終章2 まだまだ続く日々
「おーい、お客様が来てやったぞ。」
「……なんでいるのよ!?」
平和になった午後のまどろみのなか、私は店のカウンターにひじをついてあくびをしていた。
そこでお客が来たと思ったら……。
「今、父を呼びますね。」
「お、あのおやじはいないな、うんじゃこのじゃりでいいや。」
「ちょっと人の話を聞いてよ!」
「そうですよ、フィズ。女の人にそんなことをいってわ。」
後ろからでっかいの……もといローブを着た女の人が助け舟を出してくれた。
ほ、っとしてそっちを見ると、いっぱいの荷物を背負った巨体があった。
「すいません、うちのフィズがご迷惑をおかけして。」
ちょっと困った表情を見せながら私に謝ってくれた。
この人みかけと違って苦労人なんだろうな。
そういっているうちに
「お客様、うちの給仕を勝手にはずかしめるのはやめていただけないかね。」
父が笑顔で出てきた。
目が笑ってないよ。
それにちょっと嫌な顔しながら、父に促されてフィズという男の人は連れて行かれてしまった。
残ったのは私とローブの女の人。
「……お怪我は大丈夫ですか?」
おそるおそるといった感じできいてきた。
まだ包帯はとれていないけれど。「おかげさまで。」といって右手を見せる。
「それはよかったです。何も言わずにでていってしまいましたから。心配していたんですよ。」
あれから
あの殺人事件はこの町の話題を独占していたが。話では、犯人は巨大なオーガがやらかしたやら、太古の魔術を用いた魔道師だったやら。
「あーわし、見たわ。人相危なげだったわ。」とは、うちの常連のおじさん。最終的には隣国の仕業では、なんて話しになったところで
この話題は徐々に収まっていたのだ。
そういうと「うんしょ。」といって荷物をおろした。
結構大きい荷物なのだが、大きな音も立てずにおろしているのは、育ちがいいから、だろうか。
「その荷物、すごい量だけど、どこへ行くの、…ですか?」
ついため口で話してしまいそうになるのをこらえて、荷物のことを聞くと。
「えっと、実は、その、……。」
ともじもじとして口ごもってしまった。この人って体の割りにずいぶんとかわいい人だなー。
「軒をかしてほしいのだと。」
話がついたのだろう。父が奥から顔を出して話をつなげてくれた。
「え?」
何語?
「住ませてほしいんだと。」
あーなるほど。そういう意味なんですか。……住む?
「まぁ、とりあえず荷物は上において来い。色々と話をつめにゃならんから後で奥の部屋に来るように。」
「はぁ。」
「おまえもな」
「はぁ。」
何がなんだかまず状況の説明を……
「あ、それとな。」
「はい?」
「おれは酒場の仕込みやらで大変だから、大家をおまえがやってもらうことになるけど。……言ってる意味わかるか?」
「ぜんぜんわかんない。」
さいしょからなにもわからない。
「えっと、わたしたちが家を借りるから、その管理をする、ということです……。」
「おー、こっちのお嬢さんは利発だね。娘よ、このお嬢さんからいろいろ教えてもらえ。」
あっはっはー ってなかんじで父は自分の部屋にはいっていった。
「あ、あの、心中お察しします。」
あははー、しんちゅうってどんないみかしらー?
「えっと、とりあえず、自己紹介しませんか。」
じこしょうかい、そのことばわかる。おたがい、なまえ、いう。
「ドロレス・V・ヴァレンシュタインといいます。これからよろしくお願いします。」
「……エミリア・キャレス……。」
なんだか私がわからないところで話が進んでいる気がするけど、とりあえず空は青いし、空気は清清しいから今日はいい日なんだろうな。
そう思わないとやってられなかった。
とりあえずこれから、少しずつ話を投稿しようと思うので、がんばります。