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第73話 褒美

「白銀、帰ってこないな。」

私は不安になりながらリビングアーマーが持ってきた美味しいリンゴジュースを飲み干す。

なんだこれ、めちゃくちゃおいしいな。甘い。


おそらく砂糖が入っている。飲み物に貴重な砂糖を大量に使うなんて、なんでリッチなんだ。

というか、依頼料・私達の旅の経費もすごい額だし、この部屋に飾ってある調度品にしても一体一ついくらするんだ?

というかこんな巨大な城いつからあった?少なくとも100年前はなかったはず。

前私がきた時は、巨大なゴーレムがいて、ソッコーで逃げ帰った。なんでも古代の究極のゴーレムだったらしい。


今はどこにいるんだろうなあのゴーレム。まぁ、会いたくはないが。


ガチャリ。

私たちがいる部屋の扉が開く。


「ジン様のお仲間の皆様、ハシャ様の準備が整いましたのでご案内致します。」

強大な力を持つリッチが私達を迎えにきた。


「あっ!えっと、まだジンさんが帰ってきてなくて…」

アリが恐る恐る言う。


「いえ、ジン様は来ませんので大丈夫です。」


「「「えっ?」」」

私たち3人の驚きの声が揃う。


「は、白銀がこないとはどういうことなんだ??」

私はたまらずリッチに質問する。


「ジン様はお休みになられていますので、皆様だけで謁見するようにとの命令を受けております。さぁ、こちらに。」


3人とも開いた口が塞がらない。


ふざけるなぁー!!

相手はあの竜王ダイヤを武力で脅しているハシャだぞ!?

白銀め!そんな怪物に私達だけで会えというのか!?薄情者め!!


そのまま私たちは言われるがまま案内された。


「ここが玉座の間…」

私達は玉座の間に案内され巨大な扉の前に佇む。


「では、入りますよ?ハシャ様、冒険者の方々をお通しします。」

ギィーと案内してくれたリッチが扉を開けた。


そこには大きな玉座に龍の頭蓋骨をしたリッチの姿がある。星空のように暗く輝いている服に、凄まじい力を感じる杖。

あれが、巨大な力を持つもの。荒野の覇者のハシャか。

凄まじい量の死の精霊が取り巻いている。

死の精霊だけはエルフの誰にも使役できない高位精霊だ。なぜか?死の精霊と心を交わし交信し、気に入られてしまうと連れて行かれてしまうからだ。つまり、殺されてしまうのだ。だから、死の精霊を使役することはエルフの中で禁忌とされ死の精霊はエルフから忌み嫌われている。


右側に控えているのは、ゴーレムだろうかまるで、いやそうなのだろう。戦闘をするためにだけ作り上げられた精巧な身体、おそらくさまざまなな機構が組み込まれていることだろう。

一体どれほどの強さなのだろうか?


左側に控えているのは、綺麗な紫髪で引き込まれそうになる紫の瞳をもつ美女だ。

腰に大きく豪華な宝箱を下げている。もしかしたら、あれが奥様だろうか?いや、妻であればドレスなど着込むか。どちらかというと冒険者のような服装。ならば、側近の配下の1人と言うことか。


私は少し進み、荒野の覇者達に膝をつき、首を垂れる。


「ようこそ、冒険者達よ。ご苦労だったな。私が荒野の覇者だ。」


「わ、私たちは冒険者のパーティークローバーです。この度は我らに指名依頼していただき、ありがとうございます。我々も精一杯期待に応えようと頑張り教祖を突き止め、教祖の王妃を捕縛しましたが、竜王ダイヤが処罰をなかなか下さず。我々も竜王ダイヤに謁見し、処罰するよう懇願したのですが、取り合ってもらえず…」

私はなんとか竜王ダイヤが悪いように説明する。

もしも、依頼失敗だなんて言われたら私達の儚い命の灯火はあっとういう間に消されてしまう。


「あぁ、大丈夫だ。先ほどジンから詳しい話は聞いている。竜王ダイヤの愚行もお前たちの活躍もな。」

私の言い訳を遮って荒野の覇者がそう言った。


「さ、さようでしたか。ありがとうございます。」

私はそう言ってふぅっと息を吐いて、頭を再度深く下げる。


「ハシャ様、ジンはハシャ様とどういう関係だったのでしょうか?」

リーナが突然そんなことを言う。


やめろ、話しかけるな!相手は化け物だぞ!

なにが相手を怒らせて私たちが殺されるかわからないんだ。

私はリーナの愚行に私は冷や汗が止まらない。


本当に勘弁してくれ、どうでもいいだろ。荒野の覇者と白銀の関係なんて私達の命に比べたら…


「んー、そうだな。この2人と同じような関係かな。それが答えだ。」

荒野の覇者はそう言って側近の2人を見る。


と言うことは白銀も側近もしくは側近だったと言うことか。この2人と同列に並べられてるって白銀ってもしかしてやばいやつなのか? 


「さて、お前たちには依頼の報酬とは別に褒美を取らせよう。なにか望みはあるか?」

ハシャはそう言って我々に褒美を尋ねる。


「い、いえ、我々はそんな。依頼料で十分過ぎるほど褒美は頂いています。」

アリからなんで貰えるものを貰わないんだ!って責めるような視線が送られてくる。


馬鹿!欲張り者!あの見た目の化け物だぞ、とんでもない呪いの呪物なんか送られてみろ!最悪だろ!金さえもらえればいいんだよ!金さえもらえれば!!


「ふむ、金がいいのか。でも、それだと面白くない。」

そう言うとハシャが顎に手を当てながら考える。



ふぁー。読まれてました。考えを読まれてます。

私、バケモノって心の中で連呼してました。

すみませんでした、すみませんでした、

すみませんでした、殺さないでください。お願いします。

私の心拍数が最大限に上がり、動悸が止まらない。意識が遠くなっていく。


「あぁ、すまないな。お前たちが遠慮してないか見るために一瞬だけ格下にしか通じない魔法だが、読心の魔法を使わせてもらった。普段は使わないし、本当に格下にしか使えない魔法だから気にしないでくれ。あと、ルーファ君、呪いの呪物は与えないから安心してくれ。」


「はひっ!申し訳ありませんでした。」

私は即座に膝をついた姿勢から土下座に姿勢を変える。


「そうだな、あれをやろう。最近ゴーレムの研究に凝っているんだ。これは試作品だが、良いものができた。お前達のパーティーは前衛のジンが抜けることが多いだろう?これで前衛を補うといい。」

荒野の覇者はハートの形の宝石が嵌め込まれた指輪を虚空から取り出す。


すると急に玉座からいなくなった。


ど、どこに行ったんだ!?私は土下座の姿勢から再度膝をついた姿勢に変え、周りをキョロキョロ探すがどこにもいな…


「これはゴーレムハートというアイテムだ。材料があればゴーレムを生み出せるアイテムだよ。すごいだろ?」


私の後ろに猛烈な死の精霊の気配が現れ、私の心臓が止まったかのような錯覚に陥る。

荒野の覇者が私の後ろから手を回して私の右手の人差し指にゴーレムハートという指輪を嵌める。

指輪はすっと私の指のサイズに縮み私の指にフィットする。


それだけでわかる。あ、これやばいアイテムだ。


「ギルドに行って依頼成功の金も貰うといい。君達のこれからの活躍も期待しているぞ?あははっ!」

荒野の覇者がそう言って消えた。


私が場違いに思ったのは、消えた荒野の覇者からふわっと香った香水の臭いがいい匂いだったなと言うことだった。


チートアイテムを渡しました笑


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