第6章 英雄階級への到達
【レベル情報】
マルス:130
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空が、
黒く染まっていた。
雲ではない。
結晶の粉塵が、
舞っている。
《黒晶嵐域》。
突如発生した、
魔獣災害地帯。
街を三つ、
飲み込んだ。
冒険者ギルド、
国家軍、
神殿騎士団。
あらゆる戦力が、
集結していた。
マルスは、
陣地の端に立つ。
誰とも、
話さない。
ただ、
弓を握る。
角笛が、
鳴る。
進軍。
地面が、
震える。
結晶化した魔獣が、
群れを成して押し寄せる。
前衛が、
ぶつかる。
剣が折れ、
盾が砕ける。
血が、
飛ぶ。
マルスは、
一歩前へ出る。
狙う。
核。
放つ。
一体。
二体。
三体。
矢は、
すべて急所を貫く。
だが、
数が多い。
前線が、
押される。
魔法陣が、
展開される。
神殿騎士の神術。
光が、
降り注ぐ。
しかし。
結晶魔獣は、
崩れない。
逆に。
光を浴びた魔獣が、
変異する。
「効かない!?」
誰かが叫ぶ。
結晶の嵐が、
吹き荒れる。
無数の刃が、
飛ぶ。
マルスは、
前へ出る。
結晶刃が、
体に当たる。
だが。
弾ける。
消える。
存在しなかったかのように。
マルスは、
歩く。
嵐の中を。
後ろの兵士たちが、
呆然と見る。
「……壁だ」
誰かが呟く。
マルスは、
止まらない。
最前線へ。
巨大個体。
黒晶巨獣。
十メートル級。
口を開く。
黒い光線。
マルスは、
正面から受ける。
光線は、
消える。
巨獣が、
動揺する。
マルスは、
矢を番える。
一本。
放つ。
核、
粉砕。
巨獣が、
崩れる。
前線が、
持ち直す。
だが。
奥から、
さらに群れ。
終わりが、
見えない。
マルスは、
呼吸を整える。
体力は、
削れている。
だが。
倒れる気が、
しない。
否定耐性が、
世界と噛み合っている。
そんな感覚。
数時間。
マルスは、
撃ち続けた。
歩き続けた。
立ち続けた。
やがて。
角笛。
撤退ではない。
制圧完了。
嵐が、
止む。
黒晶が、
風化する。
戦場に、
静寂。
生き残った者たちが、
膝をつく。
マルスは、
立ったままだ。
冒険者ギルド長、
ローガンが近づく。
血と埃にまみれた顔。
「……お前一人で、
戦線を支えていた」
マルスは、
何も言わない。
「英雄階級だ」
その言葉に、
周囲がざわつく。
ローガンは、
金属製の章を取り出す。
白銀に、
星の刻印。
「白銀星章」
マルスの胸に、
留める。
「お前は、
もう最底辺ではない」
マルスは、
小さく頷く。
夜。
野営地。
焚き火の前。
マルスは、
一人で座る。
炎が、
揺れる。
強くなった。
確かに。
だが。
目的は、
まだ先だ。
白夜の羅針盤。
あの場所。
もう、
戻らない。
だが。
越える。
マルスは、
静かに弓を握った。




