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ちょい話  晩餐後の彼ら

晩餐の後のパーティーメンバーたちの話です。


 

「ケイン~~。もう服着替えた~~。これから一杯やろよ~~♪」


 ロークはケインの部屋の扉を了解も得ず開けると、げんなりとしているアルフレッドを引き連れてずかずかと押し入った。


 城での晩餐が終わり今日泊まる部屋へと各自案内されて、暫くしてからのことだった。


「勝手に入ってくんな。今夜はそれぞれに部屋があるんだから、1人で飲んだくれてろ。」

「え~。い~じゃ~ん。こんな高級なお酒、城にでもいなきゃ飲めないよぉ~~。」


 ロークはどこからか手に入れた高級そうな酒瓶をローテーブルに置く。


「俺も言ったんです。有事があったら時に困るからと。」

「酔い潰れるまで飲まないよぉ~。嗜む程度~。それならいいでしょ~~。」


 ロークはローテーブルを囲むように配置されているソファーにアルフレッドとケインを誘導して、グラスに酒を注ぐ。


「あいつは?アスナは呼ばないのか?」

「だって、アスナちゃんはお酒苦手だし~~。それにどうも、私たちの部屋から随分離されてるようなんだよね~~。理由もなく呼べないでしょ~。」

「それって大丈夫なのですか??」

「わかんな~い。だから、危険があったらすぐ動けるように皆に一部屋に集まってもらったってとこでもあるんだよ~。私だけだと察知はできても実働は厳しいし~。」

「城内は魔法がかなり制限されていますからね。」

「そ。まぁ、何かあったらネックレスが教えてくれるから、動けるアルと癒せるケインで万全の体制でしょう~~。てことで、乾杯~~♪♪」


 ロークの合図に諦めたようにアルフレッドとケインもグラスを掲げる。2人は本当に嗜む程度しか口をつけないがロークはすぐにグラスを空にして次を注ぐ。


「そういえば、晩餐でのアスナちゃんのドレス姿、可愛かったねぇ~~。見とれちゃったぁ。」


 ロークはポツリと思い出したのかそんなことを呟いた。アルフレッドとケインはそれぞれ複雑な顔をする。


「確かにな。でも、あんまり化粧とかして欲しくねぇ。」

「同感です。そうでなくてもいつ虫が寄っくるかとたまらない。特に元の世界では俺達は何もできないというのに。」


 場が暗くなりそうなのを感じてさっとロークは話題を変えた。


「元の世界といえば~。もしも、あっちで人として明日奈とデートするならどうしたい~~?」

「ば、馬鹿じゃねぇの?!そんなこと。」

「だから、想像だよ~。だって思ったことあるでしょ~~。私だったら~~。」




 輝く星空よりもさらに煌めく街の夜景を眼下に眺めながら、明日奈と2人ホテルの最上階のbarでゆっくりとグラスを傾ける。


「今日は美味しいディナーに連れてきてくれてありがとう。それにこんな綺麗な夜景の見えるバーにまで………。」


 明日奈は外を眺めながら気恥ずかしそうにお礼を言う。ほんのり顔が赤いが彼女の手にあるのはノンアルコールのカクテル。酒に酔っているわけではない。明日奈はホテルのディナーということでいつもとは違い品のある洒落た服装に少しヒールのある靴、薄化粧をして唇にはピンクのルージュが引かれている。背伸びした大人っぽい装いにちぐはぐな幼さが何とも愛らしい。


「どう致しまして。どうだった?大人の体験は。」

「憧れてたけど、私にはまだ早いかな。さっきもここも私は場違いだなって…………。」

「そんなことないよ。明日奈はどこにいても可愛いよ。」


 明日奈のカクテルを持つ手に手を這わせてグラスを離させる。


「この後、どうする?……もっと大人の体験………する?」

「………。今日は友達の家に泊まるって言ってあるから、その、朝まで…………大丈夫。」


 真っ赤になってしな垂れかかる明日奈をエスコートしてゆっくりと2人はbarを後にする。



「うげっ。なに、そのエロ全開の妄想。」

「明日奈は大人っぽい事に憧れもありませんし、親に嘘をついて外泊もしません。根本的に間違ってますよ。」

「むぅ~~。そういう2人はどうなのさ~。」

「ぼ、僕はもっと健全な遊園地とか映画とか動物園とかっ。」

「明日奈に遊園地はかなり無理があるでしょう。映画が現実的ですね。」

「僕は動物園がいい………。」




 小さな子供達がはしゃぎながら道行くのを微笑ましく横目に見ながら、楽しそうに笑う明日奈。動きやすいパンツにスニーカー、リュックを背負うカジュアルスタイル。でも、女の子らしい色合いやポイント使いで可愛らしくまとめていた。


「象もキリンも凄かったね!!次どこ行く?」


 僕の持っていた動物園の案内図をぴょいとのぞき見る。


「あ!動物に触れ合える場所が近くにあるよ。行ってみない?」


 明日奈は上目遣いでこてんと小首を傾ける。うん。と頷けば弾けるような笑顔で手をとられて引っ張られる。


「うわぁ。ウサギ、ふあふあ。可愛い~~。」


 触れ合い動物で明日奈が選んだのは兎。兎は彼女の膝の上で気持ちよさげに撫でられている。その姿に嫉妬心が湧いてきてムッと顔を歪ませた。


「どうしたの?」

「ウサギそんなに好き?僕よりも?」

「え、も、もちろん。あなたが1番…………好き。」


 包み込むように頬に手をあててこちらを向かせると、ブワッと真っ赤にしながら明日奈はしどろもどろ。こういうのは相変わらず苦手な彼女。それでも、言葉にのせ伝えてくれようとしてくれる健気さが可愛い。そして、どちらともなく唇が重なる。



「ケインって割とウブ~、言動と思考にギャップ有り過ぎだよね~。ツンデレキャラ大変~。」

「だっ、誰がツンデレだっ!!」

「う~ん。そのデートも間違ってますよね。ウサギのところはトカゲか蛇に置き換えないと明日奈には当てはまりませんよ。」

「う゛、夢を壊すんじゃねぇよ。批判ばっかしやがって。てめぇはどうなんだよ。」

「俺………ねぇ。やっぱり学生の本分は勉強でしょうから。俺は家庭教師として………。」

「アルってば密かに先生ポジ気に入ってる~~。」




 家庭教師として明日奈の勉強を見てきて数ヶ月。親御さんの信頼も獲得したので家に2人きりでも問題なく呼ばれるようになっていた。


「先生。見て見て、ほら成績上がったよ。」


 明日奈の部屋のローテーブルに着くやいなや、嬉しそうに通知表を見せてくる。今日は終業式で通知表が配られる、そのため今後の学習予定を立てるため昼過ぎに呼ばれた。彼女は制服のままで、いつも私服で会う俺の心がドキリとする。


「よく頑張ったな。これなら俺はもう用済みかな。」

「え………。」


 俺の言葉にあからさまに動揺する明日奈にヨシヨシと頭を撫でて冗談だよと慰める。俺達はつい最近密かに恋人になったばかり。こんなじゃれ合いも楽しいが。


「それにしても、受験には関係無いけど体育が際立って悪いのが気になるよ。」

「でも、こればっかりは………。運動神経は努力だけじゃあ。」

「そんなことない。努力は大事だ。まずは基礎体力強化と柔軟だな。鍛えてあげようか?明日奈はハードとソフトどっちがいい?」


 明日奈は意味が分からないといっていた顔で見上げてくる。その頬にツイと指を這わせて軽く唇を啄んだ。すると、顔を一気に赤面させ慌てはじめる。言っている事が理解できたようだ。そんな明日奈の唇にもっと深くキスをしてゆっくりとベッドへと押し倒す。彼女の潤んだ瞳にハードモードだな、と柔らかな笑みを浮かべた。



「はぁ?!てめぇのもエロエロ妄想じゃねぇか。」

「俺はエロがダメとは一言も言ってませんよ。2人のプランに誤りがあったから指摘したまでです。」

「アル~。その明日奈の部屋で~って展開、そこには私達もいるんだけど~~。解っててやるってこと~?」

「………他のもの達にしっかり牽制しておくことは必要でしょう。」


 ふっと笑うアルフレッドにロークとケインまでも戦く。彼は敵に回してはいけないタイプだと2人は何となく感じとった。


 暫し沈黙が流れるといきなりロークが立ち上がる。


「???」

「どうしました?」


 首をひねって悩むロークにアルフレッドが声をかけた。


「さっきアスナが剣を出そうとした気配がしたけど…………、そのあとの反応が無い。勘違いかな………。」

「それなら、俺が直接確認してきます。場所は?」

「東塔の6階奥から300メールくらいの場所でしょうか。行くならこれを。」


 ロークはアルフレッドに小さな紫の石を手渡す。


「近づけばアスナのネックレスに反応するので。よろしくお願いします。」

「ええ。任せてください。何かあればここに連れて戻ります。」


 そう言うとアルフレッドは颯爽と部屋を駆け出していく。


「アスナ、大丈夫なんだろうな。」

「ええ。たぶん。アスナは自己解決しようと考えるところがあるのでそれが心配。」

「はぁ。こっちでも僕らの心労は絶えねぇか。」


 そうして、アスナを連れてアルフレッドが帰ってくるまでロークは部屋をうろつき、ケインは飲む気も失せたのでベッドの端に腰掛けじっと待ったのだった。

デートさせてみたくて書いてみましたが…………うん、ゴメン、明日奈。


それにしてもロークやケインはまぁこんな感じかってなるけど、アルさんは………。なぜだろう、黒いわ。

そんなキャラじゃなかったはずなのに、勝手に。


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