第84話 降伏交渉
「ほう?首謀者の首を持って降伏しにきたということですね?」
ザラキエルという天使のような敵の将兵がそう言った。
私は母の首が入った大きな箱を持ち、単身で敵陣に交渉しにきた。
護衛を連れてこなかったのはその方が交渉がうまく行くと思ったのと居てもいなくても殺される時は殺されるのだからどうせなら少しでも可能性を上げたかったからだ。
これは賭けだ。交渉がうまくいかず滅ぼされる可能性のほうが高いだろう。
「いいでしょう。総大将パンドラ様に取り継ぎましょう。着いて来なさい。」
私は母の首を持って敵の将の後ろを着いていく。
なんと足の重いことか。もしかしたら私はこのまま殺されるかもしれない。
そしてある大きな天幕に案内された。
「パンドラ様、ザラキエルです。敵の姫自ら降伏しに来ましたがお通ししてもよろしいでしょうか?」
「降伏?いいよ、とりあえず中に入れて。」
私は敵の将の後に続いて大きな天幕の中に入る。
「こんにちは、お嬢さん。私はパンドラ。この軍の総大将だ。で?降伏しに来たの?」
パンドラは天幕に入って来た私に挨拶した。
そして、天幕の中央にある大きめの椅子に深く腰掛け足を組んだ。
「はっ!現在竜王が意識不明の重体のため竜王ダイヤに代わり娘の私、デリラが竜王代理を務めさせて頂いております。降伏のためこちらに参りました。」
私は膝をついてパンドラに言った。
「ふーん。降伏ねぇ…今更間に合うと思ってるの?」
「つきましては貴国がかねてより要請していた首謀者の首です。お納めください。そして、賠償金の話なども進めていきたいと思っております。」
私はそう言って母の首を差し出した。
私の差し出した首を控えていた敵の兵が持ち上げ、パンドラの方へ持っていく。
「んー、見たって私面識ないからどこの誰だかわからないな。まぁ、これが本当に首謀者の首だとして、この人貴方のお母さんなんじゃないの?よく母親の首を刎ねて持って来たね。」
パンドラは母の首が入った大きな箱を開けて中身を見ると私にそう言った。
「はい、その者は私の実の母親です。貴国への誠意として早急に首を刎ねて参りました。」
「ふーん、誠意ね。まぁ、いいや。賠償金だっけ?」
「はい、まずはそちらの要求を言っていただきた…」
「いらない。」
パンドラは私の言葉を遮って言った。
「えっ?」
私はポカンとした顔をした。
「いらないよ。別にお金が欲しくて君たちを攻めているわけではない。」
「で、では、領土の譲渡を…」
「それもいらない。」
パンドラはニヤリと笑う。
「私達は君達からなにも欲しくない。」
ま、まずい。これは…
「君達からの降伏は受け入れない。今頃首謀者の首を持って来たからといって許されない。君達は我が主の命令に背いたんだその報いを受けなければね。」
そう言ってパンドラをくすくすと笑う。
「そ、そんな…」
終わった。この降伏交渉が上手く行かなければ龍の国は滅ぼされる。
「お待ちください、パンドラ様。」
私の後ろにいた敵の将 ザラキエルが発言した。
「ん?なんだい?」
「それはパンドラ様の一存で決めて良いことではないと考えます。」
思わぬ援護射撃が飛んできたのだった。
自分的はパンドラのこの無情さは結構好きだったりします笑
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