。」」
驚く声が2つ、落胆する声が2つ聞こえた。前者はカウザーとアルフレッド。2人は顔を真っ赤にしてうろたえている。後者のロークとケインは表情もあからさまに残念だと物語っていた。
「おまえ、…………なんで全裸じゃねぇんだよ。」
「え~、オフロって一糸まとわぬ姿で入るんじゃないんですかぁ~~。」
後者どもがそんな声をかけてきた。そう、実は私、城で体を拭かれた時の布をメイドさん達からいただいており、胸と腰回りにぐるぐると巻き付けて入ってたのです。簡易水着といったところ。
「万が一を考えたら、そんな無防備なことするはずないでしょう。」
「いつもは無防備なくせに………。」
「これじゃあ、いつも見てた下着姿の方がセクシーだよね~。」
「「下着姿?!」」
ロークの言葉にカウザーとアルフレッドがまたしても驚愕する中、そうだよなと同意するケイン。
え?何だこの2:2の違い。特にロークとケインに下着姿など見せた覚え無いんですが?!魔法?透視とか??…………なら、裸見るか。……………そもそも風呂を知らないのに裸で入るって知識があるんだ???
頭の中にハテナが沢山浮かぶが、いまいち冴えない思考では追及する気も起きない。ま、下着くらい水着と変わらないし見られてもいいかとさえ考えてしまう始末だ。
「明日奈の下着姿をいつも…………かい?」
アルフレッドの地を這うような低い声がして、見れば彼はロークとケインを冷たく睨みつけ、剣に手がかかってる。
「あ、えっと………それは不可抗力で~。」
「そ、そうだっ。部屋で着替えられると見えちまうんだから仕方ねぇだろ。」
「そうですか。なら、その目を見えなくして差し上げましょう。」
薄く笑うアルフレッドの剣が引き抜かれ、月明かりに怪しく煌めいた。逃げるロークとケイン、追いかけるアルフレッド。よくあるパターンに入ったようだ。それを見てカウザーはげらげらと笑い始める。
さあてと。全員の気は逸れたけど…………。どうやって服に着替えようか?
中途半端ですいません。書けなくなってきた…………。




