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第74話 邪教の教祖

「ハシャが攻めてくる?誰ですのそいつ?」

私は信徒からハシャが竜王ダイヤに宣戦布告したと言う報告を受けた。

なんでも、我が教団を潰さなければ大軍勢で攻めてくるらしい。


荒野の覇者のハシャ。ふざけた名前だ。

今まで聞いたこともない新興勢力。よくもまぁ、この龍の国相手にそこまで言えたものだ。


ん?そういえば、荒野といえば古代の巨大ゴーレムがいたと聞くが…何らかの手段で無力化したのだろうか?

そして1番気になるのは我々が神龍イータル様を復活させようとしていることを知っていることだ。どこから情報が漏れたのだろうか。


「まぁ、いいです。偵察だけ出して、しっかり見張って置きなさい。あと裏切り者の調査を、どこから情報が漏れたのか突き止めなさい。」

まぁ、気にするほどでもないと思いますが…



後日私は衝撃的なニュースを知る。


三大王 ルー・チャルロイドの大敗。


「ば、ばかな。三大王ルーが負けた?それも大敗したと?ハシャとか言うやつに?」

開いた口が塞がらないというのはこのことか。


新たな脅威。荒野の覇者のハシャ。


早く神龍イータル様の復活を急がなければ。私は信徒に生贄の調達を急がせ召喚術を繰り返した。


何度やっても弾かれてしまう。術自体はすべて成功している。だが、強力な防御結界かなにかに術を弾かれてしまうのだ。


「くそ!また弾かれた!もっと多くの生贄を用意しなさい!これでは突破できません!」

私は苛立ち声を荒げる。


でも、手応えはあります。こちらからの干渉に神龍イータル様も気づいている。向こう側からの何らかの思念を感じます。

あぁ、イータル様はどこに封印されているのでしょうか。


そんな時、ハシャの使者とかいう奴らがやってきた。


そして我々に謁見しに赤龍アドネス将軍に連れられて、玉座の間に来たのだ。


「我は大魔王にして竜王 ダイヤだ。お前らがハシャからの使者か?」

竜王ダイヤがハシャの使者達を見下ろしながら言う。


「迷宮都市クーリッヒから参りました。冒険者パーティーのクローバーのジンです。後ろの者達は私の仲間です。荒野の覇者より邪教の調査の依頼を受け参りました。」

ほう?ミスリルの装備か。それもかなりの純度。相当な手練れの冒険者のようだ。



「…たしかに人間にしては手練れのようだ。しかし、ハシャの使者はお前らだけなのか?」

竜王ダイヤはじっと彼らを見てからそう言った。


「はい。ハシャから依頼を受けているのは私たちだけです。」


「ふん!役に立たぬな。これだけしか送れぬところを見ると余程ルーとの戦いで痛手を負ったと見える。確かにやつの実力は本物であった。しかし、ルーとルーの大軍勢の実力もまた強大。噂では、ルーが大敗したと聞いてはいるが、ハシャも無傷という訳にもいなかいだろう。」

敵の情報を探りたいのだろう。すこし挑発をまぜて竜王ダイヤが彼らに言う。


「は、はぁ?」

ジンとか言った冒険者が首を傾げる。


「先にルーと戦って消耗したハシャを叩くのもアリかもしれんな?ハシャを潰し、ゆっくりと自国の問題を解決すればいい。そう思わないか?使者殿?」


「…私には答えかねます。しかし、ハシャは100万の大軍と、それを率いるSSランクモンスターの将軍をすでに用意しており、いつでもこちら出陣できる状態にあるとだけ伝えろと言われております。」


バカな!?100万だと!?それもSSランクモンスターの将軍!?

嘘に決まっている!大国でもその戦力は用意することが難しいはずだ。それを新興勢力がすでに用意してしるだと?それもSSランクモンスターなどと伝説級のモンスターがいる?


「な、なんだと!?SSランクモンスター!?SSランクモンスターなど神話の化け物だぞ?それに100万の大軍だと?一体どこにそんな戦力があるというのだ!?ハッタリを!!」

竜王ダイヤも驚いたように答える。


「期限はあと2ヶ月程度です。ゆめゆめ忘れることなきよう。」


2ヶ月!?そんなの聞いていないぞ!?クソ!竜王ダイヤ、黙っていたな。


「貴様。まさか、俺を脅そうと言うのか?」

竜王ダイヤの強力な魔力が吹き荒れる。


竜王ダイヤの濃密な魔力に後ろの三人が苦しそうに汗をダラダラ垂らしながらじっと耐えている。

しかし、ジンとかいう冒険者はそれほどでもなさそうだ。


「貴方、攻めてくれば返り討ちにすればいいのです。それよりも、せっかく優秀そうな者どもが来たのです。早く情報を渡して調査をさせましょう。」

私は王妃に目を向けて、王妃に竜王ダイヤを鎮めさせる。


「…むぅ、そうだな。赤龍!こいつらも使って調査を進めろ。」


「はっ!」

アドネス将軍が返事をする。


まずい。こいつらはさすがに放ってはおけない。

ハシャの情報を集めつつ、こちらの手元に置かなければ。



「お父様、私もこの者たちに付き添ってこの国のために解決に尽力したいです!」

私は竜王ダイヤにそう進言する。


「デリラ、邪教は思ったより手強い。危険だ、やめろと言っているだろう。」


「私は竜王の娘としてこの国のために戦いたいのです!それでも、だめとおっしゃるのなら私は私で独自に調査を進めます!誰がなんと言おうとも!」

こいつは身内に甘い。こう言えば私も参加させてくれるだろう。


「はぁ、…アドネス、デリラも調査に加えろ。」

案の定すぐに許可が降りた。



その後のこいつらの捜査は凄まじかった。こちらの痛いところばかりついてくる。


本当に鬱陶しい!


アリとか言う奴が転移の魔道具を隠している場所を地図の上からピタリと当ててくる。

なぜ、そんなに正確に当ててくるのだ!?


隠すように信徒に命令してもこの調子ではすぐに転移の魔導具は発見されてしまう。


このままでは、私まで辿り着くには時間の問題だ。

早く調査を打ち切らさなければ!



…仕方ない。王妃を切り捨てよう。


「お母様、私のために捕まってくださる?」

私は王妃の部屋に行き、王妃にそう言った。


「…デリラ、私をトカゲの尻尾のように切り捨てようというの?うふふ、相当追い詰められているようね。」

王妃は、笑ってそう言った。


「笑い事ではありませんわ。術者の私はまだ捕まる訳にはいきません。彼らの手は私の喉元まで迫っているのです。わかっているのですか?」

いつも王妃はそうだ。事あるごとに余裕そうな態度でいつもイラついてしまう。


「慌ててしまって可愛いですね。いいですよ、貴方のために捕まってあげましよう。その代わりイータルの召喚は成功させなさい。」


「当たり前です。神龍イータル様は復活させて見せます。」


「ならばいいのです。では、私は派手に暴れて捕まることにします。」

王妃がにやりと笑ってドレスを選び始める。


「転移の魔道具は見つかり次第ここに運ばせます。頼みましたよ、お母様。」


母は私の言葉に微笑みで返した。


これでひとまず安心だろう。教祖は王妃であると誤認させ、もう召喚は不可能だと相手に思わせる。

これでハシャの使者も引き上げるだろう。そのあとは、どうとでもできる。





私の名前はデリラ。

竜王の娘にして黒龍ロベアの娘。


邪教の教祖にして新しき世界を作る者だ。





裏切り者はコイツですっ!!


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